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米国の完全勝利宣言直前の世界経済各国戦略分析−1
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 29 日 03:40:28:gb2b4T9TetGkU

米国のブッシュ大統領は航空母艦の船上から「イラク戦争の完全勝利」宣言を5/1発表する予定のようである。イラク戦争完全勝利はすでに「既定の事実」で米株価には織り込み済みで特に重要でない。

問題はイラク戦争後の世界経済がどうなるかだ。イラク戦が短期間に決着したことは喜ばしいことである。一時は長期化して米国経済は二番底を形成しかねないと私も危惧した投稿をした。とにもなおさず、イラク戦争第一ステージが終了した。フセイン元大統領が拘束されるかどうかも問題でない。中央軍司令部も生存情報は把握していないとのことだ。

あっけなくサダムの軍隊が瓦解してしまい、英米、特に米国の「敗戦」を期待していた向きには、大変残念な結果でありました。多数のアメリカ軍将兵と多数のベトナム人が死傷したベトナム戦争での、アメリカが敗北していく姿を期待し、泥沼化して欲しいと無意識に期待した、阿修羅の一部の無邪気な正義を振り回す快楽を覚えてしまった方には、ショックであったでしょう、心地よい快感は、苦痛か絶望に変わってしまったでしょう。お悔やみ申し上げます。

しかし、反米主義者の皆様ご心配なく。アメリカのもう一つの戦争には苦戦しております。
米国がイラクと欧州に対して二つの戦争に臨んだと定義したは、私の私見ではない、日経新聞のコラム新秩序を問うでの定義だ。欧州との経済的冷戦の行方は、軍事的圧勝後欧州各国の米国への擦り寄りという形で、多少変化は見られるものの、世界石油市場に圧倒的低価格のイラク石油が供給されるとか、米国の双子の赤字を誰が埋めるのか?民間の対米投資が激減して、米国経済の不調を説明する隠れ蓑が消失してしまい、パンドラの箱が開けられてしまった。

世界経済は90年以降インフレ時代からデフレの時代に入ったという認識は、世界経済をウォッチしている人間であれば常識であろう。ハイパーインフレの予兆を危惧される方もおられたが、今のところ、危惧すべきは、世界的デフレの進行である。デフレは産業構造の変化による構造デフレであるので日産のように、構造改革を早期に実現した企業は生存可能ではあるが、今年に入り何社上場企業が破綻したり、減資合併したか、簡単に思い出せない。

インフレ時代は1930年代の世界恐慌以後約70年近く続き、特に第二次大戦終了以降は米国自らが大消費国家となって日独伊三国を共産主義から守るためインフレ政策を進めてきた。
ところが冷戦の終了後、特にITバブルの崩壊・米同時テロ後米国は大消費国家から貯蓄大国へと変身した上に、中国と言う国内の矛盾を放置したまま、経済成長輸出に狂奔する低コスト生産国家の出現と、インドロシアといった従来世界経済に組み込まれていなかった人口大国が世界経済に組み込まれ、世界の物価は下がり世界経済のデフレ化は一気に進んだ。
デフレを進行させる原因の一つとして、ITの発展による産業革命の時代へと突入したことも原因の一つである、生産性の向上が、雇用を消失させている矛盾にどれだけの人間が気付いているだろうか?
欧米でもまだ現在のデフレを循環的なデフレと捉える為政者経済学者がいるが、世界経済は、構造的なデフレ経済と変質してしまった。榊原教授は100年デフレと分析している。100年ということはないが、暫く世界経済のデフレは続くことでしょう。

デフレの先進国となった日本はすでに15年間デフレに苦しんでいるがいまだにデフレはスパイラル化を続けている。一方日本のようなデフレにはならないと言っていた米国も近いうちに金利はゼロ%水準になるデフレ対応策を打ち出さなければならないような状況で金融・財政の両面でも政策発動の余地は限られてきている。デフレ先進国の日本は勿論、米国、欧州の各国とも構造デフレに陥っているという考えはなく、日本の社会構造、経済感覚ゼロの小泉内閣に原因を求めがちで、実際日本を含めて、各国対応策もその場限りのものとなっている。

