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(回答先: 緊急株価対策 郵貯資金の活用拡大 2003年4月29日 読売新聞1面 投稿者 ファイナンシャル・ディテクタ 日時 2003 年 4 月 29 日 10:32:58)
株価がつるべ落としに下がっている。7600円すれすれの日経平均株価は21年前の水準。安値更新の常連となった大手銀行だけでなく、日本を代表する優良企業の株まで売られ、「日本売り」の様相だ。企業が抱える株の評価損は雪だるま式に膨らみ、商売で稼いだ利益を吹き飛ばす。株下落が新たな株安材料を生む負の連鎖が続いている。
○株安が株安呼ぶ連鎖
「7500円割れが視野に入った。7000円も否定できない」。28日の東京市場では底値が見えない状況に悲観論が広がった。
前週末からの株価急落は企業業績の悪化懸念や重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染地域拡大、北朝鮮情勢の緊迫化といったマイナス要因が引き起こした。
もともと日本の市場には買い注文を売り注文が圧倒する仕組みが組み込まれている。その一つが厚生年金基金の代行返上に伴う売りだ。日興シティグループ証券の試算では、代行返上の規模は全体で7兆円。約1.5兆円が売られたが「本格化するのは来年、再来年」という。
3月末までは、政府の「3月危機は起こさせない」という意向に売り圧力は抑えられていたが、「新年度に入り封印が解かれた」(市場関係者)という流れが加わった。
一方、買い手は見あたらない。企業の自社株買いも、値上がり期待がもてず、動きは鈍い。ネット取引などで頻繁に売買を繰り返す個人投資家は代行返上売りの対象でない安値銘柄ばかりを売買している。「短期の利ざや稼ぎに過ぎず、株価浮揚には力不足」と市場関係者はいう。
株安は不安定な金融システムも揺さぶる。生保系シンクタンクの試算によると、大手行の保有株の含み損は28日時点で、4.1兆円に上るという。28日、みずほフィナンシャルグループは旧50円額面換算で初めて60円を割った。同グループの町田充常務執行役員は「我々の説明している収益見通しなどの数字が市場の信認を得ていない」と嘆く。
銀行の株安が銀行経営を直撃し、その融資先企業への支援に二の足を踏む。そんな連想が海外投資家の「日本売り」を促し、それがまた銀行株を押し下げる――。「負の連鎖がいよいよ始まった」。あるメガバンクの幹部は漏らした。
○優良企業にも暗雲
「4月は受注が伸び悩んでいる。今後は極めて厳しい見通しだ」。3月期決算を28日発表した日立製作所の八木良樹副社長は家電製品や電子部品、重電など幅広い分野で販売が鈍り出したことを明らかにした。決算は増収増益だったが、同社株は今年の安値を更新した。
昨年春に始まった景気回復は電機や自動車など国際競争力のある産業が牽引(けんいん)してきた。しかし、イラク戦争やSARS感染の急拡大など、世界景気の先行きに横たわるマイナス要因が優良企業も直撃した。映画などが好調で「ひとり勝ち」だったソニーさえ、今年1〜3月のわずか3カ月間で1千億円超の当期赤字を膨らませ、市場に「ソニー・ショック」が走った。
電機大手は当初、9社中8社が当期黒字を予想、急速な「V字回復」を見込んでいた。しかし、28日に出そろった決算で黒字を確保したのはシャープや日立など4社にとどまった。過去2年間に12万人を超す人員削減やリストラで生み出した利益が、株価下落による保有株の評価損で吹っ飛び、年明け以降は景気不透明感が業績を揺さぶっている。
「米国の消費水準は極めて低く、危険水域にある」(松下電器の中村邦夫社長)。頼みの米国市場ももはや期待できない。自動車業界も米国が収益の柱に変わりない。決算は日産自動車、トヨタ自動車が過去最高益を見込むなど好調だが、米メーカーは多額の販売奨励金による値下げ攻勢を強めるなど、「米市場の先行きが読みにくい」(大手幹部)状況だ。
○閣僚・官庁連休モード
小泉首相、竹中経済財政・金融相、平沼経済産業相は海外出張中、福田官房長官と塩川財務相は連休の谷間で休み。内閣府や財務省、金融庁、経産省などの経済官庁の高官もほとんどが休みで不在。株価がバブル後最安値を更新した28日の政府の経済政策は「開店休業状態」だった。
政府は3月にも株価対策メニューを検討したが、「株価下落を止めるためにできる効果的な対策は当面ない」(官庁高官)とあきらめた。
一方、株安に危機感を募らせる与党3党は、5月の連休明けにも関係省庁に緊急対策を要請する構えだ。その内容は新たな株式買い入れ機関の創設や、日本銀行に株価指数連動型投資信託(ETF)や不動産投信(REIT)を買わせたり、郵便貯金や簡易保険などで株式を買い増したりと、露骨な買い支え策がずらりと並ぶ。株価対策を求める市場関係者にすら「あまりにも筋悪」と評判は悪い。
スペイン訪問中の小泉首相は宿泊先のホテルで記者団に「株価対策には即効薬はない。今までの税制、規制、金融、歳出改革を今後もしっかり進めていく」と持論を述べるにとどまった。 (04/29)