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[日経] 株、銀行株安への不安 消えた下限価額、優先株は「白紙小切手」
【NQN】「不良債権問題の解決を中心とする構造改革に背を向けてい
ることが株安の背景」(ドイツ証券の武者陵司チーフ・ストラテジスト
)――。11日、大手銀行株は何とか値を保ったが、日経平均株価がバブ
ル経済崩壊後の安値を更新するなど底なしの株価下落が続く中、市場で
は再び金融問題に焦点があたる気配が濃厚になってきた。不良債権処理
費用の増加を穴埋めしようと大手銀各行が3月に実施した自己資本調達
の「ツケ」が、銀行株安という形で銀行自身に跳ね返っているためだ。
とりわけ大手行の中でも、最大の第三者割当増資を実施したみずほFG
株に市場の関心が集まっている。
みずほFGが発行した約1兆1000億円の優先株のうち、第12回第11種
優先株式1015億円分を、普通株に転換する際の当初転換価額が、4月25
日から6月9日までの普通株終値の平均値で決まる。いずれ普通株に転
換される優先株の投資家にとっては、「転換価額は普通株の買値」。当
初転換価額が安ければ安いほど、転換した時の株数も増え好都合だ。結
果、転換価額設定に伴う思惑的な売りを呼び込み、「みずほFG株への
売り圧力が緩和しない」との見方の根拠となっている。問題は、当初転
換価額設定にあたって下限価額が無いこと。「当初転換価額の引き下げ
」という思惑を背景した売りに歯止めが掛からなくなる恐れがあるから
だ。
実は2月6日に、みずほ側が公表した優先株の発行概要では、第12回
第11種優先株式には当初転換価額設定にあたっての下限価額が5万円と
決められていた。ところが応募状況などを考慮して、最終的には、下限
価額の設定を見送った。このことが「みずほFGは白紙の小切手を切っ
た」と市場筋に揶揄(やゆ)される結果を招いた。
下落防止のための下限を設けないことで、株価下落に歯止めが掛から
ないことへのリスクは考えなかったのか――。みずほFGの広報担当者
は日経QUICKニュース社の取材に対して、「(転換価額設定に当た
っては)30日間の株価の平均値をとるため、いくら売り方でも30日間売
り続けることは難しいだろうとの読みがあった」と語る。
「鉄火場」に近寄らぬ投資家たち
ところがこうした「読み」には死角がある。まず売り方が必ずしもヘ
ッジファンドなどの空売り筋に限らないということだ。確かに貸株を調
達し続けて30日間売り続けることは物理的な困難が伴う。ところが、そ
の売り手に普通株を保有する優先株投資家が加わったらどうか。投資家
は優先株購入を契機に、普通株を売却することで、みずほFG株の持ち
高が抑えられる。無配の普通株を保有し続けることは経済的合理性を問
われかねないためだ。普通株売却の動きは、結果的に優先株の転換価額
の引き下げにもつながる。市場では「優先株保有の事業法人から普通株
の売り注文が出ている」との指摘もあり、このところのみずほFG株安
の要因は「普通株から優先株への乗り換え売り需要が多い結果」(外国
証券)との見方につながっている。
次にこうした"鉄火場"が予想される株には「純投資を目的にした押
し目買いが入りにくい」という問題が生じる。ぜい弱な自己資本に加え
、優先株引き受けを頼み込んだ取引先には金利引き上げ交渉はしづらく
なり、本業での収益拡大に期待も生まれにくい。仮に売り圧力が一巡し
ても買い手が現れなければ株価は上がらず、結果としてみずほFG株に
は、短期売買目的の資金だけが群がる構図が続くことなる。
「転換価額の下方修正条項が付いた優先株での資金調達は、本来あま
り筋の良い手段とは言えない」(BNPパリバ証券株式クライアント・
コンサルティング部の栗田昌孝部長)。本来、業績不振などで時価発行
増資などの通常の公募増資が実施できない企業が、資金繰りに困ってこ
うした手段に踏み切るケースがほとんどだからだ。足元を見透かされる
のも覚悟しなければならない。
同じ普通株転換型優先株でも、三井住友FGが2月に発行した3450億
円(第13回第四種優先株式)には、15万6000円の下限価額が設定されて
いる。「優先株の仕組み上、みずほFGの置かれた状況はほかの大手行
よりも深刻」(栗田氏)という面もあながち否定できない。(永井洋一