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シカゴ 4月7日(ブルームバーグ):住宅ローン金利が40年ぶりの低水準にとどまっているにもかかわらず、住宅販売はイラク戦争による新たな経済の犠牲者になってしまったようだ。
戦争の影響で、住宅購入者の買い控えムードは強まっており、住宅ローン申請件数や住宅販売は伸び悩んでいる。この状況は、リセッション(景気後退)への逆戻りを防いできた住宅用不動産の好調という最後の砦を奪ってしまう公算が大きい。
過熱する住宅市場にとって打撃になったのは、住宅ローン金利の低下にもかかわらず、住宅ローン申請件数が減少したことだ。米住宅ローン銀行家協会(MBAA)が2日発表した先週の住宅ローン申請件数は前週比16.8%減だった。30年物住宅ローン金利は5.81%から5.63%に低下した。
金利低下は通常、住宅購入者の増加につながるが、先週は消費者がイラク戦争報道にくぎ付けになるいわゆる「CNN効果」により、住宅ローン取り扱い銀行の支店に足を運ぶ人が減少した。
景気減速の証拠
戦争をめぐる懸念は、住宅ローン申請だけでなく、住宅販売の減速にもつながった。全米不動産業者協会(NAR)が発表した2月の中古住宅販売件数は史上4番目の高水準だったが、1月との比較では4.3%の減少だった。
NARは減少の理由として悪天候を挙げているが、注目すべき要因はほかにもある。不動産業界誌リアルティー・タイムズによると、グッドスタイン・リアルティーの不動産仲介人、ビーム氏は、イラク戦争の影響で「顧客の購買態度は消極的であり、不確かだ。住宅購入は先送りされている」と指摘した。
一方、戦争以外にも、金利の上昇、失業率の上昇、債券・株式相場の低迷、インフレ率の上昇などが住宅ブームに冷や水を浴びせる可能性もある。
景気低迷を受け、ローンの返済が滞った住宅所有者が、担保である住宅の差し押さえを強いられる例は増えている。MBAAによると、昨年10−12月の不動産担保の差し押さえ件数は、同協会が統計を取り始めた1972年以来の最高を記録した。
全国企業エコノミスト協会(NABE)がまとめたアンケート調査では、エコノミストの間に、米経済にとって最大の脅威として、イラク戦争や米国内テロといった「地政学的リスク」を挙げる人が多いことが分かった。
株式市場参加者も同じ認識のようだ。その良い例がS&P500種住宅建設指数の下落。全米で住宅建設が活発なのにもかかわらず、同指数は2002年3月 31日からことし4月1日までの1年間で4.4%下落した。株式市場は、住宅市場の悪化を織り込んだのだろうか?
景気低迷は戦争以前に始まっていた
住宅保有者が何もせずにいるのであれば、大半の保有者は住宅市場の減速の痛みを感じずに済むことだろう。だが、今後数カ月の間に住宅を売却したり、買い替えたりする人には幾分かの影響があるかもしれない。
モンタナ州ホワイトフィッシュでニューズレター、インベステック・リサーチを発行するジム・スタック氏は、住宅市場のリセッションは住宅保有者や不動産投資信託(REIT)、住宅建設株に悪影響を及ぼすと警告している。
戦争の行方がどうなろうと(もちろん早期終結が最高のシナリオだが)、景気は戦争が始まる前から低迷していたため、回復までには程遠いことを肝に銘じておく必要がある。従って、今後も住宅市場から目を離さずにいることは極めて重要なことになる。(ジョン・ワシック)
(ワシック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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