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★開示姿勢次第で二極化――日経金融スクランブル
15日の東京株式市場で日経平均株価は6日ぶりに反発。とはいえ、厚生年金基金の代行返上に伴う売りや銀行、生損保の保有株圧縮など需給面での不安は消えず、市場に楽観ムードはない。代行返上などの影響を受けづらい銘柄をあえて探すと「勢いのある新興市場に有望な企業が多い」(中井裕幸・東海東京調査センターチーフストラテジスト)という声にたどり着く。
その代表例がタムロンだ。デジタルカメラ用レンズが好調で収益が急拡大。株価は3日に年初来高値の2800円まで上昇し、年初に比べると2.7倍の水準にある。市場全体が低迷していても、「眼力さえあれば有望銘柄は見つかる」という好例だろう。
しかし新興市場についていえば「逆もまた真」だ。企業実態があまり知られてないことが多い分、経営内容の悪さが露呈した時の投資家の反応は極端にもなる。1997年のジャスダック上場以来、業績予想の下方修正を繰り返したジャストシステムが株式市場で不信感を持たれたが、4月に入って相次いで業績急降下を発表した企業もまた売り物を浴びた。 住宅リフォームのペイントハウスは1日、2003年8月期に45億円の連結経常赤字になる見通しだと発表した。従来予想は14億円の黒字で、株価は翌2日から急落し、4日に上場来安値の2万7000円まで売られた。2001年にジャスダック市場に上場して以来、同社は何度も業績予想を下方修正している。業績下方修正の"常連組"として市場で悪者視されてきたジャストシステムと「同類」という厳しい見方が出ている。
ペイントハウスは積極的なM&A(合併・買収)で注目を集めている。経営破たんした殖産住宅相互から新築住宅部門を買収し、ユアサ建材工業から建材事業の譲渡を受けた。最近は柔道の田村亮子選手を起用したテレビCMでもお茶の間に知れ渡るようになった。下方修正に至った理由は住宅リフォーム、新築事業とも期初計画を下回りそうなためだが、「もともと無理な拡大路線が問題」と批判的な見方が増えている。
2月の東証マザーズ上場直後にお家騒動が起きて話題になった居酒屋チェーン、ワイ・アリーバでは、3月26日にいったん解任された会長が4月4日付で社長に復帰した。経営陣の内紛に失望して、株価は一時、初値をほぼ6割も下回った。
これら2社に先だって今年2月の決算発表をきっかけに株価が急落したセラーテムテクノロジーの場合は、業績が下降線をたどっていることを把握してから公表するまでの期間が長かったことに不信感が高まった。株価は現在でも上場来安値の圏内を脱することができていない。「企業が情報開示や投資家向け広報(IR)にどれだけ力を入れるかで、投資家の信頼感が大きく左右される」(太田忠・JPモルガン証券マネジングディレクター)ことを株価は如実に物語っている。
過去にオフィス用品販売のアスクルはジャスダック市場に上場した直後の2001年春、5日連続でストップ安になった。2001年5月期の業績見通しを下方修正したのがきっかけだ。
「株式市場から執行猶予の判決を受けたようなもの」とアスクルの岩田彰一郎社長は受け止めた。月次ベースの経営成績を公表し始め、情報開示にも外部の人材を採用して取り組んだ。その後、物流や情報システムの整備が相まって収益が伸びた結果、現在ではアナリストがそろって「業界の勝ち組」と評価する企業になっている。
いちよし経済研究所が1999年から2002年にジャスダック市場に上場している企業の中からIR・情報開示に優れた企業20社を選んで合成株価指数を作ったところ、99年初めを100にして指数化すると先週末現在で179。日経平均株価はこの間に56まで下がった。
新興市場でも開示姿勢次第で株価の二極化が進むだろう。東証やジャスダック
などでは上場廃止基準を相次いで強化しており、さらにこれが厳しくなる可能性
もある。経営内容を吟味したうえで適時開示するという上場企業にとっては当然
といえる姿勢をとらないと、市場からしっぺ返しを食って右往左往するケースが
さらに増えるのは間違いない。(村山浩一)