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科学の限界について
超常現象とは現代科学では説明不可能な不可思議な現象全般のことを指す。科学では説明できないこと――実証主義的な科学に毒された一般人の感覚からすれば、そのこと自体が対象たる事象の曖昧さを表しており、科学は事象の真偽を判別する試金石としての役割を果たしている。
科学とは客観性と信頼性、そして合理性を備えた思考でなければならない。近代科学の祖ともいえるイギリスの哲学者フランシス・ベーコンは経験主義と帰納法の代弁者となり、次のように断言した。「重要なのは観察と実験だけである」
科学は一切の神秘を交えずに、自然をただ合理的かつ冷静に説明しようとする。しかし、自然には経験と観察だけでは決して答えを導き出すことができない問いも存在する。いわゆる“実在についての深遠な問い”と呼ばれる問題である。この種の疑問に直面したとき、科学者の持つ経験的な知識や測定可能な知識は何の意味も持たない。
純粋な科学的論争は、火種となった問題を“観察”したり、あるいは“測定”や“実験”することによって最終的には簡単に決着が着く。しかし、次のような深淵かつ根源的な問いに対して、いかなる科学的回答が得られるだろうか？
“われわれはなぜここに存在するのか？”
“宇宙はいかなる意味を持っているのか？”
“宇宙はどのようにして誕生したのか？”
“宇宙の未来はどうなるのか？”
このような議論は２０００年以上前のギリシャ哲学の時代から幾度となく繰り返されてきた。そして、現代の科学者や宇宙論学者たちは、飛躍的な知識の進歩にも拘らずいまだに同じ議論を続けている。多くの科学者たちはこの“究極の問い”を目の前にして、はるか昔のプラトンや、ソクラテス、ピュタゴラスに優っているとは誰も言えない。
こういうと現代宇宙論の中には“ビックバン理論”を始めとした宇宙創世に対する深い探求もあるではないかと反論されるだろう。ビックバン理論によれば約１５０億年前に起こった爆発によって、突如、全宇宙が出現したという。しかし、ビックバン宇宙論は“究極の問い”を否定して始めて成り立つ理論なのである。
ビックバンが起こるためには全宇宙が一点に収縮した状態――つまり物質と空間と時間が不可分に結び付いた無限の収縮点（特異点）が不可欠となる。時空の特異点を前提とする限り、科学者はビックバンが“どこ”で起こったか、ビックバン“以前”に何が起こったかという疑問に答えることはできない。なぜなら、特異点にはそもそも時空が存在しないから、そこにわれわれの物理法則は一切存在しないからである。
特異点には“どこ”がない。また“以前”もない。ゆえに“宇宙がいかにして始まったか”という究極の問いに対して、ビックバン理論の支持者たちはこうあしらわざるをえない。「それは提起不能な疑問である」。宇宙の始まりに関する疑問に固執するなら、オーストラリアの物理学者ポール・デイビスが言ったように、それは物理学を越えた世界の探求――もっといえば“偉大な創造者”の存在証明に他ならない。
科学とは決して完全なものではなく、突き詰めれば必ず非合理的なもの、人間の知性が到達し得ない物理領域に行着く。ビックバン理論から科学者が導き出した唯一の結論――なんのことはない――「宇宙は最終的には理解不能なものである」。
多くの科学分野には問いに対するタブーが存在する。分子生物学は、生物の細胞一つ一つに遺伝子が存在し、その遺伝子に生物の設計図が記録されていることを明らかにした。しかし、１次元的に並べられたＤＮＡという暗号の情報が、３次元的な生物の体に構成し直されるメカニズムはいまだに分かっていない。
神の創造と人類の優越性を否定した近代科学のドン、ダーウィン進化論は根源的な疑問にいまだに答えを出せないでいる。“生命なきものから最初の生命への移行はどのようにして起こったのか？”それを可能にする何らかの深遠な原理が存在するなら、それは試験管の中でも容易に再現できるはずだ。しかし、生命を創造した科学者はまだ一人もいない。
多くの科学者たちは、知識のうちの何か根源的なものが欠けており、それは認識可能な世界を越えたところに見つかるのかもしれないと考えている。見せかけだけの合理性、客観性に固執するものはその何かを意図的に無視するが、真に世界を探求する者は自らの認識に対して常に漠然とした不安を抱いている。
http://www.fitweb.or.jp/~entity/hitorigoto.html
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。