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■2003/03/18 (火) 冷静な人たち
昨日は共同通信の原田さん、有田さんら3人と、渡辺陽一君、日本電波ニュースの3人が撤退した。
「人間の盾」も昨日4人、今日2人が撤退した。
入れ替わりにジャパンプレスの佐藤和孝さん、山本美香さんの2人が入ってきた。
「人間の盾」も、ジャミーラさんが昨日、今日はキクチさん、オグラさんという2人が入ってきた。
ジャミル若林先生が昨日入ってきてすぐに出て行かれたが、
その際に私の愛読書の名作マンガ「石の花」(坂口尚)全5巻を置いていってくださった。
感謝感激雨あられ。
残留ジャーナリストは私を入れてもっか9人だ。
街は平穏だが、ガソリンスタンドに車が行列をなしていること、
よく見るとそこいら中に土嚢を積んだバリケードが作られていること。
公園がほじくり返されて塹壕になっていることが、迫る戦争を思わせる。
そして、今日私は宣言された。
「今日は最後の日だ」
潜伏先の一泊4ドルのホテルが明日閉鎖される。
イラクで一番好きな場所だったマジャリス・アル・バグダディヤ・ホテルが
迫る戦争で客を失い、休業に追い込まれたのだ。
宿なしになる私は明日新たな軒を探さねばならない。
学校や商店は通常通り運営されている。
街をゆく人たちの表情も、特に暗いということはなく、
武装した兵士が満面の笑みをたたえながら
「ウェルカム!」と声を掛けてくれるのにこちらの方が恐縮する。
外国人ジャーナリストが動揺しているほどには、イラクの市民はうろたえていない。
不思議なほど冷静だ。
思えば、イラク人はこの24年間、ずっと戦争状態の中を過ごしてきた。
これから戦争が始まると思っているのは外部の人間だけで、
イラク人にとっては状況の深刻さに変化は当然あるだろうが、
本質的には昨日と同じ明日があるだけなのかもしれない。