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「そもそもりそなグループは、2003年3月期段階で実質的な債務超過状態に陥っていたのではないか、という指摘が関係者の間に根強くあるのです…」
日銀幹部がこう指摘してみせる。
りそなグループの監査を担当する新日本監査法人は5月9日段階で同グループに対して、「繰り延べ税金資産をすべて除くと債務超過にある」という通告を行った。
このこと自体、驚くべきことだが、一部の関係者の間では比較的よく知られた話だ。前述の日銀幹部が改めて指摘するまでもないといえるだろう。
「私が言いたいのはそういうことではないのです。仮に会計ルールで認められている5年分の繰り延べ税金資産についてその全額を資本に算入したとしても、資産査定を厳格に行ったならばりそなグループは、債務超過に陥ってしまうのではないか、ということなのです」(前述の日銀幹部)
もしこのことが事実だとしたら大問題だ。仮にそのことを裏付ける“資料”や“証言”が出てきてしまったなら、ほぼ決まりつつあるりそなグループの処理スキーム問題は後述するように根底から引っくり返ってしまうことになる。
メガバンク経営中枢幹部が言う。
「私もそのことについては耳にしたことがある。りそなグループが実質的な債務超過に陥っていることを示す“資料”あるいは“物証”が存在するというのです。しかもその“物証”の類は、近々表面化してくるのではないか、という指摘もあるのです」
今回、“繰り延べ税金資産”の取り扱いをめぐって、りそなグループと新日本監査法人との間で激しい攻防戦があったことは、よく知られたところだ。
そして水面下でこうした“攻防戦”が繰り広げられていたことについては、マスコミ各社は比較的早い段階でつかんでいたのが実情だ。
それというのも、新日本監査法人サイドからの“内部告発”あるいは“情報リーク”が各方面−マスコミ、野党−に対してあったからだ。そのために前述した“攻防戦”は、一気に衆人環視の状態に置かれてしまったのだ。
「りそなグループに関しては、一貫して“国有化回避”で動いていた金融庁事務方も、この“内部告発”の前にはそれを断念せざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです」(金融庁幹部)
そしてここへ来て金融庁サイドが戦々恐々としているのは、そうした“内部告発”とワンパッケージの形で、りそなグループが債務超過に陥っていたことを具体的に立証する“物証”が流失している可能性があるという点だ。
「もし仮にそうした“物証”が出てきてしまったなら、りそなグループの再生処理スキームは一気に崩壊することになるだろう。なぜなら、このスキームは“破綻前”であることを前提にしているからだ。債務超過ということなら、破綻処理スキームを適用しなければならなくなる−」(日銀幹部)
もっとも金融庁サイドもそうした事態を回避するために、「資産の再査定は行わない−」と明言している。
「再査定を実施して債務超過に陥っていることが実証されたら大変なことになるからでしょう。しかし何らかの内部資料が出てきて債務超過が実証されてしまったなら、金融庁サイドとしても極めて苦しい立場に追い込まれることになることは間違いない」(日銀幹部)
2003/5/23