ドルを基軸として回っていた世界経済はイラク戦後の米国経済の減速が確認されることで、漸く世界経済は構造的なデフレに陥ったことに気づくであろう。
米国の経常赤字を誰が埋めればいいか、財政赤字もブッシュの減税で悪化するのが予想されている。欧州勢の米国ばなれが目立ち、昨年の欧州15カ国の対米投資は、2000年に比べ64%減である。米国の経常赤字は4300億ドルから5314億ドルに増え増加中である。民間資本の流入が先細ると、米国経済は高水準の経常赤字を賄えなくなるはずだ。日経の先週の記事だが、あっしらさんも同様な指摘をされ、米ドルの暴落を予想をするアナリストストラジストは多数派である。ところが、イラク戦争終結後、円ドルは三角持ち合いのまま、さすがにユーロドルはドルのじり安だが、大きな混乱は今のところ起きてはいない。
なぜか?答えは4/20の日経経済面記事に出ていた。NY連銀が保管する、日本などの海外当局保有の米政府証券保有残高の急増だ。昨年4兆円=333億ドルのドル買い介入をした、日本の貢献が大きいが、自国通貨をドルに連動させている中国が、自動的に外貨準備を米政府保証債券を買い付ける。昨年は約3兆円近くの242億ドルの買い付けがあった。これにより、米国ドルは暴落せずにいるが、非常に安定性に欠ける。


現在EUの対米黒字が増加中で、日本を抜きつつある。プラザ合意以降円は独歩高したが、今後米国は、ユーロの独歩高を演出するかもしれない。通貨高は輸出競争力の低下を意味している。アメリカは、円高政策で成功した経験則をユーロに対して実施する可能性を考えなくてはならない。90年代初頭の日本に対する円バッシングと同じ政策を採るたユーロ高の動きが感じられる。
現在ユーロはやや買われすぎの動きとなっている。ユーロ高相場はもう7〜8合目まできているとみている。日本の機関投資家が金利の高いこととファンダメンタルズの良さという理由から最近、ユーロ投資を拡大し始めた。一方海外の投資家はユーロ割高との見方を強めてユーロを手離し始めている。日本の機関投資家が一斉にユーロ買いを強めた時点で「梯子はずし」の動きが強まるであろう。ユーロ対円相場は135円〜137円程度が上限ではなかろうか。ユーロ高相場は要注意の時代に入ったと言えよう。夏以降景気悪化に苦しむ欧州と米刻の間ではユーロ高・ドル安をめぐって通貨戦争が起こるのではなかろうか。
ユーロ高が浸透すれば、ボーイングなどは途端に息を吹き返し、エアバス社は失速する。企業業績の好転も予想される。

比較的好調な企業業績に支えられて、米株価は先週前半上昇基調をたどったがその勢いも途中で息切れした。日本時間4/2810時過ぎの現在はだいぶ上昇しているようだが、1〜3月期の米国内総生産(GDP)の実質成長率が前期比1.6%の低い伸びにとどまったことによるものである。米株価は1〜3月期の企業業績の好調さに支えられて先行きの景気見通しは楽観論が主流となっていたものの、イラク戦争の直接的な影響を受ける4〜6月期の業績に企業が不透明感を示したことから、景気の回復力へと関心が向かい出した。直近米景気の先行きの動きを示す経済指標が幾つか発表されるので注目して欲しい。
特に重要視されるのは29日の消費者信頼感指数、5月1日の製造業景況判断(ISM指数)と2日の雇用統計の失業率である。発表される経済指標は3/20のイラク開戦後の経済の動きを反映したものである。リストラによる企業収益の回復となれば、「雇用なき景気回復」の構図が一段と強まり、こうした動きは消費鈍化懸念を示すものであるため株式市場にとっては売りが広がる。6〜7月以降米ダウ平均株価は7000ドル前後、場合によってはグリーンスパン議長が「根拠なき熱狂」と発言して株価上昇を牽制した当時の6600ドルまで低下しないと下げ止まらない可能性もあろう。それでも日経平均と逆転しつづけるかもしれない。4月の雇用統計数値は今後の株価を占う上でも重要だ。

グリーンスパンFRB議長はブッシュ大統領の議長への再選要請を受託した、30日にはグリーンスパン議長の議会証言が予定されているが、1〜3月期のGDP数値が弱含みとなったことで利下げ圧力は一段と高まりだしてきた。企業業績と景気指標などの悪化懸念が示されると株価は負の方向へと連動する可能性が高い。

特に最近建設許可と失業申請件数の二件の落ち込みは顕著な数字を示している。また消費者期待感の数値の落ち込みも激しい。昨年10〜12月から全米各地で住宅価格の指数がマイナスになる動きが強くなっている。物価上昇率が低下してきたとは言え、まだ米経済はデフレにはなっていないが最近住宅に関しては日本のように資産デフレにつながることへの警戒感は強くなっている。最近住宅価格の下落はバブル崩壊につながるという考えが強まり、気の早い消費者は3〜4割上昇した持ち家を売って、賃貸家屋に引っ越す消費者が多くなってきているという記事も読んだ。
個人消費と企業の設備投資と言う米景気の二つのエンジンに、イラク戦の影響が顕著に表われたことによるものである。
米企業はまだ90年代の過剰設備の調整が終わっていない上に、雇用情勢も企業がリストラの手を緩めないことから失業率は6%台で高止まっているし直近の失業保険の新規申請者数は45万人に増えている。雇用が増えなければ個人消費は冷え込むことは間違いない。グリーンスパンFRB議長は再選されても、金利の引き下げ余地もなく政策手段は限られたものとなっている。ブッシュ大統領は議会で大型減税法案の早期成立を働きかけているが、減税が実施されたとしても景気刺激効果は年内には表われそうにない。

