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(回答先: 福井日銀総裁、銀行株買い取りに否定的 ［日本経済新聞］ 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 02 日 21:41:12)
ＵＢＳウォーバー証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん（Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.）は今日のポイントとして、「混乱なくして救済なし」を挙げる。「日銀が、更なる株価支援策に踏み込む可能性は極めて低い」と語る。日銀が登場するのは、株価の大幅な下落と、それを受けた政府による金融危機宣言がなされてから、である。「混乱なくして救済なし」、である。
【１】 政府による金融危機への対応は、「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生 じるおそれがあること」を前提条件に、金融機関の状況に応じて、資本増強、破綻処理、国有化（特別危機管理）といった３種類の措置が採られることになって いる。そして、日銀は、こうした危機対応の枠組みの中で、当該金融機関に対す る流動性供給の責を負っている。金融再生プログラムにも明記されているように 、日銀に期待されている基本的な役割は、特別融資の実施である。金融機関の資本増強は政府（預金保険機構）の任務、流動性確保は日銀の任務、といった形で はっきりと役割分担が決まっている。
＜危機対応でも、日銀の銀行株保有の可能性低い＞
【２】 従って、金融危機対応を想定した場合でも、日銀が銀行の株式を保有する可能性はかなり低い。日銀が国有化の主体になり得ないことは明らかであるが、資本増強のケースでも、預金保険機構という政府機構が存在している以上、日銀に 同機構をさしおいて登場させることには無理がある。日銀が、資本増強目的で金 融機関の優先株を取得する（インサイダー取引の問題から存続金融機関の普通株 を取得することは困難）という選択肢が全くはないわけではないが、政府とすれば、預金保険制度の破綻（？）といった議論でも展開するしかなく、現実的では ない。
【３】 ただ、金融危機宣言が行われた場合には、政府による危機対応と並行して、 日銀が、ＥＴＦ購入や株式買取り枠拡大に踏み切る可能性はある。なお、この場 合は、政府が日銀の大幅な資本増強を認めることが前提条件となろう。ＥＴＦ購 入等の措置は、日銀にとって非通常業務であり、政府による金融危機宣言はその 大義名分を与えてくれる。
＜健全金融機関の普通株取得は、インサイダー取引に・・・＞
【４】 金融危機宣言を行わない状態で、日銀に銀行の普通株を購入させるといった 議論は暴論である。そもそも明確な危機宣言のない状態で、株式購入といった非 通常業務に踏み込んでいること自体、大きな問題である。加えて、健全金融機 関の普通株式を日銀が取得することは、インサイダー取引となる可能性が高く、 法律的なハードルは極めて高いと考えるべきであろう。仮に、日銀が健全金融機 関の普通株式を取得することになった場合、金融政策ではなく、信用秩序維持政 策として行われることになるが、日銀は、信用秩序維持政策として銀行考査を行 っている。個別銀行の経営状態を優越的に知り得る立場にある中央銀行において 、しかも、ファイアーウォールのない状態で、同一の部局が、個別銀行の経営状 態の把握と、その株式の購入を行うことができるのか、少し考えれば誰にでもわかることである。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。