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【ワシントン18日共同】イラク周辺に展開する米英軍は二十八万人規模に達する。米軍は「短期決戦」(マイヤーズ統合参謀本部議長)でフセイン政権を打倒し泥沼化の回避を狙うが、思惑通り軍事作戦が遂行できるか不透明だ。対イラク軍事シナリオを探った。
▽集中空爆で動揺誘う
対イラク開戦は空爆で始まる。湾岸戦争で五週間続いた空爆が今回は数日間で終わるとの観測が支配的。開戦から四十八時間で投入される巡航ミサイルや精密誘導爆弾の総数は三千発に上ると米紙は報道しており、これは湾岸戦争の十倍に相当する。米国防大学が提唱した「動揺と恐れ」という戦略概念に基づいており、フセイン政権やイラク軍に序盤から心理的ダメージを与える作戦だ。
空爆は既に首都バグダッドなど主要都市へ潜入しているとされる特殊部隊や米中央情報局(CIA)の要員と連携。地上チームが目標設定を支援し、一部はイラク軍が生物・化学兵器を使用しないよう施設の確保を目指すとみられる。
▽米軍にジレンマも
攻撃の対象はイラク軍基地や指揮通信網、政府関係施設に限定する方針だ。米国は戦後復興を視野に(1)油田や石油関連施設の温存(2)イラク兵の離反促進(3)イラク国民の反米感情の抑制−も柱に作戦を立案。旧来の戦争のように焦土化は米国にとって得策ではない。英紙は米英軍が開戦の数時間後に首都郊外のサダム国際空港を急襲、七十二時間で攻略を目指す電撃作戦計画を報じている。
米軍は湾岸戦争で爆弾全体の9%だった精密誘導爆弾の割合が大幅に増え、今回は全体の90%を占めると推定。精密誘導爆弾で中枢機能を限定攻撃すれば政権転覆が早まるとともに、市民被害の極小化で反米感情の高まりを抑制できると二重の効果を期待している。
だが、フセイン政権は兵器をモスク(イスラム教寺院)や学校などに集める「人間の盾」を画策しているとされ、精密誘導爆弾が奏功するか疑問。市民の死傷が国際社会の反戦論をさらに高めるのは必至で、米軍が大きなジレンマに陥る事態も予想される。
▽市街戦避け首都包囲
イラク軍の防空態勢は飛行禁止空域下で米英軍が既に相当破壊しているため、空爆後に間髪入れずクウェートから第八二、一○一両空挺(くうてい)師団と海兵隊が出撃し油田と空港を確保。イラク軍による焦土化を未然に防ぎ、物資と兵力投入の足場を確保した上で、第三歩兵師団がクウェートから一気にバグダッドへ北上しそうだ。
トルコから進撃を予定していた第四歩兵師団はトルコ国会が米軍駐留容認の法案を否決。米軍はトルコ領空の使用もほぼ断念し、地中海東部に展開していた二個米空母機動部隊の一部をアラビア半島西側の紅海へ移動し始めている。だが北部戦線が手薄になり、イラク北部クルド人地区の不安定化が懸念される。
順調に進撃すれば一週間前後で首都の包囲が始まるかもしれないが、首都の外周を固める共和国防衛隊が抵抗すれば、戦闘の長期化が予想される。生物・化学兵器で米兵に多数の死傷者が出れば、米国内からもイラク戦への批判が高まる可能性は否定できない。
(了) 03/18