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[QUICK]エコノミスト「社債から株へ資金シフト進むか?」大和総研アメリカ社長 岡野進氏03/04/16
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/491.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 17 日 01:08:29:gb2b4T9TetGkU

[QUICK]エコノミスト「社債から株へ資金シフト進むか?」大和総研アメリカ社長 岡野進氏03/04/16

【景況判断】現状(3ヵ月前比):横ばい 先行き(3ヵ月後):横ばい
GDP予測:02年度1.6%(1.4%) 03年度1.5%(0.1%)
【金 利】短期:横ばいTIBOR3ヵ月 0.08%
長期:強含み10年物新発国債0.90%
【円 相 場】横ばい120円/1ドル
【株 価】株高 日経平均10,000円
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年7月末)の予測値

1.景気見通し:「設備投資回復の可能性示した日銀短観」

今回の日銀短観で特徴的だったのは、3月調査としては翌年度の設備投資計画
がかなり
良かった点だろう。全産業、全規模では▲3.1%、ソフトウエア含むベースで▲
2.9%と
なった。マイナスではあるが、実績は前年度3月調査より良くなる傾向があること、さら に、日銀短観ベースとマクロベースでは設備投資の伸び率に差があり、マクロベースで は名目でプラスを暗示する数字になっているといえる。
また、中小企業の資金繰りは実績についても予測についても改善が続いており、金融 機関の貸出態度も実績については2001年6月以来始めて小幅ながら改善となった。大きな 期待は出来ないが、中小企業の設備投資も底打ちしてくる条件は出来てきている。収益 計画を見ると、2004年度売上0.8%増、経常利益13.5%増を計画している。3月調査は実 績と比べて楽観的になる傾向があるが、依然として売上増のレバレッジがかなり効く局 面であることを示している。概ね先行きについて悲観的な見方が現れていないこと、ま た、景気循環のメカニズムから見ると設備過剰感や在庫過剰感が改善していることはプ ラス材料である。ただし、製商品在庫DIを見ると、90年代以降の循環ではボトム圏にき ており、さらに、80年代後半に類した在庫逼迫感が出てくる動きになっていくかは注意 を要する。

不況入りせず、設備投資回復シナリオが現実味をもつためには、投資以外の最終需要、とりわけ輸出動向がポイントとなる。海外景気に目を転じると、米国の景況感は「踊り場」という状態よりやや悪く、水準としては不況にかなり近い状態になっているといえる。消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)やISM指数など、消費者や企業のマインドを示す指標は、むしろ、既に急速にボトム圏に接近している。イラク戦争の発生を織り込んだ3月の消費者信頼感指数は、62.5に低下、3月ISM指数は製造業46.2(前月比4.3ポイント低下)、非製造業47.9(前月比6.0ポイント低下)と急低下した。前回不況時のボトム は消費者信頼感指数が84.9、92年の不況時が47.3(92/2)で消費者マインドはクレジット・ クランチに悩まされた92年当時に近いが、逆に、ボトム圏に接近したということも出来 る。ISM指数は、前回不況時のボトムが製造業40.4、非製造業41.1であり、現時点でボト ムを打ったとの判断は出来ないが、2〜3ヵ月以内に底打ちが起きる可能性も高い。
これまで、企業はイラク戦争への懸念から設備投資を手控え、設備投資のGDP比率は2002年10-12月期も前期比横這いに留まっている。筆者の推定では、固定資本減耗を除いたネットでの米国設備投資は、10-12月期2,287億ドル(名目、年率)で、GDP比2.16%まで低下している。また、これは、名目企業設備ストックの増加率が2.8%となる水準である。 米国名目GDPの長期的な成長率が5%程度であるとすると、かなり調整が進んだといえそ うだ。設備投資を刺激する要因としては、金融緩和の結果として期待実質金利の低下が 起きており、2003年後半にはプラスに働くことが期待できる。

