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需要が低迷するなかで、生産性が上昇し続ければ、失業が増大する。失業の増大は、消費バブルの崩壊を加速させ、輸入の削減、貯蓄率の回復といった構造調整を推し進め、米国経済に極めて明るい展望を切り開くことになる。
1990年代の米国経済は、内需で3.5%の成長を達成したが、それを供給サイドから支えたのは、雇用1.3%、労働生産性2%、純輸入0.3%の伸びであった。労働生産性の伸びが変わらないまま、内需の成長率が2%に下がると、輸入が大幅に落ち込まない限り、雇用の伸びはゼロ以下になってしまう。労働力人口が1%増加しているとすると、その分だけ失業が増大していく。
米国のバブルは、日本にちょうど十年遅れて崩壊したが、米国の主な経済指標は、十年遅れで日本の経験をそのまま追いかけている。経済成長率、失業、金利、株価といった指標であるが、これは、米国経済が日本と同じく、構造調整のプロセスに入っていることを示唆している。瞬間風速を示す成長率といった数字はまだそれほど悪くないが、経済の長期的トレンドは下向きである。
情報技術(IT)バブルに代表される企業の過剰設備投資、住宅ローンの借り換えブームに代表される過剰消費が是正されなくては、短期的にはともかく、持続的な成長はできない。しかも短期金利の急低下にもかかわらず、マネーサプライの伸びは急減してきており、金融政策の有効性は失われつつある。
減税による所得移転も、消費や設備投資を刺激する効果が小さくなってきている。バブル崩壊による企業と家計のバランスシート調整が本格化してきたからだ。米国景気の減速による輸入の減少が世界経済に与えるショックへの対応を用意しておかなくてはならない。
(中前国際経済研究所代表 中前 忠)
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http://www.nier.co.jp/kijikanri/news/news-00506.shtml