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株式日記と経済展望:読み誤った時価会計導入時期 (藤原美喜子) 大蔵官僚は会計音痴で会計士は国際音痴である
http://www.asyura.com/0304/hasan26/msg/451.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 22 日 14:02:43:


サイト:http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu47.htm


2003年5月21日 水曜日

(前略)◆政府に焦りがあった


日本企業の会計情報に対する不信感を払拭するため、政府は1998年、金融商品への全面時価会計導入を決定。この結果、01年9月から有価証券は目的に応じて、(1)売買目的の有価証券、(2)満期保有目的の債券、(3)子会社及び関連会社株式、(4)その他の有価証券――に分類され、(1)と(4)に時価が適用されることとなった。

持ち合い株式は(4)のその他の有価証券に分類され、時価評価の対象となった。この会計ルールの変更により、銀行及び企業の経営者は9月と3月の決算期に本業とは別の、株価という頭痛の種を抱えるようになった。その理由は株価次第で持ち合い株式からの多額の評価損が生まれ、それにより企業収益が大きく左右されるようになったからである。

証券・金融市場のグローバル化に伴い、各国で異なる会計基準を国際会計基準の下で統一していく方向性は正しい。売買目的の金融商品に時価会計を導入するのも正しい。
しかし、時価会計の導入時期と、売買を目的としていない長期保有の有価証券に対する時価導入には、慎重さが欠如していたようだ。

時価会計主義は、大昔からあったわけではない。80年代前半、英国は高インフレに見舞われ、資産額を物価に合わせて再評価する会計方法「インフレ会計論」を唱える会計学者たちは、英国の会計学会を二分した。当時、英国の大学院でファイナンスを専攻していた筆者にとり、会計学は必修科目の1つであった。時価会計のグローバル化はその後、ユーロ市場の拡大化と、英国のインフレ会計の流れをくむ会計士、学者、かつ会計理論を同じくする英連邦の国々が中心となり広がっていった。

時価会計主義は、その会計理念に大きな欠陥を抱えている。好景気で株や不動産が上昇している限り、時価会計は資産価値を増やし、時価会計導入企業に対し有利なフェア・バリューを見せ続ける(例=インフレ率10%の下では、時価会計は資産価値を増やしていく)。しかし、長期的デフレ経済下では、企業の財務諸表をますます悪化させる。

バブル崩壊後00年度までに、日本の土地・株式の総額は1500兆円下落した。つまりGDPの3年分の資産が失われたことになる。土地総額はいまだに毎年70兆〜80兆円下落している。この100年に1度といわれる深刻なデフレ不況下で持ち合い株式への時価会計の導入が決定されたのである。
なぜ日本公認会計士協会と政府は、持ち合い株式に対する時価会計導入の時期を誤ってしまったのだろうか。理由を4つ挙げてみたい。


(1)会計のグローバル化の流れに「遅れてはいけない」という気持ちが先走り、会計の理念を関係者と十分に議論せずに導入時期を決めてしまった。公認会計士は企業の経営者ではない。デフレ不況下での時価会計導入のツケの大きさを厳密に把握せずに、会計ビッグバンに突入してしまったようだ。
(2)日本公認会計士協会は、国際交渉に慣れていなかった。
(3)持ち合い株式に関しての監督官庁がなかった。官僚は会計学に疎い(リースへの国際会計基準の導入を見送ったが、持ち合い株式に関しては見送らなかった)。持ち合い解消売りの株式を誰に購入してもらうかに関する戦略が欠如していた。
(4)株の持ち合いを奨励しているドイツ・フランスとの連携を試みなかった。その結果、ドイツ・フランスは持ち合い株式に時価会計を導入せず、日本だけが導入してしまった。


◆時価会計凍結は可能か


日・米・欧ともに、売買目的の有価証券には時価が適用される。これは正しい。米国会計基準は、売買目的の有価証券の定義を「短期間の価格差に基づいて利益を生み出すことを目的とするもの」としている。日本の場合は、有価証券の期間に関しての明記はない。米国では銀行の株式保有を禁止しているが、フランスやドイツでは株の持ち合いが行われている。フランス・ドイツでは「売買目的でない長期保有目的の持ち合い株式に時価会計を導入するのは誤り」といまだに簿価を使い続けている。

日本の株式持ち合いは、売買を目的にした投資ではない。短期保有目的の有価証券でもない。持ち合い株式は、市場性の高い金融商品ではあるが、時価の変動で保有の増減を決める類の金融商品ではなく、政策投資である。実際に持ち合い解消売りの場合、市場価格を使わずに相対で取引されることが多い。今から時価会計を凍結し、簿価に戻ることは可能だろうか。答えは「ノー」である。簿価に戻ることは日本の財務諸表に対する投資家の不信感を高めるからだ。その上、取得原価に戻る場合、システム対応についてのコストも考慮しなければならない。また、02年度末の会計数字まで遡及すべきかどうかについても議論しなければならない。(後略)


