現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産25 > 431.html ★阿修羅♪ |
|
[日経] 焦点 与党の時価会計凍結案、財務会計基準機構が検討に着手
【NQN】国内の会計基準をつくる財務会計基準機構は11日午後、与党
が固定資産の減損会計導入延期や長期保有株の時価会計一時凍結を金融
庁と同機構に要請していることを受けて、具体的な検討に着手した。同
機構では検討する議題を取り上げるかどうかを「テーマ協議会」
(議長川北博静岡県立大学客員教授)で判断し、具体的にはその是非を含め
て「企業会計基準委員会」が検討する。今回は「テーマ協議会」で、与
党案を議題として取り扱うことを決めた。
協議会では、与党の要請について「目先の情勢にとらわれず、公正な
会計基準を作るべきで、政治の要請で取り上げるのは危険だ。海外の信
頼も失う」(山崎彰三・トーマツ代表社員)といった否定的な意見が目
立った。一方、「株価が下がるとその株を保有している企業の株も下が
る状況では、機関投資家は株を手放さざるを得ない」(寺阪元之・住友
生命保険専務)との意見も一部にあった。最終的には「テーマ協議会は
賛否を議論する権限はない」(大日方隆・東京大学助教授)とし、「賛
否の意見を良く整理して基準委員会に伝える」(川北氏)ことにした。
決定を受けて、基準委員会は遅くとも22日開催予定の定例会合で与党案
の内容を審議する。
「少なくとも、2003年3月期の時価会計凍結は無理」。会計の専門家
や企業関係者の間ではこうした声が強まっている。与党は2003年3月期
決算での導入を目指していた。その理由はまず実務上の理由。商法によ
れば、決算期末から3カ月以内に株主総会を開催しなくてはならず、資
本金などが一定以上の会社は総会の8週間前に会計監査人に計算書類を
提出する必要がある。6月下旬に総会を開くなら、法的には5月初旬ま
でに書類を出さなくてはならない。さらに、すでに3月期決算企業の一
部は発表を終え、今月下旬に決算発表を予定している電機などの企業は
決算処理の最終段階に入っている。異なる基準が混在すれば、混乱が起
きるとの懸念が強い。
与党の時価会計凍結案 議論次第で「日本株離れ加速も」
一方、具体的な会計基準を決める企業会計基準委員会では、公正性と
透明性を保つため相当の時間がかかる。例えば、基準委が論点整理案を
作成した後に意見を募集(原則1カ月)し、専門委員会が公開草案を作
成して再度意見を募集(同)するというような日程だ。「たった2―3
カ月で基準を作成、変更することはあり得ない」(関係者)という。
財務会計基準機構が発足したのは2001年7月。大蔵省(当時)の「企
業会計基準設定主体のあり方に関する懇談会」は「国際会計基準の動向
に的確・迅速に対応、日本からも積極的に発信すること求められている
」とし、民間の専門家を集めた同機構が設立された。もともと大蔵省や
自民党の専門委員会などが後押しして設立した機構であるのに、別なと
ころで、与党が議員立法が提出するのは機構の存在理由を失わせるとの
見方もある。
市場関係者の間では今回の与党案を評価する声は少ない。大和総研は
最近、「時価会計凍結、減損先送り案の海外での評価」と題するリポー
トをまとめた。欧州の投資家や格付け機関に与党案について聴き取り調
査を実施したもの。主に「時価会計凍結が実施されれば日本株を売却す
る」、「会計基準の操作は、改革が一層遅れるシグナルとして日本企業
、政府の格付けのマイナス要因になる」といった意見を紹介した。また
金融庁の五味広文監督局長が10日、テレビ東京の番組で「(時価会計凍
結などをすれば)海外投資家がもう投資しないということが起こりうる
」などとも発言している。
日経平均株価は11日、20年3カ月ぶりの水準に落ち込んだ。持ち合い
解消売りや企業年金の代行返上に伴う売りなど、需給悪化懸念が強まっ
ているが、こうした構造的な売りの「受け皿」として、外国人投資家や
個人投資家に期待がかかる。しかしそれは国内の法人よりも会計基準の
事情に接することが難しい投資家層でもある。そうした投資家層が正確
な情報が得られないとして見限れば受け皿にもなり得なくなる。基準委
での今後議論が注目される。(川田裕生)