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都知事選――70歳対決も悪くないが[朝日新聞]
2003年03月24日(月)付朝日新聞社説
「軍国おじさんと、平和ボケばあさんの対立軸でいいんじゃないか」東京家政大学教授の樋口恵子氏が東京都知事選に立つことを表明した。仕事にかまけて家庭で居場所を失った男性や定年退職者を、「粗大ゴミ」「濡(ぬ)れ落ち葉」とユーモアたっぷりに表現した人である。「軍国おじさん」とは、再選をめざす石原慎太郎知事を指している。これに、共産党東京都委員長の若林義春氏らを加え、都知事選の対決の構図がやっと見えてきた。候補者が乱立した前回と様変わりし、今回は4年間の実績をもとに余裕をみせる石原氏ばかりが目立っていた。選択の幅が広がらないと、有権者は判断のしようがない。選挙戦が盛り上がらないことも心配だった。それだけに、迷いに迷ったという樋口氏の決断を歓迎したい。ちょうど選挙戦は、米英軍によるイラク戦争や緊迫する北朝鮮情勢に重なる。米国支持を決めた日本政府への態度も含めて、安全保障や平和問題への考え方も争点の一つになるだろう。
「軍国おじさんではない」と反論した石原氏だが、「平和ボケばあさん」が攻勢をかければ、あらためて選挙戦への闘争心をかき立てられるのではないか。東京都知事選がいつも全国から注目を集めるのは、首都の顔を選ぶからだ。だれが座るかによって、日本を見る海外の目も変わる。全国や世界をにらんで論戦を進めてもらいたい。もちろん、都政の問題をないがしろにするわけにはいかない。立候補表明の会見で、樋口氏は「威圧的スタイル」と石原氏を批判し、行政を透明にすることと都民が参加することの大切さを訴えた。しかし、高齢化や福祉について市民の立場から提言してきた自らの経験をどう生かすかはまだはっきりしない。石原氏は知事として環境問題などで実績をあげてきた。対抗するには具体的な政策を早く示す必要がある。一方は作家から国会議員、さらに知事へ。他方は主婦と評論家を兼ね、選挙に立つのは初めての経験だ。考え方も経歴も対極にある。ところが、70歳という年齢は同じだ。平均寿命は男性が78歳、女性が85歳の時代だ。70歳といっても、元気な人はたくさんいる。お年寄りだからといって、知事にふさわしくないとはいえない。2人の争いは高齢社会を象徴しているのかもしれない。52歳の若林氏も含めて中高年の力に注目してみるのもいい。とはいえ、軍国おじさんと平和ボケばあさんの対決に共産党がからむだけでは物足りないと思う人も多いだろう。もっと若い世代が出てこないものか。もうひと声あがれば、選挙はいっそうおもしろくなる。