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「SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)のような感染症の対策で重要なポイントは、3つある。(1)病原体の特定(2)感染源の特定(3)感染ルートの特定−がそれだ。ところが、SARSに関しては、現状では(2)と(3)に関する対応がまったく進んでいないのが実情だ。その最大の理由は、ひとえに中国政府の対応の遅れにあるといえるだろう。こうした一連の状況から考えて、SARSの感染者数はまだ増加する方向にあるとみていいだろう」
厚生労働省幹部がこう断言する。
こうしたコメントに呼応するように、ここにきて中国・北京市におけるSARS感染者は爆発的な増加傾向をみせつつある。
21日時点の北京市の感染者数は482人に達し、死亡者数は25人にも上ることが明らかになった。
「20日時点の中国政府の発表は、SARS感染者が約340人としていましたから、わずか1日で140人増えたことになる。しかし、1日でそれだけ増えるわけがない。この数字のズレは、中国政府のSARS問題に関する実態把握がまったく進んでいないことを意味するとみていいでしょう。中国政府はこの問題に関してまさに混乱の極みにある」(厚労省幹部)
21日、日本銀行は本店で支店長会議を開いた。そしてこの会議後、大阪、名古屋、札幌、福岡の四支店長が記者会見に臨んだ。
会見の席上、武藤英二大阪支店長が次のような発言をしたのである。
「(大阪支店管内は)中国などアジア向けの輸出が増え、生産も持ち直しに転じつつある。ただし、イラク戦争や、SARSの広がりで先行き不透明感はむしろ強まっている」
また、佐藤文俊福岡支店長がこう続けた。
「九州はアジアに近いだけに、SARSの影響への警戒感が強い。中国から部品や金型を輸入している電気機械などの工場の操業に、5月の連休明けぐらいから影響が出るかもしれない。こうした悪材料が出てくれば、景気がさらに押し下げられる可能性がある」
こうした発言からも明らかなように、日銀サイドはSARS問題の広がりに警戒を強めつつあるとみていいだろう。
「SARS問題の進展によっては、大企業もさることながら、中堅・中小企業に相当なインパクトを与えかねない状況にあるといえるだろう。特に中国経済との結びつきの強い西日本地域にとって事態は深刻だ。その一方で、万が一、日本企業が多数進出している中国・大連でもSARS感染者が出たら、大変な問題になる」(日銀幹部)
本稿冒頭で紹介した厚労省幹部が言う。
「ハッキリ言って、感染源および感染ルートの特定はまったくできていないのが実情だ。しかも事態がここまで進んでしまったなら、その特定も難しいだろう。場合によっては、中国全土を危険地域として指定せざるを得ない状況にもなりかねない」
経済・景気動向を見る上でも、このSARS問題の動向を注視する必要があるだろう。
2003/4/22