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[QUICK]株クオンツ「波乱に満ちた2002年度の教訓」野村證券金融研究所 主任研究員 伊藤高志氏
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/346.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 08 日 23:16:18:ZR5JcjFY1l.PQ

[QUICK]株クオンツ「波乱に満ちた2002年度の教訓」野村證券金融研究所 主任研究員 伊藤高志氏
QUICK株式クオンツ情報VOL.26野村證券 金融研究所 主任研究員 伊藤高志氏
03/04/08

【トピックス 】波乱に満ちた2002年度からの教訓
【マーケット動向】引き続きサプライズ待ち
【スタイル動向 】当面非Large有利だろう
【セクター動向 】アナリスト情報は信用されている
【ファクター動向】大型株を避けて

1.トピックス:「波乱に満ちた2002年度からの教訓」

波乱に満ちた2002年度が終わった。今回のコラムでは、この終わった2002年度の株式市場の動きを通じて新年度を占ってみたい。 
2002年度は我々が定期的にモニターしている代表的な株価指標のうち、(1)時価総額の小さい、(2)値位の低い、(3)PERやPBRの低い属性の銘柄のパフォーマンスが良かった。逆に、トップライン(売上高)の伸びが高い、ROEが高い、といったグロース指標の良好な銘柄のパフォーマンスが悪かった(なお、ここで言っているパフォーマンスの良い/悪いとは、各指標での上位25%に属する銘柄をロング、下位25%の銘柄をショートした場合のパフォーマンス格差の大小を判断基準にしている)。
特に、時価総額の小さい、および値位の低い銘柄のパフォーマンスの良さは際立っており、少なくとも90年代中盤以降最大のリターンを記録した。さらに、リターンをリターンのバラツキで割った、いわゆるインフォメーションレシオもきわめて高く、ある意 味非常に信頼性の高い指標として機能したことが窺われる。
さて、この一見バラバラに見える、昨年度の有効/無効指標であるが、出発点はリターンも高く、その信頼性も高い、時価総額/値位にあると思われる。なんらかの理由で、時価総額が大きい(かなりの確率で値位も高い)銘柄群が嫌われたのだろう。
時価総額の大きな銘柄の多くは、昨年度に限ったことではないが流動性等のプレミアムによりバリュー指標面では割高になりやすい上に、ここ数年マーケットにおいて支配的なプレイヤーであった外人投資家や年金系の機関投資家のポートフォリオに優先的に組入れられ続けた結果、近年に無く時価総額の大きい銘柄群のバリュー指標は割高な状況に昨期初からあった。これが何らかの理由により、時価総額の大きな銘柄が売られ、株価も下がったので、自動的にPERやPBRなどのバリュー指標の有効性が顕在化したものと思われる。グロース指標の有効性がほとんど見出せなかった理由も、ほぼ同じロジッ クで説明が可能である。
時価総額が大きい銘柄は、即ちマーケットで高い評価を受けている銘柄である。トップラインの伸びが高い、もしくはROEが高いグロース銘柄はやはり 、時価総額の大きい銘柄とかなりの部分オーバーラップしていた、と考えられる。
問題は、なぜ投資家の多くが急に時価総額の大きい大型株が嫌いになったかだが、これは(表層的には)巷間言われている、外人投資家の株式ウェイト引き下げ、年金のパッシブ化、代行返上など需給が複雑に絡み合った結果であろう。ただ、奥底にあるのは(少なくとも大型株の領域では)投資に関する情報がコモディティー化し、ベンチマークもしくは他のファンドに対して優位なパフォーマンスを達成することが難しくなってきていることが指摘できる。昨年度一年間、アナリストの業績修正に忠実に、上方修正の銘柄をロング、下方修正の銘柄をショートした際のパフォーマンスは累計で133%(絶対リターン)に達している。90年代中盤以降最大の投資成果である。ただ、このパフォーマンスを銘柄の時価総額の分位ごとに見てゆくと、最も時価総額の大きい領域ではほとんどパフォーマンスを取れていない(詳しくは前回のコラム『ついに効率化したか株式市場』を参照。03/02/10、QZ5718)。
あくまで仮説ではあるが、以上のようなルールが昨年度のマーケットでは支配的であったわけだが、今年度はどうなのだろうか?あくまで私見であるが、時価総額の大きい昨年度投資家に嫌われた大型株の多くは株価の下落が進み、かつて程の割高感は薄れてきているように思われる。ややディメンジョンの異なる分析だが、予想ROEとPBRとの間の相関度合いは、足元史上最高の強さを示している。4月2日時点で、各業種のPBR水準は、ROEによって6割方説明が可能である。ROEは将来の自己資本の増殖率を意味しており、この増殖率が高ければ、PBRは高めに評価される。昨年度以前は、電機精密やソフトウェアなどのIT関連銘柄を中心に、ROEに対して高すぎるPBRの業種/銘柄が多数カウントされたが、現在ではそういうアンバランスさは影をひそめた。仮に、一時的な需給の悪化などによって、更に大きく大型株中心に株価が下落するようなことがあれば、むしろ投資のチャンスかもしれない。
ただ、長期的には昨年度台風の目となった時価総額の大きな銘柄群のみで、他を圧倒するパフォーマンスを上げ続けることは困難だろう。情報がコモディティー化した直接の原因は、証券会社がフォローユニバースを大型株偏重に歪めたことにあるが、うまみが無くなったといってそこから撤退することは他社を利することになり、当面は睨み合いの状況が続くことだろう。従って、株式からリターンを得ようとすれば、昨年度に引き続き大型株を避けた投資スタイルが有効かと思われる。
2.マーケット動向:「引き続きサプライズ待ち」

