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「人間神化」と大東亜戦争
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投稿者 書記長(かなりクルクルしている) 日時 2003 年 5 月 23 日 18:10:29:

 ヒトラーは第二次大戦をドイツ民族の未来の運命の全てをか
けた戦いであるとみなしていた。そして、彼は人間は神への生
成途上にあり、最も優れたゲルマン民族こそが当然一番先に神
人間となることを確信していた。
 だから、当然彼は第二次大戦をゲルマン民族の神化のための
重要な手段・ステップと考えていたに違いないのである。この
ゲルマン民族の神化の問題は、オカルト的な思考にも通じてい
た彼の頭の中では、あの世界大戦を引き起こす最大の理由の一
つだったのではないだろうか。
 実際に彼は戦時中にも動物の品種改良を人間に適用した優生
学的手段をもちいた「支配民族創出計画」に熱心にとりくんで
いたことが知られている。まだ遺伝子に関する化学的研究が始
まったばかりの当時の生物学のレベルでは、ダーウィンの進化
論を素朴に適用した優生学的人種改良こそが最もとりつきやす
い人為的進化の方法論だったのである。
 もちろんヒトラーは唯物論的思考に閉じこもるはずはなく、
心霊的もしくは精神論的な人種進化へのアプローチをも行って
いたはずである。彼の思考法からすれば、民族の興亡をかけた
総力戦という極限状態という環境が民族の量的および質的な進
化への速度を速めるだろうということ、そしてその中で発揮さ
れるドイツ民族の個の肉体を越えた精神性こそが物質と肉体を
コントロールし変容させるほどの力を生み出すであろうことを
期待していたに違いない。
 例えば、彼は1942年に始まったスターリングラードの戦
いにおいて、終始一貫して退却も投降も認めなかった。あの戦
いにはドイツ空軍の輸送作戦の失敗という一面もあるのかもし
れないし、ヒトラーのソ連軍に対する過小評価という重要な欠
点も表れている。
 しかし、あの彼のドイツ軍の力量と行動に対する異常とも思
われるまでの期待の入れ方や、ソ連軍によるスターリングラー
ド包囲戦術への異常とも思われる対応の仕方にはどのような精
神的背景があったのだろうか。彼は断固としてあの都市からの
撤退も降伏も認めなかったのである。


 24日パウルスは降伏の許可をヒトラーに求めた。ヒトラーの返事は「余はすべての降伏を禁じる。軍は弾薬が尽きるまで抵抗せよ。第6軍の英雄的行動は、ヨーロッパの救済に、前代未聞の貢献を成すものである」。1月30日ドイツ軍は3つの地域に分断され、これまで2回のソ連の降伏勧告を拒否したパウルスは弾薬、医薬品、食料が尽き「運命が24時間以内に迫った」と無電を打ったが、ヒトラーは降伏禁止命令と共にパウルスを元帥に昇進させ「歴史上プロイセン・ドイツの元帥が降伏したことは無い」と返電した。翌日、国営百貨店の地下室に置かれた司令部でパウルスは降伏した。包囲後の戦闘でドイツ軍16万が戦死し9万1千人(将軍24人)が捕虜になった。 
                           』 http://www.jade.dti.ne.jp/~mm2009/Hitler3.html

 裏を返せば、ヒトラーが飢えて弾薬も尽き、氷に閉ざされた
自分の兵士たちに求めていたものは「玉砕」と「万歳突撃」だ
ったのである。これに「司令官のハラキリ」を加えてもよいの
かもしれない。なぜそうしたことが彼にとって重要だったのだ
ろうか。
 そこにはドイツ民族神化の問題が横たわっているに違いない
のだ。神人間の肉体的・心霊的「種」となるべきドイツ兵は、
当然極限状態において神の兆候を如実に示さねばならなかった
。ドイツ兵は明らかに「個」と「肉体」を超越して、「種族」
と「美自体」への情熱と、燃え上がる闘争心と名誉のために万
歳突撃を敢行しなくては神らしくないのである。
 しかし、彼の兵士と司令官は20世紀の合理的近代ヨーロッ
パ人として振舞うことを最終的には選択した。神としての狂気
の振る舞いを行わなかったのである。彼は戦争が終盤に近づく
と、「ドイツは勝利に値しない」とか「ドイツ人は生存に値し
ない」などという失望を隠さなかったと言われている。ドイツ
人が神化とは縁遠い存在であることが分かったとき、彼にとっ
てあの戦争の意義は大きく失われたのである。

