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年金問題:フランス全土で200万人のデモと波状的大ストライキ [「ル・モンド」転載:JRCLかけはし2003.6.2号より]
http://www.asyura.com/0304/hasan26/msg/755.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 29 日 19:35:57:


年金制度改悪阻止へ


 ラファラン右翼政権が打ち出した年金制度大改悪案(フィヨン計画)の撤回を求めて、フランス全土を揺るがす大闘争が展開されている。数百万規模のデモと、国鉄、電力、テレコム、金融、教育、医療、航空など主要分野で過半数をはるかに超える労働者が参加した波状的ゼネスが続いている。この闘いの最大の特徴は、二大労組CFDTとCGTの動揺と屈服を、左翼勢力のイニシアチブによって突破して展開されていることだ。


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オリヴィエ・ブザンスノー(LCR・第四インターフランス支部 )に聞く
「5月13日の全国ストとデモは永続的大衆動員を切り開いた」

――五月十三日のこの闘争からどんな総括を導き出すのか

 いずれにしても、皆の雰囲気はよい。連中がわれわれに準備しているのは殴り合いのケンカだ。退職年金制度をめぐって、政府は公務員を責めるだけで満足せずに、同時に四十二年間の保険料拠出期間を選択することによって民間労働者との闘いをも求めている。社会保障と民営化と人員整理が問題になっているのだ。今日、このことははっきりしている。社会の闘いが開始された。そこには勝者と敗者が生れるだろう。そして、当面の勝利とは、私にとってフィヨン計画の「引退」(撤回)である。

――数日前、あなたはゼネストを訴えた。これは、労働組合の頭越しにことを進める、そして最終的には労働組合に取って代わるやり方ではないだろうか。

 もちろん、そうではない。それはわれわれのやり方ではない。今日、波状ストライキの問題をめぐって、社会と労働組合から成る左翼は二つの陣営に分かれている。つまり、政府の計画の枠内にとどまっている陣営とその撤回を要求する陣営とに分かれており、後者の陣営に属しているのがわれわれだ。そして、これは明らかに政治的問題なのだ。
 LCRは現に存在している潮流であり、ストライキを推進する活動に加わっており、それに対して政治的発言を行う。LCRは波状的ゼネストに向かうすべての訴えを支持している。私にとって、フィヨン計画の撤回まで波状ストのスローガンを支持しなければならないのは、社会的・政治的左翼全体なのだ。なぜなら、左翼の未来がそこにかかっているからである。いずれにしても、決定を下すのは労働者の総会である。

――しかし労働組合指導部の大部分は、五月十四日以降の波状ストのスローガンについてためらってはいないとしても、慎重だが?

 それはより微妙な問題である。教育部門のFSU(統一組合同盟)やSUDも波状ストを訴えている。さらに、波状ストを望む組合の枠を超えたアピールも出されている。そうしたグループから私はCFDTを除いている。CFDTは政府の改革案の枠内に位置しているからである。それ以外の組合がどういう態度であるかは、今後明らかになるだろう。CGTの指導部が当面、五月二十五日のデモしか支持していないというのは本当だ。これは驚きだ。だが、いずれにしても、一九九五年のときに十分に分かったように、サイを投げるのは労働者だ。

――チュールでデモを行った社会党のフランソワ・オランド第一書記は、五月十三日という日が社会党員の行動への復帰を画するものだと評価したのだが、この発言に同意するか?

 社会党指導部は、年金問題をめぐる大衆動員がその目を自分たちの隊列に向けてくれると考えている。彼らは空想にふけっているのだ。この党の指導部は、われわれがデモで出会うこの党の活動家をも含むデモ参加者からはるか遠く隔たっているのだ。私が思うに、フランソワ・オランドは、かつてフランス社会党第一書記になることを確信した時、すべての労働者への四十年間の保険料拠出期間への支持を表明し、そうすることによって年金の自由主義的改革の論理に組み込まれてしまった。

――それでは、自由主義的でない年金改革とはどのようなものなのだろうか。

 それは社会の選択にかかっている。われわれは改革を求めるが、その改革とは反資本主義的な方向での改革だ。資金はこの国にも他のすべての国にもあるのだ。資金がないなどというのは口先だけのごまかしだ。年金問題審議会は、その報告の中で、三十七・五年間の保険料拠出期間への復帰のための年金資金の負担の二〇四〇年における見通しは、国内総生産(GDP)の〇・三%となるだろう、と説明している。GDPのわずか〇・三%だ。反資本主義者であるわれわれとしては、弱気になってそうなるものと信じたいのだが。年金の全体的な財源に関しては資本所得から取り立てる必要があり、この二〇年間行われてきた賃金から取ることを止めなければならない。

――あなたにとって、来るべき数カ月間に左翼はどうなるでしょうか。

 共産党と緑の党は、社会党を取巻く衛星的存在にとどまっている。そして、共産党員は、社会民主主義に向かうあらかじめ分かっている破産かネオスターリニズムへの復帰かという二つの選択の間で動揺している。私は、共産党が反資本主義的統一勢力という第三の道を自ら拒否しているのを残念に思っている。
 いずれにしても今日、右翼政府に対する左翼の真の反対勢力は、年金問題をめぐって高揚しつつある大衆動員の運動の中で形成される。付け加えれば、社会党のオランド氏にこう警告しなければならないだろう。五月十三日から今後起こることは、かつての多元的左翼の復活ではなくて、社会問題の復活である。しかも、この二つのことはまったく違うのである。聞き手はカロリーヌ・モノー『ル・モンド』(二〇〇三年五月一七日)『ル・モンド』


