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<エディトリアル>
卑しい政治家たち
作家・城山三郎が一刀両断
http://www.weeklypost.com/jp/030606jp/index/index1.html
どさくさに紛れて、5月23日に成立した個人情報保護法は、“雑誌黙らせ法”である。
同法では、個人情報を取り扱う事業者に対して情報の利用目的を限定するなどさまざまな義務を課しているが、報道機関への適用は除外される。しかし、報道機関として例示されているのは、<放送機関、新聞社、通信社その他>。出版社が入っていないのは、偶然でも忘れたわけでもない。与党政治家たちのたっての意向なのだ。
法案成立直前の20日、参議院「個人情報の保護に関する特別委員会」に参考人として出席した作家の城山三郎氏は、法案成立に動いた政治家と官僚を指して「卑しさを遺憾なく発揮した」と斬って捨てた。
「巧妙な分断作戦が実行されました。政治家は官僚と結託し、新聞、テレビを別枠にして、まず第一に報道機関を分断して切り崩した。一方、私たち作家やジャーナリストが調べる自由、書く自由は与えるという。しかし、雑誌や出版がコントロール下におかれてしまうと発表する場所がない。自分の原稿を(読者ひとりひとりに)見せて歩くよりしょうがなくなるわけです。つまり書き手と書く場をも分断した。これら2つの分断工作は、非常に卑しい動機から始まっていて、肌寒くなる思いすらします」
城山氏がいう「卑しい動機」を、同じく委員会に出席した日本雑誌協会個人情報・人権等プロジェクトチーム座長の山了吉氏が代弁する。
「要するに、放送機関は放送法で管理できる。新聞社は記者クラブがある。出版社の場合はひも付きではないから、どこからどう攻めてくるかわからない。だから出版社、雑誌は『報道機関』から外したいということです」――。
実際、雑誌協会の度重なる要請にもかかわらず、現役の閣僚、与党議員の一部は、報道機関に出版社を含めることに最後まで強硬に反対した。
外務省の機密費流用事件や宗男疑惑、田中真紀子元外相の秘書給与問題などの疑惑追及は、雑誌、特に週刊誌の報道を端緒にしている。政治家や官僚にとって新聞、テレビは“身内”だが、週刊誌は“敵”ということなのだ。今後、週刊誌がそうした取材に動いた場合、「報道ではない」と判断されれば、疑惑はそのまま闇に葬られかねない。
城山氏は、政治家と官僚のなりふり構わぬ露骨な姿勢に大きな危機感を抱いている。
「憲法で保障された言論表現の自由は民主主義の根本。地下茎に等しいものだと思います。これがあるから職業選択の自由とかあらゆる自由が芽を出している。言論の自由をだめにしてしまえば、自由は全部枯れてしまう。こんな乱暴な法律を作ることに動いた人たちにはもう二度と議場に現われてほしくない。強い怒りを覚えています」
この国はいったいどこへ向かおうとしているのか。本誌は闘いを続ける。