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(回答先: 5月18日付・読売社説(1)[りそな国有化]「金融『強硬路線』が招いた結末」 読売新聞 投稿者 小耳 日時 2003 年 5 月 18 日 10:51:01)
【核心】金融健全化 大きなかけ 金融相 失敗なら『病弊』深刻化
りそなグループに二兆円規模の公的資金が追加投入されることになった。一九九八、九九年以来、公的資金の投入を避けてきた金融行政には大きな転換点。竹中平蔵金融相は「これを突破口に金融システムの大改革を」と意気込むが、これで日本の金融は健全化、経済の活性化につながるのだろうか。(経済部・池尾伸一)
◆せめぎあい
十七日夕。りそなへの公的資金投入を決めた金融危機対応会議の終了直後の記者会見。「危機」という重い言葉とはうらはらに竹中金融相の弁舌は軽やかだった。「公的資金は『伝家の宝刀』は抜かないと思われていたようですが、われわれは必要があれば抜くのです」
今回は九回裏の逆転ホームラン−そう竹中金融相周辺は言う。昨年九月の内閣改造で、公的資金の追加投入に反対してきた柳沢伯夫金融相に代わり、「投入積極論者」として就任した竹中平蔵金融相だが、当初から党内の反対勢力や金融庁の事務方の抵抗に遭い「苦戦」を強いられてきた。
就任当初は、銀行の自己資本をルール変更で圧縮するやり方で一気に公的資金を入れようとしたが、自民党の猛反対に遭い断念。今年に入ると、生命保険会社の予定利率引き下げ問題で自民党に妥協し、金融界では「影の金融相は自民党デフレ対策特命委員長の相沢さん」との声が出るほど。「柳沢行政と変わりない」とやゆする声が高まり、金融相は焦っていた。
「厳格に自己資本を算定すべきだと主張する監査法人とりそなが、もめている」との情報はそんな中で突然、飛び込んできた。通常なら決算承認は四月中に終えるべきもの。連休明けも続いているのは異常事態だ。
だが、監査法人の中も揺れていた。「これを認めれば粉飾決算を認めることになる」と主張する担当者に対し、別の担当者は「監査法人が承認しなければ銀行は破たん。地域経済は大変なことになる」と主張。こう着状態が続いた。
こうした中、竹中金融相は十一日朝のテレビ番組に出演して言った。「最近は『鬼の平蔵』でなく『仏の平蔵』と言われているそうだが、やるときはやる」。経営不安銀行が出てくれば金融危機対応会議を開催、公的資金を注入するので決算は厳格に監査してほしい−。りそなの監査法人に対する「サインだった」(金融相周辺)という。
最終的に「りそな」が自力再建断念を伝えてきたのは十五日朝。だがその前日、小泉首相と竹中金融相は約一時間、同行の4%割れが現実になった場合に、初の金融危機対応会議を開くかどうか官邸で議論した。
「ルール通りやりましょう」。これが小泉首相の言葉だった。
◆突破口
竹中金融相は「りそな」への公的資金再注入を、金融システム全体を抜本改革する「突破口」と考えている。金融相の考えるシナリオはこうだ。
3%台後半まで低下した「りそな」の自己資本比率は二兆円の公的資金再投入により、東京三菱など四つのメガバンクより高い10%台まで一気に跳ね上がる。増強された「りそな」が積極的に貸し出しを拡大したりサービスを改善すれば、他のメガバンクの市場占有率(シェア)は奪われ、収益は厳しくなる。旧大蔵省時代の護送船団方式になじんだ現在のトップでは持たなくなり、若手からの事実上のクーデターが起こり一気に改革が進む。改革が進まなければ、そうした銀行は公的資金注入を申請せざるを得なくなり、いずれにしても改革は進む−。
海外に支店を持たずルール上は4%を満たせばよい「りそな」の資本を、10%まで大増強する背景には、金融相のこうした戦略があるとみられる。
◆疑 念
こうしたシナリオの実現は、あくまでも「りそな」が競争力を取り戻すことが前提だ。
「りそな」に対しては経営陣の交代を命じるとともに経営会議に検査官など金融庁の担当者が出席。厳しいリストラの断行を迫ることになる。
しかし、金融界からは国が主導することで、改革が進むかどうか疑念の声が多い。過去の公的資金投入では金融庁は各行に対して、中小企業への貸し出しを数値目標で増やすことを一律に義務づけてきたが、無理な融資拡大は、焦げ付きを増やし収益の圧迫要因になってきた。
国が中程度の規模の「りそな」の改革にすら失敗すれば、国の危機管理能力に疑問が生じ、不信感は他の大銀行にも飛び火し、金融の病弊はさらに深刻化しかねない。
りそなへの公的資金追加投入は、金融システム健全化への大きな「かけ」となる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030518/mng_____kakushin001.shtml