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BNPパリバ証券会社・経済調査部チ−フ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、1−3月の GDP成長率を暫定的に推計したところ、「前期比+0.3%(同年率1.4%)程度のプラス成長になり、5 四半期連続のプラス成長」となった模様だと言う。推計にあたって、まだ発表されていない3月の統 計は2月対比横這いと仮定している。 景気がすでに後退局面に入ったとの 見方も強いが、「国内需要のわずかな拡大でプラス成長を維持した格好である」と語る。しか し、プラス成長であっても景気が減速していることには変わりない。02年4−6月に 輸出の急拡大で前期比+1.4%(年率+5.5%)と成長率が加速し、その後7−9月同 +0.8%(年率+3.1%)、10−12月同+0.5%(年率+2.2%)と潜在成長ペース(2.5%程度)での拡大が続いた。だが、「1−3月には輸出減速で製造業の生産回復がス トップし、潜在成長以下のペースに減速した」と見ている。
<4月以降、SARSの悪影響も懸念される> 輸出は、米国向けの乗用車輸出の悪化でわずかにマイナスに転じたとみている。3月調査の短観でも製造業セクター全体の景況感はほぼ横這いだったが、自動車セク ターの業況判断は大きく悪化している。また、中国経済のブームを背景にアジア向 けの輸出はなんとか拡大傾向が続いている。だが、台湾・シンガポールの製造業の生産 にも減速の兆候がみられる。この背景にも、「乗用車輸出の悪化と同様、最終需要地 である米経済の停滞がある」。輸出頼みの日本経済に黄色信号が点っている。しかも、「4月以降 はSARSの悪影響も懸念される」と言う。
<国内需要は総じて横這い圏にある> 「国内需要は総じて横這い圏にある」と言う。ボーナス削減で12月に大きく落込んだ個人消費 は、年明け以降持ち直した。雇用者所得の大幅な落込みが続いている。株価の大幅 な落込みにも関わらず、10−12月に悪化に転じた消費者センチメントの悪化に歯止め がかかっていることもあり、個人消費の落込みは避けられほぼゼロ成長となった模様である。 設備投資は、輸出企業の業績改善もあり、10−12月(前期比+2.6%)同様、「1−3月 も小幅な増加が続いたとみられる」。もっとも、デフレと資産デフレが続き将来に対 する見通しが不確実な中で、業績改善があっても、設備投資の本格回復にはつなが らない。当然、設備投資の本格回復がなければ、持続的な成長は期待できない。
<需給ギャッ プはむしろ拡大し、デフレ圧力は拡大した> 輸出減速で製造業セクターの回復がストップしていいるにも関わらず、国内需要の わずかな回復で1−3月もプラス成長が続いている意味で、実体経済は悪化している わけではない。しかし、プラス成長であっても、大幅な需給ギャップがあるにもか かわらず潜在成長率を下回っているという意味では回復とも言えない。「需給ギャッ プはむしろ拡大しており、デフレ圧力は拡大した」と言う。なお、冒頭で述べたように、本レポートの1−3月のGDP成長率はあくまで1−2月のデータを 元に機械的に試算したものである。3月以降、米国経済の一層の減速を示す経済指標 が増えていることもあり、「3月のデータが加わると下方修正される可能性がある」。(3 月の経済指標が発表された段階で改めて、1−3月のGDP成長率予想値をお伝えする予定)