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(回答先: ネット掲示板における記事の使用と「著作権」について 投稿者 てんさい(い) 日時 2003 年 4 月 26 日 22:46:37)
ネット掲示板への外部記事の転載に関する私の見解を述べたメールがありますので,ご紹介します.これはイラク戦争に関する英文情報を翻訳・速報しているグループの管理人宛てに転載の許可を求める趣旨で送ったメールの写しです.名前部分のみ編集しています.
【1通目】
> XXX速報 管理人
> ____さま
>
> はじめまして,こんにちは.
> 比較的最近(イラク戦争開始後)XXX速報の読者となった新参者です.
> XXXから配信される記事の内容は,冷静な立場で書かれた信頼するに
> 十分な客観性を有するものでありながら,その中にいつも燃えるように熱い
> 思い,祈りが籠められているように感じます.現今の雑駁な情報が渦巻き
> 氾濫する状況にあって,大変貴重な情報ソースであると認識しております.
> 執筆者・翻訳者の皆様のご努力には強く感銘し,感謝申し上げております.
>
> まず,一言お詫びを申し上げなければならないのですが,ウェブ上に阿修
> 羅というサイトがあって,私はこれまでに何度かお送り頂いた記事の一部
> をそこに転送しております.もとよりそのような行為は著作権利者の同意な
> しに行うべきでないことは承知しておりますが,貴重な情報を共有すること
> の公共的便益を優先してあえて行ってきました.この件に関し,お詫び申し
> 上げるとともに,その動機に免じてご寛恕を賜りたくお願い申し上げます.
>
> 本日お手紙致しておりますのは,今後も貴配信記事の転送を続けることの
> お許しを頂きたいということなのですが,いかがでしょうか?ご同意頂けな
> いとすれば,不本意ながら中止する以外ないと考えております.本当のと
> ころを申し上げれば,____さまの方から直接阿修羅にご投稿頂くのがベス
> トであると思うのですが...(あるいは貴ホームページで,明示された例外
> を除き一般的な転載許可を宣言して頂くのも,一案かと存じます.)
>
> 阿修羅サイトはご存知ないかも知れませんが,かつてオウム事件が起きた
> とき,それを事前に予告するポストが現れたことでマスメディアに紹介され
> 世に知られることになったサイトですが,現在数千名のメンバーを擁する国
> 内有数の掲示板になっています.左右論者の入り乱れるかなり過激なサイ
> トのようにご覧になるかもしれませんが,基調は大変まじめなもので,メイン
> ストリームを通過する大量の情報消費の流れから流出・散逸してしまう情報
> を集積・記録・保管するアーカイブとしての機能も担っています.
>
> 宜しくご検討を賜りたく,ご返事をお待ち申し上げます.
>
> きゃべ爺 拝
【2通目】
> ____ さま
>
> こんにちは.
>
> > ご連絡ありがとうございます。XXXの仕事の重要性をお認めいただき、メンバー一同
> > 感謝いたしております。
>
> ご多忙中のところ,早速ご返事頂きありがとうございます.
>
> > 私たちは現在のところ、基本的に原著者との著作権交渉を行わずに、記事の翻訳を
> > 出しています。
>
> 翻訳するということは,著作物を読む行為の一部ですから,もちろんそれ自身は著作権
> をなんら侵害するものではありません.
>
> > これは、ウェブサイトやメルマガで公開するという形をとらず、メンバー個々人の
> > メールとして広めるという方式をとっているために許されていることです。今後、サ
>
> いわゆる翻訳権というのは出版権,俗に言う版権の一部であり,財産権(譲渡可能な知
> 的所有権)として保護されますので,出版行為を行うときには問題になると思います.
> ウェブ上で公開することは基本的に出版行為に該当すると思います.ただし,ウェブ上
> で公開された著作物と書籍などの旧来出版物には性格的に大きく異なるところがありま
> す.前者はウェブ上で公開した時点で全世界に公開するのと同等の効果があり(仮想的
> には億単位のリーフレットの印刷・刊行に当たる),それらを不特定多数者が参照・引用
> することを実効的に妨げることができないことから鑑みて,著作者は「暗黙に」それら著
> 作物の許諾なしの複写を容認していると認めることができると言ってよいと思います.
> (明示的に著作権表示している場合には,対抗の意思表示をしているとも考えられます.
> もちろん,著作権は著作権表示に関わりなく自動的に発生するものですが.)
>
> その行為が著作権(著作財産権,著作人格権)を侵害するものである場合はもちろん,
> 許されものではありませんが,非商業的利用の範囲内ではできるだけ緩やかに条文を
> 適用することが望ましいと思っております.現時点では他者のホームページへのリンク
> による参照は(許諾なしでも)合法であると認められています.著作人格権の一部として,
> 著作物を公開しないという権利があります.私見では,著作者はウェブ上で公開した時
> 点において,この権利を実質的に放棄したとみなされるのではないかと考えます.