2.金融環境:「目立つ社債市場と株式市場の乖離」

市場で目立ってきたのは株式市場と社債市場の乖離状況である。米国の株式市場と社 債市場の関係を見ていくと、2001年以降、つまり、いわゆるネットバブル以降、株価指 数と社債のクレディット・スプレッドの間に強い相関関係が見られてきた。これは、株価 を形成する要素のうち割引率を構成する信用リスクに対するプレミアム部分の変動が大 きく株価自体を左右してきたためであると考えられる。エンロン、ワールドコムなど不 正会計問題が市場の大きな関心事であったことから考えると、ごく自然なことである。
ところが、2003年に入って両者の乖離が目立ってきている。例えば、米国の10年物国 債とBaa格社債の利回り格差をとってみると、2002年末に3.48%であったものが、現在(4 /9)では2.97%とおおよそ0.5%の改善を示している。平均的にみて、企業に対する市場 の信頼感は回復していると言える。ところが、株価指数の方は、S&P500でみると、2002 年末879.82から871.57(4/10)へと横ばいであり、株価が企業への信頼回復を反映してい ない格好である。景気動向は確かに停滞感が否めないが、株価下落の主因はイラク情勢 であった。株式市場は既にイラク戦争によるネガティブ要因を相当程度に織り込んでし まっているように思われる。ダウ工業株30種8,000ドル水準のP/Eレシオは20倍程度であ り、益回りは5%になる。長期金利との比較においてもかなり割安状態に入っているとい えるだろう。
仮に、イラク戦争が長期化し、かつ景気に大きな悪影響を与えた場合、不況懸念から 社債のクレディット・スプレッドも再び拡大すると考える方が自然であり、そのことで株 価指数との乖離は縮小する可能性が高い。
日本市場では、株価形成面で収益動向など他の要素の影響が大きかったためか、社債 のスプレッドと株価指数の動きは必ずしも強い相関を示してこなかった。例えば、2002 年の春頃は、社債のクレディット・スプレッドは拡大し続けていたにもかかわらず、株価 は景気回復-利益回復期待によって上昇した。2002年夏以降は、逆に、社債のクレディッ ト・スプレッドが縮小する一方で株価の下落が起きている。前述の米国との比較のため、 2002年末と現在(4/10)を比較してみると、社債のクレディット・スプレッドが5年ものの 国債とBBB格社債の利回り格差で見ると、1.55%から1.26%へと0.3%の改善が起きた一 方、TOPIXは843.29から792.42と6.0%下落した位置にある。これだけ両者の乖離が生じ ていれば、イラク戦争の行方とその影響をどう見るかということとを別にして、日米と もに、比較的低格の社債から株式への資金シフトが起きても不思議ではないだろう。

3.注目点:「イラク戦争と米国経済」

米英軍は短期間のうちにバクダッド占拠に成功し、フセインの出身地ティクリートな ど他の都市も陥落したようである。ただし、それがそのまま完全な「戦闘」終結を意味す ることになるかどうかはまだ不明である。サダム・フセインの生死は明らかではないし、 フセイン政権の権力機構が完全に崩壊したとしても、点と線を確保した米英軍に対し、 テロリストや一部の部族勢力がゲリラ戦を行う可能性も消えてはいない。また、国内勢 力同士の武力衝突が起こるかもしれない。米国が軍政を敷こうとした場合や欧米への亡 命イラク人元官僚などだけで構成する政権を樹立した場合、イラク国民の反発を招いて 、泥沼化する危険性は大きい。
イラクにおける泥沼化を避けるには、クルド勢力や反体制シーア派、これまでフセイ ン政権についていた部族勢力も包含した政権を樹立し、国連主導で復興を行う必要性が あるだろう。国連主導の暫定政権が実現しても、米英軍の長期駐留とイラク内の勢力対 立による散発的な武力衝突が継続するというアフガニスタンのような姿になるリスクは かなり大きい。米英が仏・露・中などの反対を無視して、武力行使に踏み切ったことで、 国際政治における主要大国の協調関係が損なわれた点、特に、大陸欧州との間の亀裂の 修復は困難なものとなるかもしれない。イラクが大量破壊兵器を保有していた決定的な 証拠が示されなかった場合、米英の武力行使の正当性が再び疑問視されることもあり得 る。今のところ、この対立が経済政策面での先進国の協調体制にひびを入れるようなも のにはなっていないが、長期的観点からは新たなリスクであろう。
ブッシュ減税案は下院では小差(3票)の賛成多数を得て通過したものの、上院では半分 以下の総額3,500億ドル(10年間)に圧縮する決議案が採択(3/26)され、今後、結論は両院 協議会へと持ち越された。一方、4/3、戦争関連の補正予算779億ドルが上下両院で承認 された。この内訳は、作戦費625億ドル、ホームランド・セキュリティー42億ドル、外国 援助80億ドル、航空産業援助32億ドルとなっている。作戦費における調達の内訳は不明 であり、クウェートなど湾岸諸国で調達するものも多く、これらは直接米国経済での需 要にはならない。米国最終需要の追加はGDP比0.2%から0.3%程度ではないかと思われる 。この程度の影響では軍事費拡大が米国経済を持ち上げるという見方をすることは出来 ない。

<岡野進氏略歴>
1956年生。80年東京大学教養学部基礎科学科卒、大和証券入社。本店第二営業部、株式 部、投資情報部、大和総研経済調査部長などを経て、2003年1月から現職。主な著書「株 価革命とエクイティ・ファイナンス」(東洋経済新報社)、「株価・金利・為替の読み方」(東洋 経済新報社、共著)など。東洋経済「統計月報『エコノミスト・コンセンサス』」などのコ メンテータ。

[日経] 株、裁定取引に伴う現物株の買い残が小幅減――11日時点

【NQN】東京証券取引所が16日発表した11日時点の裁定取引に伴う現
物株の買い残高(期近・期先合計)は前週比34億円減の6916億円と2週
連続で減少したが、減少はごく小幅にとどまった。
この週は現物株市場で国際優良株や大手銀行株の一角が下げ止まらず
、相場全体の先安観から株価指数先物にヘッジ(損失回避)売り圧力が
かかった。だが一方で、株価指数先物の終値が現物の株価指数終値を上
回る順ザヤとなった日が5営業日中、3日あった。裁定解消に伴う現物
株売りと、新規の買い裁定に伴う現物株買いが相殺しあった結果、買い
残は小幅な変動にとどまったとみられる。
一方、裁定売り残高も小幅ながら3週連続で減少した。

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