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[朝日]
「窓」―イラク兵の死
NAA 7181 : 2003/04/11金曜日14:05
地上戦の生中継(なまちゅうけい)。
イラク戦争の報道を特徴(とくちょう)づけるものはこれに尽(
つ)きる、と言っていいだろう。
バグダッド中心部へ突進(とっしん)する米軍の戦車にテレビ記
者が同乗し、砲弾(ほうだん)が飛び交う映像を衛星経由でそのま
ま世界に伝えた。
チグリス河畔(かはん)のホテルに設置されたテレビカメラは、
逃げ惑(まど)うイラク兵を映し出し、フセイン政権の崩壊
(ほうかい)を予感させた。
速報どころか、戦争がリアルタイムで伝えられる時代。戦争報道
でテレビが果たす役割は一段と大きくなった。
だが、活字メディアにはテレビとは違(ちが)う重要な役割があ
る。それは、映像ではとらえきれないものをたぐり寄せ、伝えるこ
とだろう。
米ニューヨーク・タイムズ紙に「銃(じゅう)を突(つ)きつけ
られて戦うイラク兵」という前線のルポ記事が載(の)っていた。
戦場に放置された、おびただしい数のイラク兵の死体。米軍に従
軍した記者は、その中に後頭部を撃(う)たれて死んでいるものが
いくつかあることに気づいた。
捕虜(ほりょ)になったイラク兵に「何があったのか」と問いた
だした。「戦うのが嫌(いや)ならこの場で撃ち殺す、と将校に脅
(おど)されていた」。おぞましい答えが返ってきたという。
前方に米軍。後ろには銃を突きつける指揮官。その狭間(はざま
)で追いつめられるイラク兵のうめき声が聞こえてくるような記事
だった。
奔流(ほんりゅう)のような戦争報道の中で、普通のイラク兵の
死を伝えるものは、まだ数えるほどしかない。〈長岡(ながおか)
昇(のぼる)〉