読み誤った時価会計の導入時期 藤原美喜子:http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fujiwara/02.html


先週の16日に株式日記で自衛隊と憲法の関係について触れた。そうしたら小泉首相は昨日の国会で次のように述べました。

首相は自衛隊について「わたしは実質的に自衛隊は軍隊であろうと(思う)。それを言ってはならないということは不自然だと思っている」と述べ、「軍隊」だとの認識をあらためて表明。「いずれ憲法でも自衛隊を軍隊と認めて、不毛な議論なしに(自衛隊に対して)しかるべき名誉と地位を与える時期が来ると確信している」と述べ、憲法改正による軍事力保持の明確化に積極姿勢を示した。(共同通信)[5月20日20時20分更新]

やはり小泉首相は私のホームページを読んでいるのだろうか。たぶんこれも偶然の一致だろうが、私が常にタイムリーな時事問題を解説している証であると思う。9、17以前だったら小泉首相の首が飛びかねないタカ派の発言ですが、野党を初め、朝日ジャーナリズムもやけにおとなしい。朝鮮総連の政治工作が麻痺してきた証拠だ。中国もSARSで日本に強く出られない。

このように外交では日本も普通の国へ向かいつつありますが、経済だけはますます混迷を深めている。日本の政治家も官僚たちもアメリカからの圧力に負けて、会計規則を改悪してしまった。BIS規制も、時価会計も、ペイオフの解禁も経済政策は逆噴射ばかりやっている。

株式の持ち合い制度も、日本企業が外資の企業買収に対抗するために作られた戦略ですが、かえって外資の謀略に逆手を取られて悲惨な目に遭っている。私は何年も前から時価会計制度に反対してきたが、弊害がわかってからでは遅すぎる。愚者は経験でしか学べないのだろう。

時価会計制度は1998年の金融ビックバンに伴って導入されたものですが、金融ビックバンそのものが当時の橋本内閣の大失策だ。橋元首相は日本経済がこれほど酷いとは思わなかったそうだ。いったい大蔵省は何をしていたのでしょう。この金融ビックバンのお膳立てをしたのが榊原英資大蔵省審議官だ。

確かに株式持合いのも弊害がかなり目立っていたことも確かだ。株式を持ち合っていれば外資から買収攻勢を避けることが出来たが、一般株主の経営陣へのチェックが効かなくなってしまったことだ。大株主の大企業も融資を受けている銀行への批判はしにくい。だから銀行員が高給を貰っていても批判は出来なかった。

どうやら時価会計制度を凍結することは難しいようだ。ドイツやフランスと手を組んで抵抗すべきだったが、政治家や官僚は無能だった。一部上場の持ち合い株式の総額はどれくらいだろうか。以前にも書きましたが、時価総額の1割の30兆円ほどだろう。ならば政府や日銀が一時的に持ち合い株を買い取ってしまえばいい。

実際に日銀は銀行が所有する持ち合い株式の一部を買い取っている。これをもっと大規模に実施すべきである。そうしなければメガバンクは次々と「りそな」の後を追って倒産してゆくだろう。そして次々と日本の資産が外資によって買い取られてゆく。この事を小泉首相は「構造改革が進んでいる」と言うらしい。南堂氏は構造改革について次のように書いている。

朝日の「声」欄の最初に、興味深い投書が掲載されている。「18歳の女性受験生です。景気が悪くて、家計が破壊されかけています。進学したいが、お金がない。進学してもいいものか、迷って、苦しい。真っ暗闇に閉じ込められた気分だ」という声である。これが小泉の「構造改革」の成果だ。

能力のある人も、お金がなくて、大学進学できなくなり、自分の能力を高めることもできなくなる。かくて日本の経済力は大幅にそがれる。……こういうふうに日本経済を劣悪化していく人物が、「米百俵」などと唱えるのは、冗談だろうか? 「米百俵」の教訓は、「教育を大事にせよ」ということだ。なのに小泉は、日本国民の教育機会を大幅に奪っている。昔の人は「米百俵で教育を受けよう」とした。小泉は「米五十俵あれば生きていけるだろ。教育なんか受けることはない。生きていくための最低の米だけで我慢しろ」という方針だ。そういう方針で、国家経済の根幹を破壊していく。

 重ねて言う。構造改革によって景気が回復するということはない。そもそも、緻密に計算してみればわかるとおり、構造改革には景気回復の経済効果などはない。構造改革を進めたければ、景気回復策を取ることが必須なのである。小泉の方針は本末転倒と言うしかない。水を撒けば、花は咲く。しかし、花が咲けば水が湧く、ということはないのだ。


ニュースと感想 9月6日の日記 南堂久史:http://www4.justnet.ne.jp/~greentree/koizumi/96a_news.htm


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