企業収益と金利から導き出される妥当株価水準は、日経平均で10,000円、下限が9,000円程度を現時点でも見ている。ただ、実際の株価はこれよりかなり下方乖離している。過去、何のファンダメンタルズ面でのサプライズもなく、こうした乖離が埋められたケースは少ない。前回の当コラムに引き続きサプライズ待ちの展開であろう。
3.スタイル動向:「当面非Large有利だろう」

非Largeに有利な展開が続くものと考える。ただ、前述した通りLarge株の割高感はかなり払拭されてきた。仮にシステマチックな理由(例えばイラク戦争が終結したなどといった)でマーケット全体が大きく変動した場合には、Largeが短期的に優れたパフォーマンスを示す可能性がある。
4.セクター動向:「アナリスト情報は信用されている」

これも既述の通り、ROE∽PBRに見られるように歴史的に稀なほど効率的に価格形成されており、現時点では特段、割高/割安なセクターは見受けられない。裏返して言うと、マーケットはアナリスト達の業績予想をかなり信頼している、と思われる。従って、現時点でセクターにベットしようとすると、アナリストの業種毎の将来の修正の方向性を予想する必要がある。あくまで私見だが、業績修正モメンタムが最も強いと思われるのは、素材(化学、鉄鋼)である。逆にモメンタムが弱いのは、ソフトウェア、放送メデ ィアなど第三次産業系の業種である。
5.ファクター動向:「大型株を避けて」

スタイル動向の項に同じく、システマチックにマーケットが大きく動かない限りは、従来どおり、小型、低位、低PBR、低PERといった属性の銘柄群のパフォーマンスが良いだろう。大型株が少ないからである。

<伊藤高志氏略歴>
1988年国際基督教大学教養学部理学科卒、野村證券入社。企業調査部、投資情報部、野 村総合研究所投資調査部にて個別企業リサーチやミクロ担当のストラテジストなどを経 て現職。クオンツ人気調査ランキング3位(2003年3月24日付日経金融新聞)。

株クオンツ「ついに効率化したか株式市場」野村證券・伊藤高志氏
QZ 5718 : 2003/02/10月曜日12:15

QUICK株式クオンツ情報VOL.22野村證券 金融研究所 主任研究員 伊藤高志氏
03/02/10

【トピックス 】ついに効率化したか株式市場
【マーケット動向】サプライズ待ちの展開
【スタイル動向 】非Large優位が続く
【セクター動向 】業績モメンタムと信用リスク
【ファクター動向】小型、低位、低PBR、低格付け

