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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「日銀、追加緩和の意味」を挙げる。
<結果的にモラルハザード助長、デフレ期待の解消遅らせる> 日銀は、昨日の金融政策決定会合で、当座預金ターゲットの増額修正 (27−30兆円へ)を行った。一言で言えば「不必要な政策」であり、「日銀の節操のなさに失望させられた」と語る。日銀は、「日本経済におけるモラルハザードを助長し、デフレ期待の解消を遅らそうとしている」と言う。量的緩和の拡大が資産デフレの深刻化を意味する可能性が高いことを認識すべきである。今回の銀行部門への公的資金注入と合わせ考えれば、「現在の政府・日銀は、金融社会主義国への誘導を図っているとしか思えない」。経済政策運営はかつて類をみないような、最低のレベルに あるのではないだろうか、と懸念する。
<当座預金ターゲット増額修正は、円高圧力を緩和>
【1】 当座預金ターゲットの増額修正により、マネタリーベースの前年比伸び率は短期的には20%程度まで回復するであろう。仮に30兆円の当座預金残高を維持できた場合、年末までを展望しても、マネタリーベースの伸び率は14−15%を維持できるのではないか。インプリシットなマネタリー・ベース・ターゲティングが採用されていると考えられる。
【2】 この結果、為替市場における円高圧力が緩和されることになろう。日米マネタリーベースの伸び率格差は4月をボトムに再び拡大する。為替相場に影響を与える要因は様々であるが、為替市場のプレイヤーがマネタリーベースに注目して いることからすれば、期待形成には一定の効果があるとみられる。
<だが、中期的にはデフレ期待を煽る可能性が高い>
【3】 仮に為替相場に対してある程度の影響があるにせよ、マネタリーベースの拡大は、デフレ期待を変化させることには全くならないであろう。むしろ中期的にはデフレ期待を煽る可能性が高い。なぜなら、@そもそも、マネタリーベースの拡大は金融不安の高まり(金融機関の流動性需要の高まり)と表裏一体の関係にあるため、マネタリーベースの伸び率拡大は金融システムの脆弱性が高まっていることをシグナルしているに過ぎない、A日銀が供給する流動性の拡大により、 金融機関の流動性リスクが縮小し、この結果、借り手に対する圧力も低下するため、過剰雇用や過剰設備の調整が遅延する、ためである。Aのルートは、今回のりそな銀行に対する公的資金注入措置によっても強化される可能性が極めて高い 。