現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産25 > 796.html ★阿修羅♪ |
|
UFJつばさ証券・金融市場調査部長の斎藤満さん(Mitsuru Saito/Chief Economist,UFJ Tsubasa Securities Co.,Ltd.)は、「今日の世界経済では、各地の不均衡が発生している」と語る。主要国に限っても、米国は言うまでもなく、財政収支、国際収支の「双子の赤字」に直面し、日本では経常黒字を溜め込む一方、巨大な財政赤字を抱える。そして、民間部門は中小企業を中心に、設備、雇用、債務の「3つの過剰」を抱え、身動きが取れなくなっている。
<縮小均衡は株価・地価下落を通じ、不均衡を増進へ> こうした不均衡を是正するには、足りない部分を補充して拡大均衡を図る方法と、過剰な部分を圧縮して、縮小均衡を図る方法があるとした上で、こう話す。「経常黒字と3つの過剰問題の観点からは拡大均衡が望ましいが、それでは財政収支均衡が一段と遠のく。小泉政権はこの財政赤字の縮小に優先順位を置いたが、結局、これがミクロの不均衡を拡大させ、ひいてはこれが不良債権問題を悪化させ、金融危機を再発する懸念を高めるに至った」。しからば、ということで円安論もあるが、最近では新型肺炎(SARAS)の広がりで、これも難しくなっている、と言う。いかにも八方塞がりの感があるが、「日本の場合はやはり拡大均衡路線が正解ではないか」と言う。縮小均衡は株価や地価の下落を通じて、一層の不均衡をもたらしいかねないからだ。
<財政赤字の拡大でも当面、長期金利は急騰せず> では、財政の制約をどうクリアするか? まず第1に、すでに突出した財政赤字があるが、それ以上に巨大な貯蓄が背後にある。したがって、さらなる財政赤字の拡大がトリガーとなって、長期金利が急騰するといった事態は当面、考えにくい。第2に、90年代の米国は、財政収支を抑制しつつ、規制緩和を柱として民間投資を誘導した。今日の日本では簡単に民間投資が誘導できるか不明だが、当時の米国より、「規制緩和の余地はずっと大きい」と言う。これに税制面から後押しすれば、少なくとも財務健全企業には投資のきっかけになり得る。場当たり的な追加補正ではなく、長期的なプロジェクトの提示で、社会的な不確実性を緩和することを併用すれば、多少なりとも効果が上がるかもしれない。