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米シティグループ・インターナショナルのデリック・モーン会長は東京都内で日本経済新聞と会見し、経営戦略を明らかにした。「今後五年間、ビジネス拡大の大半は米国外が舞台になる」と述べるとともに、アジア地域でのシェアを「二―三倍にしたい」と強調。日本については「銀行、証券、資産運用などで事業を強化する」と話した。
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――シティグループの成長戦略としてどんな分野を重視しますか。
「米国内では、買収するかほかの手段をとるかは別として、個人金融分野に一段と力を注ぐ。ただ、向こう五年間となるとグループのビジネス拡大の舞台は米国外だ。地域別には成長率の高いアジアに力を入れる」
――アジア地域の収益はどの程度、拡大余地がありますか。
「二〇〇二年度の税引き後利益は日本が十一億ドル、日本以外のアジアが十五億ドルで、合わせて海外部門全体の六割を占める。それでもアジア各国市場でのシティグループのシェアは五%以下だ。米国内での主要業務のシェアが一五―二〇%に達していることを考えれば、アジア市場でシェアを簡単に二―三倍に高められるはずだ」
――アジアでの戦略展開では、日本も念頭に置いていますか。
「もちろんだ。シティグループは日本で百年以上の実績を持ち、買収や合弁事業によってグループの資本全体の約一〇%に当たる八十億ドル強を投資している。日本市場への関与は揺るぎない」
――業務の成果に満足していますか。
「日本では個人金融、カード業務、富裕層を対象にしたプライベートバンク業務は顧客基盤を確立している。資産運用業務でも様々な販売経路を生かし、外資系で第三位の地位を築いている」
「最大の収益部門である消費者金融業務では、長引く景気停滞に対応して与信基準を厳格化した。三つに分かれていた消費者金融会社を統合し、東京と大阪に融資、回収センターをつくる。これはあくまで効率をあげ収益性を高めるのが狙いだ」
――企業金融や証券業務については。
「日本での戦略展開は三分野にまたがる。一つは企業向け銀行業務、二つは日興シティグループ証券による投資銀行業務、三つは二〇%強を出資している日興コーディアルグループを通じた個人向け証券業務だ」
「日本の金融が商業銀行から投資銀行へと軸足を移すなかで、日興シティはシティグループにとって重要な拠点。日興コーディアルも日本株の低迷など厳しい経営環境のなかで善戦している」
――米国株の見通しはどうですか。
「米国経済はなお健全で、米企業は日欧企業に比べて成長性が高い。米国の株式市場は売られ過ぎの状況にある。この点については日本も同様。五年から十年単位でみれば、株式の運用成績は他の金融資産をしのぐと信じている」
――エンロン、ワールドコムなどの破たんは米国の企業文化を揺るがしませんか。
「ノーだ。会計や企業統治で問題があったにしても、米国には迅速に是正する力がある。米国の生産性の伸び率はなお約三%あり、日欧の約一%を上回っている」
――それなら、なぜドル相場は下げているのですか。
「いまは強すぎたドル相場の自律調整が起きているとみている。ドルが急落すれば問題だが、現状のような秩序立ったドル安には問題ない。それにドル相場が十分に安くなれば、海外から割安な米国の資産への投資が増えるだろう」
(聞き手は
編集委員 滝田洋一)