現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産25 > 591.html ★阿修羅♪ |
|
雇用者所得の減少が続いていることに加え、03年4月から家計部門の社会保障費 負担増加などが個人消費の抑制要因になる。BNPパリバ証券会社・経済調査部チーフ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、「従来から我々はこうした影響を織り 込んだ上で、03年度の個人消費は前年比+0.0%と全く回復しない見通しを作成していたので、特に成長率見通しに変更はない」としながらも、今回改めてその影響を次のように紹介する。
<家計部門全体で2.18兆円の負担増加> 最も大きな負担増加は健康保険法改正に伴う影響で、@我々サラリーマンが納める医療保険料が総報酬制に変更され、ボーナスにも月収と同率の保険料率が設定される(1.13兆円)。Aサラリーマンの医療費の自己負担が2割→3割となる(0.40兆円)。@+Aで合計1.53兆円の負担増加になる。健康保険以外にも、物価スライド による年金給付削減(デフレ=CPI▲0.9%相当分の年金給付削減)、介護保険料引き上げ、酒税・たばこ税増税を加えると、家計部門全体で2.18兆円の負担増加となる。これは、「01年度の可処分所得297兆円の約0.7%に相当する」
<デフレ不況の悪影響、主に勤労者世帯に集中> これまで雇用者所得の縮小が続く中でも、実質個人消費は、00年度1.1%、01年度 1.4%、02年度1.5%(当社見通し)と1%程度の伸びが続いていた。だが、03年度は賃金減少に加えて、社会保障負担増などが加わるため、「我々のこれまでの予想通り、消費はほとんどゼロ成長にとどまる」と見られる。 勤労者世帯では、デフレ不況の害悪から、賃下げだけではなく失職リスクも高 まっている。おまけに、上記で説明したように今回の制度変更に伴う社会保障費 の増加は主に勤労者世帯で生じる。家計部門全体では、デフレによって預貯金などの実質価値が高まるピグー効果が生じるが、資産の大半は高齢者世帯で保有されている。「家計部門におけるデフレ不況の悪影響は、主に勤労者世帯に集中する」と言う。
<健康保険料上げ、企業部門にも1.13兆円の負担増> さらに、健康保険料は労使折半であるため、家計部門だけでなく企業部門にも同様に1.13兆円の負担増加(合計の負担増加額は2.26兆円)が生じる。このため、 「デフレによってただでさえ高止まっている実質雇用コストがさらに上昇し、雇用削減圧力が強まる」。結局、勤労者世帯に悪影響が及ぶことになる。