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精密株、ユーロ高で笑う?――日経金融スクランブル
12日の東京株式市場では日経平均株価が続伸し、約1カ月ぶりに8200円台を回復した。前週末の米国株高が好感されたほか、通信株などに海外年金とみられる買いが入った。市場からは「相場環境にやや明るさが増してきた」との声も出てきた。当面、相場の好材料の一つになりそうなのが、このところ外国為替市場で目立つ急速なユーロ高だ。ユーロは対ドルで急上昇しており、12日には欧州市場で一時、1999年1月のユーロ導入時近辺の高水準までユーロ高・ドル安が進んだ。対円でもユーロ高の傾向が強まっている。ユーロは導入後しばらく下落が続き、株式市場では米ドルに比べなじみも薄いことから、「弱い通貨」とのイメージを抱く投資家も少なくない。だが米国の情報技術(IT)バブル崩壊以降、ユーロ高・円安傾向に反転。今月9日には一時、同135円台前半と導入以来のユーロ高水準を更新した。特に4月以降はユーロの上昇が加速している。対ドル相場が1ドル=116円台までドル安・円高が進み、為替リスクに関心が集まる中で、ユーロ高による為替差益や輸出競争力の好転にも投資家が注目し始めた。ユーロ高の恩恵を受ける銘柄を探るうえで、地域別のセグメント情報が手掛かりになる。直近の決算(2003年3月期は5月6日発表分まで)について、「欧州」や「ヨーロッパ」などと表記された欧州地域の売上高が全体に占める割合が高い企業を順にランキングした。まず目に付くのは、上位に精密関連銘柄が非常に多いことだ。ミノルタやキヤノン、オリンパス光学工業、ペンタックスなどが代表格。株価も堅調で、昨年末に比べ軒並み上昇している。精密には、カメラや時計などかつて欧州メーカーが世界をリードした事業から会社を興したところが多い。世界に打って出る際に、欧州で評価を得る必要があったことが高い欧州比率の背景にあるとみられる。デジタルカメラが国内外で急速に拡大するなど本業はおおむね好調だ。
「ユーロ高効果への期待から株価の一段高も10分期待できる」と新光証券の瀬川剛エクイティストラテジストは予測する。ソニー株からの乗り換え対象に、ユーロ高を材料として、ブラザー工業やペンタックスなどが浮上する可能性もあるとみる。
一部の自動車関連も投資家の関心を集めそうだ。欧州に比較的強いマツダは既にユーロ高を材料に株価が値上がりしているが、堀場製作所やサンデン、光洋精工など欧州比率が高いメーカーも引き続き堅調になる可能性がある。
銘柄選別のうえで、米国市場との関係を考える必要もありそうだ。ニコンは米国の売上高比率が欧州を大きく上回り、ユーロ高の恩恵はドル安の為替差損に及ばないと見られる。ミノルタなど欧州と米国の比率が近い銘柄に比べ株価が軟調なのも、こうした点が一因とみられる。
「ヤマハ発動機や日立マクセル、任天堂など米国比率の方が高い銘柄は為替面からは株価が低迷する公算がある」と三菱証券の藤戸則弘シニア投資ストラテジストは指摘する。ホソカワミクロンなど本業が振るわない銘柄も株価上昇は難しそうだ。
ユーロ圏はまだ利下げ余地が大きく、日米に比べ経済は堅調に推移するとの観測が強まっている。東欧へのユーロ圏拡大など潜在的な成長期待もある。短期的にはユーロ高が修正される場面もあるが、「域内競争で企業の生産性が強まることなどを考えると、長期的にはユーロ高傾向が続く」(みずほインベスターズ証券の桜井宏・主任エコノミスト)との見方が多い。
精密業界などは「円高・ドル安の為替リスクを減らそうと、欧州にも積極展開した」(オリンパス)面もある。北米の景気鈍化懸念、アジアで広がる新型肺炎――。欧州に強い企業は、単なる消去法でなく、国際的な地域リスクを巧みに分散した経営を評価して買われる可能性がある。
(小野利也)