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「全銀協(全国銀行協会)の集計によれば、今年3月末時点における都銀(全7行)の預貸率がとうとう80%の大台を割り込んでしまったというのだ。こうした数値から判断しても、いかに大手銀行の金融仲介機能が正常にワークしていないかが分かるのではないだろうか」
大手都銀の経営中枢幹部がこう指摘する。
このコメントを理解するためには、若干の補足説明が必要だろう。
まず、「預貸率」についてだが、これは「ヨタイリツ」と読み、貸出金を預金で割ったもの。
「つまり、この預貸率によって、集めた預金のうちどの程度が貸し出しに回っているかが分かるのです。預貸率は、金融機関の各種経営指標の中でももっとも基本となる数値だと言っていいでしょう」(大手都銀経営中枢幹部)
そもそも都市銀行業界の預貸率は、戦後一貫して100%以上−つまりオーバーローン状態をキープしてきたというのが実情だ。
そのターニングポイントとなったのは、2001年10月末、ペイオフ解禁を前に、中小金融機関から都銀に預金がシフトしてきたことで預金量が急上昇したにもかかわらず、平成デフレ不況が本格化した影響をモロに受け、貸し出しが消極的になったため、預貸率が急降下していったのだ。
この結果、都銀業界の預貸率は、2001年10月末時点で初めて100%を割ることとなり、以降、100%を超えることはなかった。
「100%台を回復させるどころか、都銀の預貸率はその後一貫して下降カーブを描いていったのです。結局、2003年3月末に90%の大台を割り込むことになったのです」(同)
かつて都銀業界がオーバーローン状態にあった際は、都銀各行はその不足資金を銀行間市場を通じて地銀業界や第二地銀業界から調達することでまかなってきたのが実情だ。
ところが、都銀業界が2001年10月以降、オーバーローン状態を解消してしまったため、こうした銀行間市場はまったくワークしなくなってしまったのです。
「このため、一部大手優良地銀の余剰資金は、国債へと向かうこととなったのです。こうしたことから、一部大手優良地銀は大量の国債を保有することとなり、“国債リスク”−つまり金利上昇リスクにさらされることとなったのです」(金融庁幹部)
もっとも、日銀が「ゼロ金利政策」をとり続けている限り、こうした“国債リスク”が表面化する確率は極めて低い、と言っていいだろう。しかし、いったんこうした「ゼロ金利政策」が解除となれば、地銀業界に“国債リスク”が直撃することになる。
「都銀業界において貸出金については、自己資本比率を一定ライン以上に維持する必要性もあることも考えると、どうしても圧縮傾向に向かわざるを得ない。したがって預貸率については、90%前後のラインを維持することがやっとだろう」(大手都銀役員)
こうした状況を考えてみると、今後地銀・第二地銀業界の余剰資金がどこに向かうのか、要注目と言っていいだろう。
2003/5/6