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京都大再生医科学研究所(所長、中辻憲夫教授)は27日、神経や血管、臓器など体のあらゆる組織に育つ能力を持つ「ヒト胚性幹細胞」(ヒトES細胞)を国内で初めて作ることに成功したと発表した。世界で9カ国目。出来た細胞株は1株で、染色体に異常はなく、色素細胞や神経細胞に分化することも確認した。現在は順調に増殖を繰り返しているといい、早ければ10月に国内研究機関への無償分配が始まる見通し。
ES細胞は、受精卵が分裂を繰り返して約100個の細胞からなる「胚盤胞(はいばんほう)」の状態から、やがて胎児の体を作る「内部細胞塊」と呼ばれる細胞を取り出して作る。無限に増殖するとともにさまざまな細胞に分かれて行く能力があることから「万能細胞」とも呼ばれる。不妊治療後に不要になり、廃棄される予定の凍結受精卵を国内3医療機関から夫婦の同意を得て無償提供を受け、実験を続けていた。
事故や病気で傷ついた神経や臓器を、ES細胞を用いて作り出せば移植治療に使える可能性があり、治療が難しいパーキンソン病や脊髄(せきずい)損傷に対する再生医療の切り札として注目されている。
一方、生命の始まりである受精卵を用いることや使い方によってはヒトのクローンができる可能性があり、倫理面や安全面で課題は残されている。【山崎明子】
◆再生医療
病気やけがで機能を失った臓器や組織を、人工的に培養した人間の細胞などを使って作り直すこと。やけどの治療での人工皮膚移植や、白血病の治療として行う造血幹細胞を含む骨髄移植も再生医療の一つ。
イモリがしっぽを切られても、やがて切り口から先端部分が作られて元通りになるように、多くの生物には自己再生能力がある。しかし、高等動物ほど再生能力が低くなり、ヒトでは皮膚や血液、肝臓などでの小さな修復に限られる。このような修復は、機能が決まった細胞になる前の「もとになる細胞」(幹細胞)が増殖し、失った細胞を補給することによってなされている。
幹細胞の中でも、体のそれぞれの組織を作る体性幹細胞と違い、受精卵から作る胚(はい)性幹細胞は、体のあらゆる組織・臓器の細胞になることが可能。実験では既に、インスリンの分泌細胞、心筋細胞、肝臓細胞、神経細胞などを作る技術が開発されている。
これらの細胞を患部に移植すれば、根本的な治療法が見つかっていないパーキンソン病や糖尿病の治療に役立つほか、他人からの組織・臓器の提供のみに頼らなくてもよくなるとして、期待が寄せられている。
[毎日新聞5月27日] ( 2003-05-27-18:27 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20030528k0000m040003004c.html