ブッシュJr大統領が経済問題に神経質になったのは構造的デフレに気がついたかどうか定かでないが、パパブッシュ元大統領が1992年の大統領選でクリントン陣営に敗れ、「戦争で勝ち、経済で負けた」と言う苦い経験によるものであると言われている。
米議会で調整が難航している減税規模について、ブッシュ大統領が縮小に応じる考えを初めて示し、減税の早期実現を優先する方針を固めた。ブッシュ大統領は減税規模の縮小に応じることで、国民に対して国内景気立て直しを目指す政権であると言う意欲を印象づける狙いがあったものと言える。
ブッシュ大統領は先般の政策方針説明会で株式配当への二重課税撤廃を中心とする大型減税の意義を改めて強調して、減税規模を巡り見解が対立している上下両院に妥協を促し、下院案の「向こう10年で5500億ドル」が最低でも必要との認識を示している。イラク戦争の補正予算の約800億ドルはすでに上下両院で可決済みで、当初計画にはなかった米航空業界への支援策が盛り込まれた。こうしたパフォーマンスを見せた背景には2004年の大統領選へ向けた配慮がある。現状の米経済は父ブッシュ大統領時代の湾岸戦争後の経済と同じく「構造的な弱さ」が強く現われている状況にあり、このままでは父の二の舞いは避けられない状況である。

世界経済に重くのしかかってきているのが、重症急性呼吸器症候群(SARS)だ。世界の生産工場と言われる中国を直撃中だ、さらに世界中に広がっていきそうだ。ワクチンは2〜3年先でないと開発されないようで、このリスクは長期化しイラク攻撃以上に深刻な問題だ。しかし、9.11の時の炭素菌騒ぎといい、今回のSARSは、本当に偶然なのか、神は世界秩序の形成に関わりたいのか、全く解らない。私の立場はむやむやたらに陰謀で片づけたくないが、SARSは中国を貶める陰謀の匂いがする。

中国だが、イラクの大敗が決定的となった時点で、胡錦濤中国主席は動いた。イラクの次ぎは北朝鮮と確信したのだ。中国にとって、北朝鮮の崩壊大量難民流入や、日本韓国に核武装の口実を与えることは何としても避けたいのだ。
週刊ポスト一部抜粋
実は、米英連合軍がイラク攻撃を開始した直後の3月中旬、金正日総書記がひそかに北京を訪問し、胡錦濤・国家主席と極秘会談を持ったという有力な情報がある。その北京会談が金正日氏を決定的に追い詰めることになった。
北朝鮮と中国はかつてない緊張状態にある。北朝鮮側は今年2月、白南淳外相や政権ナンバー2の金永南・最高人民会議議長を相次いで訪中させ、中国政府に緊急武器援助を申し入れた。対米戦争を想定した軍事強化のためであることはいうまでもない。しかし、中国側に拒否されると、原子炉再稼働、地対艦ミサイル発射と威嚇行動をエスカレートさせた。
中国側も黙ってはいなかった。対抗措置として、朝鮮人民軍の生命線ともいえる北朝鮮向け石油パイプラインを一時閉鎖し、圧力を加えたのである。北朝鮮は前面のアメリカだけではなく、味方と思っていた背後の中国からも"兵糧"を断たれるという事態に陥った。
米AFP電(4月11日付)も金氏訪中の情報を掴み、その結果を次のように報じている。
<この訪問中に孤独な金は胡錦濤と協議し、胡は平壌とワシントンの関係が一層
深刻化するようであれば、黙視はしないと伝えた>武器援助の交渉が決裂したことは間違いない。

そして、先週の3国会談で、北朝鮮の核保有をCNNがリークした事件である。私は、これで北朝鮮が持っていないと判断したい。一民間人の推測だから何とも言えないが、保有していたら、もっと宣伝に使うだろう。脅しに過ぎない。ウラン生成の膨大な電力はどうしているのだろう。アメリカも脅しと知りつつ、利用しているのだろう。

以上の点から推測するに、中国は対米関係を重視しているが、米国は朝鮮半島の緊張を利用し、東アジア全体の覇権を握りコントロールしようとしている。

すいません、3時半です今日はここまで、明日時間が有りましたら、金、石油、日本経済分析等を投稿します。

できたら、ブレアとパウエル、プーチンとラムズフェルドについても、論評したい。

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