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(回答先: クローン猫、外見も性格もオリジナルとは「別の猫」hotwired 投稿者 小耳 日時 2003 年 5 月 04 日 22:00:45)
「安全な食品はどこで買えるか」宝島社
天笠啓祐 監修 + 日本消費者連盟 協力
【クローン牛】
日本では、体細胞クローン牛が認可される可能性が高まっている。その根拠になっているのが、昨年、農林水産省の外郭団体である畜産生物科学安全研究所が行った実験結果である。牛乳と肉の成分分析や、クローン牛の生産物をネズミに食べさせるなどの実験を行った結果、成分は一般牛と変わりなく、マウスを用いた実験でも一般牛と変わらなかったと結論づけた。さらに厚生労働省による評価が出され、それを受けた形で認可されようとしている。
((出版の時点で既に体細胞クローン牛は「安全」宣言済み))
クローン牛もまた、新しい食品として慎重に扱い、予防原則が認められるものである。食品として安易に認可する事には疑問がもたれている。最も大きな理由は、「まともに生まれてこない」点にある。多数の受精卵の代わりに作り出された「クローン胚」が、着床・出産までこぎ着けるケースは稀である。最初に誕生したクローン羊・ドリーは、277のクローン胚からやっと誕生した1頭である。また、そうやって、やっと生まれた赤ちゃんにも異常が多く、安全とはほど遠い。悲惨な実態がある。
農林水産省が発表した「家畜クローン研究の現状」によると、02年12月末時点で、体細胞クローン牛は334頭誕生し、そのうち死産が55頭、生後直後の死亡47頭で、合わせて102頭に達する。病死が59頭もあり、その他の死が29頭で、研究機関で飼育試験中はわずか144頭のみである。なぜ、うまく生まれないのか、育たないのか、原因は示されていない。異常の原因が分からないまま、食べても「安全」と言われても誰も納得しないであろう。
米国ホワイトヘッド生物医学研究所ゲノム研究センターのルドルフ・イェーニッシュ博士らは、昨年、全米科学アカデミーの会報で、体細胞クローン・マウスの遺伝子に異常が多い事を報告した。同博士は「クローン動物に異常が多いのは、こうした遺伝子の発現の異常の結果かもしれない」と述べている。そのほかにも、問題点は数多く指摘されている。
巨体で誕生するケースが多い、染色体の年齢が最初から老いている、母体が「癌」になりやすい、などである。これらの問題点は何一つ解明されていない。これだけ多くの不安要因を抱えながら、食品としては安全だと、どうして言えようか。
米国では今年中に、体細胞クローン牛製品が認可される見通しである。日本政府が認可を急ぐのも、これに合わせた動きと見られている。一般の米国産牛肉に混じって輸入されてくるからである。
受精卵クローン牛は、体細胞クローン牛に比べて問題はないとして、すでに市場に出回っている。だが、その受精卵クローンにしても、死産が多いなど、異常が多いのが現実だ。店頭で表示を見かけることはまずない。任意表示の場合、ほとんど表示されないからだ。
体細胞クローン牛認可の次に待っているのは、遺伝子組み換え動物である。クローン羊・ドリーは何のために開発されたかというと、遺伝子組み換え動物の量産技術を確立させるためだった。遺伝子組み換え動物の登場はまだ遠い先のことと思われているが、そんなことはない。技術は既に確立されており、特に遺伝子組み換え魚の登場は早そうである。すでに米国食品医薬品局は、野生のチヌーク・サーモンの遺伝子を組み込み、成長を早めたアトランティック・サーモンの商用養殖の認可に向けて動き始めている。
受精卵クローン牛、体細胞クローン牛、遺伝子組み換え魚など、安全性が確保されないまま、新しい食品がどんどん認可されていく事態が危惧されている。自然の摂理に反する。これらの生命改造食品は異常が多いだけに、食卓の不安も増幅する。
82年、米国ワシントン大学ハワード・ヒューズ医学研究所のR・D・パルミッターらは、ラットの成長ホルモンを作り出す遺伝子をマウスの受精卵の中に導入した。このマウスは、それまでの遺伝子組み換え動物とは明らかに違っていた。異なる種の遺伝子を持つだけでなく、その遺伝子が作用したことで、明らかに姿形を変えた動物だった。通常の2倍の大きさにまで成長した、スーパーマウスである。
スーパーマウス誕生以降、遺伝子組み換え動物づくりが増えてきた。また、動物に人間の移植用心臓をつくらせたり、医薬品の成分となる乳をつくらせるなど、様々な分野での実験が行われている。実験動物の種類も、マウス以外に豚、牛、山羊、羊と広がった。
特に力が入れられたのはスーパー牛だった。スーパーマウスづくりが成功したため、研究者達は、成長ホルモン遺伝子を入れて、早く成長し大きくなる家畜づくりに取り組んだ。2倍の大きさの牛をつくる予定だったが、この試みはうまくいかず、誕生した牛は立ち上がることも出来ない状態だった。シーパー牛計画はあえなく挫折した。
なぜ失敗したのだろうか。基本的には、生産効率を追い求めて、自然の摂理を無視したからだと言える。成長とは、複雑な要素が絡み合った現象であり、成長ホルモンをつくる遺伝子を入れることで成長の仕組みに歪みが生じたと考えられる。自然の摂理に反する行為が、牛に悪い影響をもたらした。草食動物に肉骨粉を与え、共食いを強いたことがBSE の原因になったように、自然の摂理に反する行為を反省する時期にきたといえる。