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「もはや都市銀行の預貸率(貸金÷預金)が、かつてのように100%を上回るようなことは絶対にあり得ない。それというのも都銀各行の貸出金の絶対額は、間違いなく縮小傾向にあるからだ。しかしその理由を、世に良く言われる“貸し渋り”や“貸し剥し”だけに求めることは全くナンセンスな話だ。例えばメガバンク各行は、ここへ来て『シンジケートローン』への取り組みを本格化させつつある。こうしたことも、貸出金の絶対額が今後大きく減少していく要因となり得る…」
メガバンク首脳がこう指摘してみせる。
昨日(5月7日付)の当コラムでは、今月3月末時点における都銀トータル(全7行)の預貸率が、初めて80%の大台を割り込んだことを指摘させていただいた。
そもそも都銀各行の預貸率は、戦後の高度成長期以降、一貫して100%を上回っており、都銀業界ではオーバーローン(貸金超)状態が恒常化していたと言っていいだろう。
その“オーバーローン状態”がターニングポイントを迎えたのが、2001年10月末だ。この時点を持ってして都銀の預貸率は100%を割り込み、以降その預貸率は急降下していくこととなる。
それはなぜか。
メガバンクの都内支店長が言う。
「それはメガバンク各行が正常先だけしか相手にしないからですよ。メガバンク各行の基本方針としては、『要注意先以下に区分される企業については、良くて現状維持(新規融資には応じない)。利上げ交渉等に応じない場合には、回収を図るべし−』ということが徹底されているのです。これでは預貸率が低下していくのも仕方がない…」
まさに“貸し渋り”、“貸し剥し”の世界だ。もっともこうした「基本方針」の影響が直撃するのは、中小企業に限定されるといえるだろう。
中堅、及び大企業−つまりは上場企業については、メガバンク各行は、また全く別のロジックを適用し、貸し出しの絶対量の圧縮を図ろうとしているのが実情だ。
ここでいう「全く別のロジック」とは、本稿冒頭のコメントでも登場した「シンジケートローン」のことを指す。
この「シンジケートローン」とは、複数の金融機関が、“シンジケート団”と称する金融グループを組成し、同一の条件・契約書にもとづいて融資を実行するスタイルのことをいう。
「通常の融資を『シンジケートローン』に切り替えると、リスクアセット(貸出債権)は最大で10分の1にまで圧縮することができる−」(メガバンク首脳)
とはいえ現在、国内シンジケートローンのマーケット規模は、わずか15兆円程度にすぎない。国内のローンマーケットの規模は約300兆円にのぼるから、シンジケートローンのシェアは5%程度にとどまっているのが実情だ。
「とはいうものの、3−5年後にはシンジケートローンのマーケット規模が、100兆円程度に拡大することは確実でしょう」(前述のメガバンク首脳)
仮にシンジケートローンがここまで拡大したならば、メガバンクの預貸率が70%の大台を割り込むことは必至だろう。果たしてメガバンク各行の余剰資金はどこに向かうのか。その行方には、要注目だ。
2003/5/7