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(回答先: ▼25日のポイント@/インフレ参照値の議論も、基本的には時間稼ぎの戦略 [Yen Dokki!!] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 25 日 16:26:40)
UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「インフレ参照値は意味があるか?」を挙げる。インフレ目標値とインフレ参照値の違い等を次のように整理(ほぼ原文通り)しているーー。(ポイント@のつづき)
【1】 設定責任、達成責任、金融政策の説明責任
インフレ目標値は、「政府」が日銀の同意を得て設定する、と考えるのが自然である。これは既にインフレ目標値が導入されている諸外国の例からも明らかである。設定する目標値について、「政府」が最終的な責任を負うのは、目標値の選択が、広く財政政策運営(社会保障も含む)に影響を及ぼすからである。望ましいインフレ率は、国民の経済厚生や所得分配に与える影響を考慮して設定される べきであり、その責任は中央銀行にはない。中央銀行の役割は、政府に設定されたインフレ目標値を達成すべく、金融政策を運営すること、すなわち、目標値の達成責任である。インフレ・ターゲティングのポイントは、@目標値の設定責任は 政府に、A目標値の達成責任は日銀に、それぞれあるということである。
他方、インフレ参照値は、「日銀」が政府の了解を得て設定する、と考えられる 。インフレ参照値は、あくまで、日銀が金融政策を運営する際の「参考値」であり、政府・日銀が一丸となって達成すべき目標値ではない。政府の財政政策運営とインフレ参照値の関係は相対的に希薄であり、政府は参照値の設定責任を負うこともない。この結果、参照値の達成責任についても曖昧なものにならざるを得ない。政府の関与が相対的に小さく、日銀の自由度が相対的に高いからである。 もっとも、日銀は、実際のインフレ率が参照値から乖離した場合、なぜ乖離したのかといった点について説明責任を果す必要はある。選択したインフレ率の達成責任は強く問われなくても、政策運営に関する説明責任は増すことになる。
【2】 選択値の設定
インフレ目標値の場合は、例えば、CPI前年比で+2%など、特定のインフレ率になるものとみられる。これは、上記で指摘したように、インフレ目標値の設定が財政政策運営に大きな影響を及ぼすためである。ピンポイントでインフレ目 標値を示さないと、国民に対する説明責任に問題が生じる可能性が高いことが背景にある。主要国の中では、英国とカナダがインフレ目標値を設定しているが、 英国は2.5%、カナダは2%である。カナダの場合、1〜3%の中心値といった表現が用いられているが、ターゲットとしては、明確に2%が選択されている。重要なことは、目標値の場合には、経済の持続的な成長にとって「望ましいインフ レ率」が選択されることである。
これに対して、インフレ参照値は、CPI前年比で0〜+2%など、レンジの形で設定される可能性が高い。これは、「望ましいインフレ率」といった選択基準ではなく、「現行の金融政策運営を継続した場合のインフレ率」といった発想が 相対的に強く働くためである。無論、「望ましいインフレ率」といった基準が全く無視されるわけではないが、その適用はかなり曖昧なレベルで行われることになる。さらに、参照値は達成すべきインフレ率ではないことから、設定されるレンジは足元の実績値を含まざるを得ない。
<実現した場合のレンジ、CPIコア前年比−1%〜+1%可能性> 白川さんは、今ここでインフレ参照値が設定されたら、「そのレンジは、CPIコア前年比で『 −1%〜+1%』となる可能性が高い」と予想する。このことは、「CPIコア前年比が前年比 −1%を数ヶ月連続して下回ることがない限り、日銀の金融政策運営に関する説 明責任が大きく高まることはない」ことを意味する。なお、足元の実績値を含むレンジが参照値となる以上、その達成期限があるわけでもない。