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BNPパリバ証券会社・経済調査部チーフ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、長期の円高トレンドが「流動性の罠(わな)」をより強固なものにすると考えているが、同時にこう語る。「今では『流動性の罠』に陥ったがために、長期円高予想がさらに強固なものになった可能性すらある」
<> 本来、中央銀行が金融緩和を行えば、その国の通貨は減価する。しかし、現在の外為市場では、超低金利が続くとの予想が一般的になっているにも関わらず、円安・ドル高にはならない。これは、「日銀がいくら流動性の供給を行っても、安全資産である円キャッシュに対する需要がなかなか衰えないため」と言う。反対に、リスク資産である外貨に対する需要がなかなか高まらない。流動性選好が強度に高いこと、つまり「流動性の罠」に陥っていることそれ自体が、円安にならない要因の1つになっている。ただし、「流動性の罠」は、日本サイドだけの要因であるため、極端な円高はもたらされていない。
<対リスク資産の逆バブルと、対安全資産のバブルの発生を意味> 河野さんは、「流動性の罠」には、安全資産に対する需要の極度の高まりと、株式などのリスク資産に対する極度の回避傾向という側面があるとの見方を持つ。デフレ予想が存在する限り、いくら中央銀行が流動性の供給を行っても、人々の流動性に対する需要は飽和しない。円キャッシュ同様、人々が安全資 産だと見なしている長期国債も、利回りが極端に低くなっても、需要がいっこうに低下しないのである。反対に、株価はどんなに安くなっても、人々の需要は高まらない。つまり、「流動性の罠」とは、「リスク資産に対する逆バブルの発生と安全資産に対するバブルの発生を意味する」と語る。
<歪んだ鏡が、”自己実現的な総需要の低迷”引き起こす> しかも、「こうしたバブルや逆バブルは簡単に崩壊しない」と言う。株価や不動産価格の下落が設備投資をはじめ総需要に悪影響をもたらすために、事後的に見ると、「こうした資産価格の下落は実体経済の悪化によって正当化される」ためである。人々は因果関係を見誤り、「潜在成長率が低下したから、景気低迷が続き、株価もそれを反映して下落を続けている」と考えている。しかし、実際のところは、「過度に悲観的な予想がもたらした資産価格の下落が総需要に悪影響を及ぼしている側面が強い」と言う。将来の経済の姿を映し出すと思われている株式市場が、実は極度な悲観論で歪んでとして、こう続ける。「その歪んだ鏡に映し出された姿を元に人々が投資や消費を抑制するために、自己実現的な総需要の低迷を引き起こしているのである」