1.トピックス:「ついに効率化したか株式市場」

いささか大げさな表現になるが、昨年はついに「マーケットが効率化」したエポックメ ―キングな年だった。もちろん、ごく限られた銘柄で、しかも、ごく限られた条件下に おいてであるが。効率化したと見られるのは、足元の時価総額が1兆円超で、アナリスト 情報に対してである。
まず、アナリストによる個別銘柄情報に基づく投資シミュレーションの結果を紹介し よう。ルールは不定期に行なわれるアナリストの業績予想修正が上方修正であった場合 はロングのポジションを、下方修正であった場合にはショートのポジションを各々1ヵ月 間採り、両者のスプレッドを計測する、というものである。
昨年2002年、野村證券金融研究所に所属するアナリストは、800件弱の上方修正と、90 0件弱の下方修正を行なっているが、このルールによる投資スプレッドは6.9%となった 。手数料を考慮しなければ7%近い絶対リターンが得られたことになる。
ところが、このリターンを個別銘柄の規模(時価総額)ごとに分解してみると、悩まし い事実が浮かび上がってくる。時価総額で1兆円以上の銘柄に限った母集団ではリターン は2.3%にしか過ぎない。取引コストを考慮すると手元に残るリターンは限りなくゼロに 近い。手数料率は今や遥かに低いが、ショートする際の株を借りるコストは馬鹿になら ない。以下、このリターンは時価総額で2,000億円近辺では6%程度、500億円近辺では9 %程度と規模が小さくなるほど得られるリターンは逆に大きくなる。規模が大きくなる ほど得られるリターンが小さくなる傾向は過去から見られた現象であるが、最も規模の 大きい領域で取引コスト考慮後でリターンが残らない結果となったのは、我々が知る限 り昨年が初めてである。
この要因は幾つか考えられるが、TOPIXをベンチマークにした資産規模の大きい年金資 金と外国人投資家の影響が大きい、と見られる。画一的に決め付けるのは危険だが、こ の両者はおしなべて流動性が高く、情報量も豊富な大型優良株を好むものと思われる。 これに対し、我々証券会社サイドの情報提供も彼等に最適化するべく、調査ユニバース を著しく大型株に偏ったものにしてしまったことが上述の結果を招いたと見ている。
一例を挙げると、我々野村證券金融研究所では、1999年時点で900銘柄弱を数えた調査 ユニバースが、現時点ではその数は630社程度にまで縮小している。外れた300銘柄弱の ほとんどは時価総額が相対的に小さなものだ。これはわが社の例だが、他のブローカー のユニバースもほぼ同様の観点で構築されているものと考えられる。にわかには信じが たいことだが、この厳しいマーケット環境下で、電機精密や小売りなどの花形セクター では、企業に貼り付いたセルサイド・アナリストの数が増加している銘柄がいくつもある 。今や名前の通った大型株には、20〜30人のセルサイド・アナリスト、正確な数はわから ないが少なからぬ数のバイサイド・アナリスト、合せて数十人がひしめき合っている状況 だ。これだけの数のウォッチャーを出し抜いて、高いパフォーマンスを得る事は相当に 難度の高い作業となるだろうことは想像に難くない。
一方、各証券会社がユニバースを絞る過程で、外されてしまった銘柄はどうか?こう した銘柄は時価総額で2,000億円以下の中小型銘柄が多い。この領域の銘柄は上述の通り 、アナリスト情報に基づいた投資シミュレーションで少なからぬリターンが得られてい る。思い起こしてみれば昨年、ミノルタ、コニカ、ブラザー工業、ツムラなどといった 我々の記憶に残っている出世株の多くがこの領域から輩出している。おそらく、これは 偶然ではなく、リサーチの力点が大型株にシフトし、情報量が希薄になった中型株の領 域ではサプライズが起きやすくなっていたためだろう。
こうした現状認識下で今後、我々はどのような行動を採れば良いのであろうか?(1)一 般的なアナリストを凌駕するクォリティーのミクロ情報を内製する、(2)それが出来なけ れば大型株の領域では準パッシブに徹し、(3)リターンが潤沢に残り流動性もある時価総 額で500〜2,000億円の領域で勝負する、といった選択肢が考えられる。なかでも(3)は、 今後数年間は非常に重要な投資の観点になる可能性がある。それは、大企業の再編が多 くの業種で進み、今後は業界内で中堅に位置する企業の再生/復活に投資家の注目が集ま るだろうからだ。

2.マーケット動向:「サプライズ待ちの展開」

純粋に企業収益と金利から推測される妥当株価水準は日経平均で10,000円前後と考え ているが、相当なマグニチュードのイベント(それもポジティブな)が無い限り短期的に 裁定が起きることはないだろう。少なくとも、実体経済面では今期中に景況感に対する 信頼感が戻るようなエビデンスは出そうにない。現在の水準が下限で、上値は日経平均 で9,000円前後と見ている。

3.スタイル動向:「非Large優位が続く」

これまで通り、非Large/Value優位の展開と見る。Valueはともかくとして、非Large( ≒Small)が現在のような環境下(実体経済に対する信頼感が薄く、株式市場も冴えない) で好パフォーマンスを示すことは、過去においてはあまり例がないが、時価総額規模の 大きいLargeは前述の通り構造的な問題を抱えてしまっている。

4.セクター動向:「業績モメンタムと信用リスク」

業績のモメンタムから判断して製造業、なかでも素材セクターに注目している。ここ で言う業績のモメンタムとはアナリストの業績修正という短期的なモメンタム、前期か ら今期、来期にいたる中期的なモメンタム、の双方を含んでいる。素材セクターはこの2 つを兼ね備えた数少ないセクターと言える。もう一つ、これはまったく別の観点になる が、季節的に1月〜3月は信用リスクの高い企業/業種のパフォーマンスが好転しやすい。
1月に既に高いパフォーマンスを出しているが、商社、住宅不動産などのセクターにも注 目している。

5.ファクター動向:「小型、低位、低PBR、低格付け」

先月は、小型、低位、低PBR、低格付けという属性を持つ銘柄のパフォーマンスが良か った。冒頭のトピックスの項で述べた、これまで年金系/外国人投資家が保有しづらい属 性のパフォーマンスが良かったことになる。更に、10〜12月は年明け後の信用リスクを 懸念して低位/低格付け銘柄のパフォーマンスが極端に悪化し、1〜3月にかけてその反動 が来るという、季節要因も影響していると思われる。少なくとも今期末までは先月有効 であったファクターの優位が続くものと見ている。

<伊藤高志氏略歴>
1988年国際基督教大学教養学部理学科卒、野村證券入社。企業調査部、投資情報部、野 村総合研究所投資調査部にて個別企業リサーチやミクロ担当のストラテジストなどを経 て現職。クオンツ人気調査ランキング3位(2002年3月25日付日経金融新聞)。

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