>
> > イトを開設するに際しては、著作権の交渉を必要とするケースが増えると思います。
>
> 著作物として保護の対象となるものは,その表現がオリジナルなものであることを要し
> ますので,ニュースなどはその範囲に入らない(公表された時点で公知の事実となり,
> かつ,ほとんどのニュースは誰が書いても似たようなものになる)と考えられています.
> ただし,同じ配信記事でも署名付きの記事などは著作物と認めるのが妥当なものが多
> いと考えられます.実際XXXで扱われている記事はそのような傾向があると思います.
>
> > それまでの間、私たちのお配りする記事については、お手数で済みませんが、転載
> > 下さる方が原文記事のあるウェブサイト(翻訳記事に記載)にアクセスし、原著者にご
> > 交渉くださるしかないと思います。
>
> 阿修羅の流儀では,上記のような署名記事を含めて無断転載を行っています.これは,
> 転載者が「自己責任」でそれを実行しているのですが,著作権交渉を行うことは意外に
> 難しいのではないかという気がします.多分,その記事を書いている本人,記者ないし
> 著作者の同意をもらえる可能性は高いと思いますが,それを発行している主体・機関が
> それを認めるのはかなり難しいと考えられるからです.(特定のケースだけを例外的に
> 許諾するというのが技術的に難しいため,一般的に認めないということになり勝ち.)
>
> > 著作権の問題は、個々に方針も違い、法律的にも微妙なようなので、ぜひ、お知り
> > 合いで法律の詳しい人に相談なさることをお勧めします。
>
> 著作権法は基本的に国内法であり,教育・研究機関,図書館では著作物の広範な随
> 意利用が認められています.実務的には,文書の1/2程度までの複写が公認されて
> います.阿修羅のような掲示板が教育・研究機関として認定可能かどうかについては,
> 議論の余地はありますが,少なくも言論の場としての機能を有している以上,現行著
> 作権法下でも,可能な限り広範な情報の共有が保証されなくてはならないと思います.
>
> > もちろん、個人的にご友人に転送なさるならば、気にかけなくてもいいと思います。
> > また新聞記事の場合は(著作権法第10条第2項)に従って、著作権をクリアしな
> > くても、掲載できる範囲がありますが、私たちは著作権の専門家ではないので、正確
> > なお答えはできません。
>
> お説の通りだと思います.
>
> > もちろん、私たちとしては出来るだけ多くの人に読んでいただきたいのですが、転載
> > くださる方ご自身にご判断いただくことになります。大変済みませんが、現在の状況
> > では、私たちの手の行き届かない部分があるため、やむをえず、お願い申し上げる次
> > 第です。
>
> お立場は理解いたしました.
>
> > ひとつの方法として、「引用」の形をとることが考えられます。転載者ご自身の論
> > 評やエッセイの中に、記事の一部を引用する、という形でしたら、まったく問題はあ
> > りません。論評やエッセイが量的に主となり、それより少ない量で記事が使われてい
> > ることが条件となります。
>
> 著作人格権の一部として著作物の改作を認めない,ないし認めるという著作者に固有
> の(譲渡できない)権利があります.引用の場合,もちろんテキストを原文通り引用す
> ることが望ましいわけですが,原文通り引用したとしても,そのテキストの置かれたコ
> ンテキストによって原著者の意図とまったく異なるものになってしまうということも有り
> 得るので,阿修羅では,何のコメントも付けずソースへのリンクと著者名を記しただけ
> で記事の全文を引用するというスタイルが一般的です.(全文の引用は記事の蒸発を
> 防止するという意義と読者への便宜を図るという側面があります.)これは,外部の記
> 事を中立な立場で紹介するという意味で,むしろ望ましいマナーであると考えています.
> (諸外国にはもっと野心的なアーカイブも存在します.)
>
> > そこで、私からの提案ですが、きゃべ爺さんが、ただ私たちが翻訳した記事を貼り
> > 付けて「阿修羅」に投稿するのではなく、「こういった記事を入手したが、私
> > はこう思う。たとえばこう書かれているが、皆さんはどうか。そして、どう行
> > 動するのか」などの問いかけや解説を入れた上で、投稿なさってはいかがでしょ
> > うか。そういった形で「料理」されれば、原作者から著作権へのクレームをし
> > づらくなると思います。しかも、原作者を褒める場合が多いと思いますので、
> > 問題が軽減されると思います。
>
> そうですね.確かに法律的にもっとも問題が少ないのは実効的に引用であることの客
> 観性が認められるという場合ですから,もっとも無難な形態と言えるかも知れません.
> 阿修羅への投稿者はハンドルを使って投稿しているので,場合によっては読者はその
> 記事の著者と投稿者(ハンドル名)が同一人物であると誤認する可能性はあります.
> これはもろに著作権の実質的侵害になってしまいますから,それを避ける意味からも,
> 引用であることを明示するような工夫は必要であるかもしれません.
>
> > XXXの翻訳者グループは、そうした引用をむしろ、歓迎しています。
>
> ありがとうございます.ご意向に沿えるような方向で対処してゆきたいと考えておりま
> すので,今後とも宜しくお願い申し上げます.末筆ながら,貴メーリングリストの更な
> るご活躍を祈念申し上げます.
>
> きゃべ爺
>