現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産26 > 476.html ★阿修羅♪ |
|
「そもそも官邸サイドとしては、りそなグループに公的資金を投入するにあたって預金保険法102条を適用させることに相当強い抵抗があったと言っていいだろう。りそなグループに公的資金を投入して資本増強を図ることに決して反対していたわけではない。むしろ前向きに受け止めていたと言っていいだろう。しかしこの条文を適用させる形で公的資金投入を図るとなると話はまた別です。官邸サイドはその適用にあたって相当な逡巡があったことは間違いありません−」
官邸中枢スタッフがこう言ってみせる。
預金保険法102条を発動させるにあたっては、以下に示すような前提条件が必要とされる。
「国または地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずる恐れがあると認めるとき−」
前述の中枢官邸スタッフがこう説明する。
「そもそも預金保険法にこの条文が盛り込まれたのは宮沢内閣の時のことです。この条文を定めた預金保険法改正案は、国会でさしたる議論を呼ぶこともなく、スーッと通ってしまったのです。そもそもこの条文の意味するところは、言うなれば“国家”の破産法制のようなものなのです。つまり、日本国破産であるとか金融システム崩壊といったような状況下で発動することを前提に作られた条文なのです」
そうであるならば、今回、りそなグループに大して預金保険法102条を適用して公的資金を投入したことは、条文の拡大解釈になるのではないか。
「その通りです。我々官邸サイドが悩んだのも実はその点だったのです。そうした制定の経緯や条文主目から考えても、預金保険法102条は、いわば“抜かずの宝刀”。それをこの局面で抜いていいのかどうか…、そうした意味での逡巡だったのです」
現在、金融審議会(首相の諮問機関)では、金融システム危機に陥る前に公的資金を注入できる新制度(予防的注入)を検討中だ。
「今回の公的資金注入がイレギュラーなケースであることは間違いない。従ってそうした新制度を制定することは必要だろう。そして今回、官邸サイドが抵抗を憶えたのは、何といっても“金融危機対応会議”というネーミングだ。我々が危惧したのはこの会議を開くこと自体、国民の間に動揺を呼ぶのではないかということなのです」(官邸中枢スタッフ)
こうした状況から考えて、小泉純一郎首相以下官邸サイドが、当初からりそなグループに対する公的資金注入に前向きではなかったことは明らかだ。
「まさにギリギリの選択」(官邸中枢スタッフ)
というのもうなずける。
金融庁幹部が言う。
「はっきり言って、金融システム危機を未然に防ぐという点で現行の制度はあまりにも不十分。こうした状況下でさして混乱もなく、りそな問題を着地させたことは奇跡に近い、仮に、りそな経営陣が公的資金注入に徹底抗戦していたならば、大混乱に陥っていただろう。そうした状況を考えると、ぞっとする−」
今回のケースは、まさに幸運だったという他ないだろう。
公的資金の予防的注入に関する新たな制度の早急な制定が望まれよう。
2003/5/22