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金融庁が25日、発表した1年ぶりの特別検査の結果は、銀行の貸し出し債権の質がじりじりと悪化していることを物語る。回収の可能性を格付けする債務者区分が昨年9月中間決算時より下がった企業数は、前回検査より減ったものの、なお全体の16%にあたる27社だ。竹中金融相が昨年10月、大手銀行の「国有化」も辞さぬ構えで打ち出した金融再生プログラムも手詰まり状態で、不良債権問題は先行き不透明感が強まっている。
今回の特別検査の対象企業167社のうち、前回に続く再検査となったのは142社、85%を占める。前回は対象149社の半分近い71社の債務者区分が下がった。初の特別検査で、「相当、厳格に実施した」(金融庁幹部)ため、今回の格下げは「少なくて当たり前」(佐藤隆文・検査局長)のはずの検査だった。
ところが、なお27社が格下げになったことについて佐藤局長は、「対象企業の経営環境が急速に厳しくなったことの表れ」と語った。
一方、今回の特徴は経営不振企業の再建計画を厳密に検証したことだ。その影響で、検査の進行とともに、ゼネコン、流通業界などで再建計画見直しの動きが広がった。
熊谷組は今月4日、不動産事業の分離と飛島建設との経営統合、総額3千億円の金融支援要請を柱とする新たな再建計画を発表した。熊谷組は00年度に4300億円の債権放棄を受けた際、再建計画を作ったが、期間が12年にも及ぶことなどから、株価が一時10円を割るなど低迷していた。
飛島建設も経営統合に備え、300億円の金融支援要請を含む新再建計画をまとめた。飛島への金融支援は97年、02年に続き今回で3度目だ。
信販大手のオリコは3月、1年前に策定した経営再建計画を見直した。新再建計画は1500億円の追加金融支援が柱。市場では「特別検査が計画見直しの圧力となった」(証券アナリスト)との見方が強い。
こうした金融支援を軸とした再建計画で不振企業が将来、生き返れば、貸し出しは正常先に生まれ変わる。しかし計画が行き詰まれば、再び銀行の財務を直撃する。
金融システムへの不安はなおくすぶり、大手行の株価は歴史的低迷が続く。だが、銀行に再び公的資金を投入して国が経営に関与し、抜本的な改革を進めることを目指した竹中氏の当初の「強硬路線」は、手詰まりの状態になりつつある。
今回の特別検査は、昨年夏以来、通常検査向けに各銀行グループごとに割り振られた専門チームが担当。ベテランの統括検査官が陣頭指揮をとる「最強の布陣」(金融庁幹部)で臨んだ。
しかし、「国有化」を恐れる大手行各行のなりふり構わない増資の結果、検査による不良債権処理が03年3月末の自己資本比率に与えた影響は限定的になったとみられ、当座は公的資金の必要性が遠のいた。
金融再生プログラムで、銀行に公的資金受け入れを促す最大の「武器」になるとみられた繰り延べ税金資産計上の厳格化は、すでに大幅に後退している。
公的資金の投入で国が買い取った優先株を普通株に転換して実質的に国有化する手法についても、事実上、銀行に1年間の猶予が与えられるなど慎重な内容となった。
竹中流の金融行政を示す最後の舞台は、再生プログラムで検討入りが決まった公的資金投入の新制度作りだ。金融審は近く報告書をまとめる見通しだが、銀行の経営責任を厳しく追及する強硬派と、責任論を当面、不問にして銀行の受け入れやすい制度を目指す穏健派で見解が分かれている。
竹中氏は検査結果発表の記者会見で、「(再生プログラムで掲げた)04年度末の不良債権半減の目標は達成可能」と強調した。だが、その手だては次第に減りつつある。
(04/26 13:02)
http://www.asahi.com/business/update/0426/013.html