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日本ユニコム・調査部長の渡辺勝方さん(Katsunori Watanabe/Director, Research Dept, Nihion Unicom Corporation )は28日、石油価格見通しについて、次のようにコメント(ほぼ原文通り)するーー。
石油価格が軟調である。WTI原油の当限が5月から6月にシフトした先週半ば時点では28ドル台であったが、本稿時点で26ドル割れに直面している。これを映し東京ガソリン、灯油価格の先限もそれぞれ23000円後半、26000円強まで押し下げられている。 その背景は季節的に最も石油需要の低い2QにSARSの拡大が日ごとに大きく報じられ、需要の下ブレ懸念が台頭しているにも拘わらず、4月24日にOPECが比較的楽観的見通しに立った原油生産枠の取り決めを行った点にある。さらに日本独自の要因として原子力発電所の停止に絡む製油所の稼働率の高さがガソリンの作りすぎ懸念を招いているという点も見逃せない。
【1】現在のWTI原油価格理論値は27.1ドル 2003年3月末時点の日・米・欧の民間石油在庫は20.15億バレルであり、過去15年で最低 レベルにある。この15年分の在庫と価格データの相関性をもとに計算した原油価格理論値は28.4ドルである。4月末の現時点では在庫量は20.6億バレル程度に達していると想定され、理論価格は27.1ドルと試算される。
【2】2Qの需給バランスは日量200〜250万バレルの供給超過 IEAは2Qの世界の石油需要を日量7640万バレルと想定している。これから非OPEC原油供給日量5280万バレルを差し引くと、対OPEC石油需要が同2360万バレルとなる。これは昨年比同30万バレルも低い数字である。これに対してOPECは24日の総会で現状の生産量が2740万バレルであると発表したのである。昨年の2QにはOPECは平均2420万バレルまで減産し、価格防衛に努めたことが忘れ去られたかのようである。6月からは日量2540万バレルの新生産枠を遵守するとの取り決めも、対応が遅いとの感が否めない。もっとも大半の市場参加者はOPECの現在の生産量を2600〜2650万バレルとみており、OPECの公表値は3月のものと思われる。筆者はOPECの生産量を4月2620万バレル、5月2600万バレル、6月2550万バレルで推移すると予想する。これに対し需要は2360万バレルであるから、差引の供給超過量は4月260万、5月240万、6月190万バレルと推定される。(ただし原油の積み出しと消費地の在庫変動の時間的ずれは度外視している。)
【3】在庫増が進み原油理論価格は今後さらに低下 マクロ需給バランスが上記の通り、2Q平均日量230万バレルのペースで増加する可能性があれば、日・米・欧の民間在庫増加は少なくともその6〜7割、日量150万バレル程度の割合で進むだろう。そうなれば5月末の同在庫は21.07億バレル、6月末では21.52億バレルまで積み上がり、対応する原油価格理論値はそれぞれ25.77ドル、24.51ドルに低下する。
【4】SARSが更に需要を押し下げている これらの状況に追い討ちをかけているのが中国を中心としたSARS禍だ。すでにベトナムなど一部の国では新規感染者がストップし、封じ込めが成功しつつあるのに対し、中国では依然として毎日多くの死者が報じられている。SARSの石油需要への打撃は特に航空機燃料で顕著であり、日量100万バレル強のアジアの同需要はすでに2〜3割減少を余儀なくされているとの観測もある。その他の経済活動の停滞化も危惧される。
【5】WTI原油で24ドル台のサポートは強い