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4月9日、イラクの首都バグダッド陥落。フセイン体制は事実上崩壊した。イラクをめぐる世界政治は軍事中心の季節から政治中心の季節に入る。
最大のポイントは、イラクの戦後統治を米英主導で行うか、それとも国連が中心的役割を果たすか、にある。ブッシュ政権は米英主体、国連脇役を貫く構えだ。「米英」対「仏独露」の対立の構図は続く。
フセイン体制崩壊とともに北朝鮮核開発が国連安全保障理事会のテーマになった。北朝鮮非難の議長声明を求めた米国に対し中露が強く反発し、先送りになった。
イラク問題では「米英」対「仏独露」、北朝鮮問題では「米」対「中露」という複雑な対立の構図だ。
この事態に小泉政権はどう対応しようとするのか。今のところ不明確だ。イラク戦争では米国に追従。小泉首相は、北朝鮮の脅威がある以上日米同盟を最優先すべきだとの理屈で乗り切った。だが、北朝鮮問題では中露寄り。米国追随か、国連中心主義か、小泉政権の危ない綱渡りが続く。
最近、小泉首相の指導力は急速に低下している。大島農水相辞任後の後任人事での混乱、自民党経理局長人事をめぐる山崎幹事長の不手際、塩川財務相と竹中金融・経財相の対立など、小泉体制の衰えが目立つ。自民党内には「イラク戦争と北朝鮮核問題がなければ小泉政権は危なかった」との声が出たほどだ。イラク戦争と北朝鮮問題が、結果的に、小泉政権の崩壊を食い止める役割を果たした。
今後、イラク戦争は終息へ向かう。北朝鮮も中国政府の強い説得を受けて挑発的行動を控える方向に動く。小泉政権は自力で求心力回復をはからなければならくなった。
国会では有事関連法案の本格審議が始まる。同法案は昨年春、通常国会に提出されたが、法律上の不備のために継続審議となった。今国会で成立しなければ小泉内閣の責任が問われることになる。自公保与党3党の結束は固いが、イラク戦争終結後、同法成立に国民の理解が得られるか、が問題である。
小泉内閣の最大の弱点は経済である。不況は深刻だ。自民党内には補正予算編成を求める動きがあるが、小泉首相は抵抗している。緊縮財政の扉はなかなか開かない。金融も相変わらずきびしい。金融庁の“銀行いじめ”は止まらない。株価は上がらない。追い詰められた銀行は企業への貸しはがしを強める。資金繰りに苦しむ企業の我慢は限界だ。
そんななか、注目を集めているのが、麻生政調会長と堀内総務会長が推進する「時価会計凍結・減損会計延期」の議員立法の動きだ。
これに対し小泉首相と竹中金融・経財相は否定的である。政界にも産業界にも小泉・竹中慎重論を支持する動きがあり、調整は難航気味。エコノミストやマスコミの中にも、すでに決まっている会計制度を変えることに否定的な意見が強い。上場企業が決算に有利な簿価会計を選択すればマーケットの狙い撃ちにあう、いったん決定したことを変えるのは日本政府の信用低下につながる――などの反対の理由づけが行われている。
だが、小泉首相らは間違っている。わが国には上場していない数多くの中小企業がある。時価でなく簿価での決算を選んだからといって、マーケットにとがめられることはない。むしろ、簿価で決算すれば倒産せずにすむ。会計の仕方で企業をつぶす法律の方に問題があると考えるべきだ。麻生政調会長らが進める「時価会計凍結・減損会計延期」の議員立法は、多くの中小企業者に希望を与える。小泉首相、竹中金融・経財相がこの動きを妨害するならば、小泉政権批判は強まり、政局は混乱するだろう。
4月13日と27日に統一地方選挙が行われる。この統一地方選の最大テーマは「不況の克服」だ。統一地方選終了とともに、自民党は中央も地方も小泉政権に対して不況克服にむけて政策転換を迫る動きを強める。小泉首相に政策転換に踏み切るか否かが政局の焦点だ。ゴールデンウィーク明けとともに政局は激動に向かう。
【以上は4月12日付け四国新聞に「森田実の政局観測」として掲載された小論です】
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0549.HTML