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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「世界的な財政拡張へ?」を挙げる。ポイント(ほぼ原文通り)は以下のとおりーー。
<米財政赤字、経常赤字”双子の赤字”がともに拡大へ>
【1】 米国は、自らの論理で、大きな政府を目指すであろう。@国防関連、A復興関連 、Bテロ対策、さらには、C減税である。米国の今会計年度の財政赤字は4000億ドル弱(GDP比で3%台の後半)まで拡大する公算である。この結果、米国の経常収支赤字は2003暦年で6000億ドル程度まで拡大することになる。
【2】 米国における双子の赤字の大幅な拡大は、長期金利上昇による国内民間投資 の減少を許容しない限り、米国の対外借入れ依存度の上昇を必要とする。米国が 対外借入れを増加させようと考えれば、ドル高期待を形成する必要がある。しかし、中長期的にみた場合、米国の国内景気は、当面の間は、負債デフレの調整圧力を受ける可能性が高い。このため、現行の相場水準からドル高期待を形成することは容易ではない。従って、米国政府は、短期的に、米ドル相場の下落を認める可能性が高い。
<自国利益を優先した為替政策運営に走る米国>
【3】 こうした米国における、自国の利益を優先した為替政策運営は、ディス・イ ンフレに頭を抱える日・欧にとっては、容認しにくいものである。しかし、日・ 欧にとっての選択肢は2つしかない。すなわち、(1)世界的な長期金利上昇と民間投資の抑制を受け入れるか、それとも、(2)ドル安による米国のディス・インフレ解消を優先するか、である。困難な選択ではあるが、日欧とすれば、米国における長期金利上昇と、それに続く米国国内民間景気の腰折れ、は避けたいシナリオであろう。日欧は、米国による短期的なドル安政策を容認せざるを得ず、このため、 結果として、デフレ対策としての財政政策の緩やかな拡張を目指さざるを得ない ものとみられる。
【4】 このように、米国が「大きな政府」に転換することは、米ドルの緩やかな下落を背景とした、世界的な財政政策の転換をもたらすことになるであろう。G7 諸国は、ITバブルの崩壊、世界的なディス・インフレ圧力の高まり、そして、米国におけるバランスシート調整の深まり、といった問題に直面することで、従来の金融・為替政策協調から、歴史的必然としての、世界的な財政拡張へと向かうことになる。
<日本の量的緩和拡大と不良債権処理加速への圧力は低下へ>
【5】 こうした中で、日本における量的金融緩和の拡大と不良債権処理の加速に対 する、世界からの圧力は低下するであろう。G7諸国の政策担当者の関心は、生産性の向上、企業ガバナンスの改善、から、より直接的な需要刺激策へとシフトしているからである。前回2月下旬のG7会合のコミュニケでは、「日本は、金融・企業セクターを含む構造改革に取り組んでいることを改めて表明した」との文言があり、日本の構造改革を支援する姿勢が示された。しかし、今回会合のコミュニケでは、日本に関する記述は特にない。世界情勢は変化している。