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解説
既成労組の屈服と動揺を突破した下からの大衆的イニシアチブ

 【かけはし編集部】五月十三日、フランス全土で二百万人近くの労働者がデモを行い、それと並行して十三日、十四日と公共交通、航空、郵便、電信電話、学校、病院などで全国的な波状ストライキが続いた。今回の闘争は、フランスの社会情勢を変えた一九九五年末の公共部門のゼネスト以来の最大規模の労働者の闘いであり、いまフランスは再び、九五年のように、労働者の全国的闘争と政府との全面対決が始めるかどうかの岐路に立とうとしている。


年金改悪は形を変えた民営化攻撃だ

 この対決の最大の争点になっているのは、政府が打ち出している年金改革計画(フィヨン計画)である。現行制度では、年金の資金のうちで、労働者負担部分を、公共部門労働者は三十七・五年間、民間労働者は四十年間、支払い続けることによって、年金の支給を受ける権利を取得できるのであるが、政府はこれを公共、民間、一律に二〇〇八年から四十年間の保険料拠出期間にする計画を打ち出したのである。

 なおひどいことに、政府のフィヨン計画は、これにとどまらず、さらに二〇一二年には一律四十一年間に、二〇二〇年には四十二年間にまで延長されるという。また、支給される年金額は、現行の基準賃金の七八%から六六%に引き下げられるという。政府はまた、現行の世代間の集団的連帯にもとづく賦課年金制度を解体して、個人による年金の積立方式の個別積立年金制度に切り替えていくことをめざしている。この方式では、基金は当然、株式市場を通じて「運用」されることになり、人々の連帯は世代間の集団的連帯に支えられたものから、市場に翻弄(ほんろう)されるまさに個人の年金そのものになってしまうだろう。

 この攻撃は、公務員の待遇=地位の解体を意味し、形を変えた民営化攻撃にほかならない。この間、フランスでは、電気、ガスの民営化が焦点になっており、これに反対する公共部門の労働者の闘いが日を追うごとに規模を拡大して発展しつつあった。この民営化反対運動と年金制度をめぐる闘いとさらに民間におけるACTやデウ(大宇)などの大量の人員整理に反対する闘いが合流して、五月十三日の一大闘争となって爆発したのである。

2大労組の屈服と動揺を突破した

 五月十三日に向けては、このような労働者の闘いの盛上がりにもかかわらず、新自由主義路線に完全に屈服したフランス第二のナショナルセンターCFDT(フランス民主労働同盟)の指導部はほとんど動かず、フランス最大のナショナルセンターのCGT(労働総同盟)も、欧州労連加盟問題から始まったCFDTとの「提携」路線をいぜんとして維持したままであった。
 この状況に対して、下からのイニシアティブが取られた。これは「千人のアピール」と呼ばれるもので、「公正な社会のために連帯に基づく年金を」という題で、政府のフィヨン計画に対して全面的な反対を表明するもので、公共部門も民間部門も一律に三十七・五年間の保険料拠出期間をという要求を打ち出していた。
 このアピールが出されると、SUD(連帯・統一・民主労組)系だけではなく、CGT、CFDT、FO、教員のFSUなどの多くの組合活動家が組合の枠を超えて賛同を寄せ、ATTAC、AC!(反失業共同行動)、DAL(住宅権利協会)などの社会運動団体、さらには多くの研究者が次々と賛同に名前を連ねるようになり、賛同者はたちまち三千人以上にふくれ上がった。
 そして、これらの賛同者は、五月七日にパリで、年金改革の問題点と今後の闘いの方向について百五十人が集まって討論集会を開催した。同様の催しはリヨンやリールやトゥルーズでも開かれた。この署名キャンペーンは、既存のナショナルセンター指導部からのイニシアティブの不在にもかかわらず、今回の五月十三日の闘争を社会の中で大衆的に準備する役割を果たした。一九九五年末の公共部門のストライキの中で実現されたフランスにおける「社会の連帯」はいぜんとして生きていたのである。

波状的ゼネスト状態が続いている

 こうした下からのイニシアティブを受けて五月十三日の大衆動員は巨大な規模になった。デモ参加者の規模は、パリで二十五万、マルセイユ二十万、トゥルーズ十万人、ルーアン、グルノーブル、ボルドー四万から五万などに達した。RATP(パリ交通公団)のストライキを始めとして、波状ストライキも並行して打たれ、スト参加者は、国鉄で六五%、電力公社で八〇%、フランス・テレコムで七〇%、学校で七六%、公共金融機関で七〇%から八〇%の労働者であり、全国の病院、航空部門もまたストライキに突入した。こうして、フランス全土の公共機関はほぼ麻痺状態に陥り、十三日のストに参加した労働者のかなりの部分が、AG(職場総会)を開いて十四日への波状ストの続行を決議した。
 今回の闘いは、CFDTとCGC(管理職組合総連盟)が政府案を受け入れたために、労働者はとりあえず闘いの矛(ほこ)を収めたが、五月十九日に再び、デモとストライキが呼びかけられている。CFDT傘下の労働者の間でも闘いの意欲は存在する。CGTのベルナール・チボー書記長は当初、次の闘争日をずっと後の五月二十五日にするという呼びかけを行ったが、労働者の圧力は強く、CGT系の多くの組合も五月十九日の闘いに参加することになるだろう。
 ここに掲載したのは五月十三日の闘いについて「ル・モンド」紙に掲載された、LCR(革命的共産主義者同盟――第四インターナショナル・フランス支部)のオリヴィエ・ブザンスノーとのインタビュー。

http://www.jrcl.net/web/frame0362h.html

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