 「2001年宇宙の旅」という映画にもなった物語の冒頭で
は、「月を見る者」(欧米では狂気にとりつかれた者というイ
メージのある表現)という「猿人」が最初の「武器」である骨
を使って武器を持たない猿人を撲殺するシーンがある。夜空に
投げたその骨はクルクル回転して宇宙船に姿を変える。月を見
る猿人に理性が発現し武器という道具を使うことによって最初
の同種殺しを行い、「人間」に進化したことを象徴的に表して
いるのだろう。物語では最後には主人公ボーマン(言わずとし
れた白人)はスターチャイルドという新しい生物になってしま
う。
 つまりあの映画の基本的な図式はこんな感じであろう。

 猿人→人→超人(神)

 あの映画にはニーチェの超人思想が影響を与えていることは
映画の冒頭で「ツァラトゥストラかく語りき」が用いられてい
ることからも明らかである。


 ここで我々はニーチェが初めて提示した「超人思想」を、この映画の重要なインスピレーションとして突き付けられる。超人、英語でいえばスーパーマンだが、ニーチェが論じたのは決して人間を超える肉体的・物理的能力を持ったマンガの超人ではない。ニーチェは「神は死んだ」と言った。なぜ神を殺さなければいけなかったかと言えば、それは西洋のユダヤ=キリスト教文明においては、神は超越的にして絶対的、決して誤りを犯さない存在であり、相対的な価値判断しか持てず常に誤りを犯す可能性を持つ人間とは厳然と区別されていたからだ。だから人間はその絶対的な神の教えに、道徳的・倫理的な判断の全てを委ねなければならないというのが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の根本思想である。ニーチェは神の存在を否定することで、人間をその絶対的な価値判断の基準そのものに高めようとした。

 ニーチェは暴力の禁忌をユダヤ=キリスト教的神の押し付けたものとみなし、そうした道徳を超越した超人には暴力の行使も可能だと論じている。キューブリックは動物から人間、そしてもしかしたら超人へと達するかも知れない人類の進化/進歩の契機にその暴力があったことを示し、なおかつそれを否定的なものとして捉えようとはしない。だから『2001年宇宙の旅』には「ツァラトストラ」の夜明けのテーマが必要だったのではないだろうか?
・・・・・ 
 ニーチェの超人思想は、第二次大戦後の世界では一種のタブーであり続けている。なにしろヒトラーのナチズムの理論がこれを取り入れたものだったのだから、これが危険な思想でもあることは確かだ。超人であればいわゆる普通の人間的な道徳・倫理を無視していいということは、超人にとっては殺人も許されるということにもつながるし、現にヒトラーは優秀なる純血アーリア民族であるドイツ人は劣等民族であるユダヤ人を抹殺していいし、抹殺すべきであると主張した****。

 無論この超人思想の解釈は、まったくの曲解である。ニーチェの超人思想の根幹は「神は死んだ」と言ったこと、言い換えれば人間に到達不能であるが故に絶対的である神の存在を否定することで、人間もその絶対的な高みに到達しうるという可能性を示したことに他ならない。これは言葉で説明しただけではなかなか理解し難いことであるし、恐ろしいことにも聞こえる。・・・・』

映画と超人
〜超越的映画としての『2001年宇宙の旅』 text by 水原文人

 私はカミカゼ特攻の出撃のシーンをTVで見たりしていてあ
ることに突然気づいた。このシーンは昔TVで見たハリウッド
映画の「ダビデとゴリアテの戦闘」のシーンによく似ている。
 装甲と武器を外した片手に杖をもった少年が頭上でクルクル
と投石器を回しながら敵の隊列に近づいていく。回転速度が上
がってくると投石器のうなり声も高くなっていき、歩く速度を
徐々に速め、ついにはよろいを着た巨人に向かって突進してい
く。投石器から放たれた石は盾持ちの向こう側にいる巨人の額
に命中し、少年は倒れた巨人の刀をぬいてそれで彼を殺す。周
りの兵士たちは恐怖でパニックに陥り、走って逃げる。
 特攻の映像では、武装を外し操縦桿を握ってレシプロエンジ
ンを回して飛んでいく少年自身が護衛艦の弾幕を突破して空母
に激突する。彼は投下弾と一緒に吹き飛んでしまうが、敵の武
器の誘爆を引き起こして敵を殺し周りの兵士をパニックに陥れ
る。細かい描写までたいへん似ているのである。そもそも神国
が危機に陥ったとき神の風が吹いて敵の大軍が海の底に沈むと
いう発想は聖書的であるとも言える。

 「君たちはすでに神である」。これは特攻出撃直前に上官が
これから空へ飛び立つ若者たちに言った言葉である。およそ特
攻なるものの本質は東洋の宗教・道徳の観点からして、善なる
ものでもなければ魂の救済の方程式にも当てはまるものでもな
い。ギリシア神話や日本神話を読めばわかるように、シャーマ
ニックな民族宗教・神話では、近代的な価値観(民主主義・人
権等)や合理性はもちろんのこと、古典的な道義性や宗教的慈
悲の精神も平然と無視されていることが多い。

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