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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「日銀の信用創造について 」を挙げる。日銀データによれば、「日銀は益々輪番オペへの依存度を高めている」と語る 。福井総裁は苦虫を潰している・・・。しかし、日銀は、信用リスク・テークになかなか踏み込めないのが実情と言う。現行日銀法は、日銀による資産選択の自由を保障していないからだ。「補正と輪番オペ増額」が基本シナリオ。こ れは、あまり面白いシナリオではないが、そう悲観することもないとして、こう続ける。「最近、論じているように、漸進主義的な金融・産業構造改革は、景気の安定と信用市場の安定をもたらし、海外投資家の対日投資の安心感を高める可能性があるからだ」。日銀が非伝統的な政策に踏み込んでも、その裏側で、強引な金融・ 産業改革が実施されていた場合には、経済混乱と悪い円安が生じている可能性もあるからだと言う。
<輪番オペ多用しない限り、当座預金残高を維持困難に> 昨日、日銀から、3月の「マネタリーベースと日銀の取引」が公表された。それによると、3月は、前年対比でみて、ベースマネーが6.6兆円拡大したが、輪番オペの前年差が9兆円、その他のオペの前年差がマイナス2.4兆円となった 。すなわち、日銀はこれまで決定してきた輪番オペの増額によって、足元の3月については輪番以外のオペレーションを前年対比で縮小させたことになる。 重要なことは、「3月以前の動きをみても、マネタリーベースの供給における輪番オペへの依存度が徐々に高まっていること」である。これは、「短期市場における過剰資金状態が定着する中で、日銀が、輪番オペを多用しない限り、当座預金残高を維持しにくくなっている」ことを意味している。
<日銀は、最終的には、政府・財務省の意向に沿う> 政府は今後も日銀による量的緩和政策の維持を要請すると予想される。だが、「そうした中で、日銀は、二者択一を迫られる」と言う。すなわち、@輪番オペの漸進的な拡大を行うか 、AETF等、徐々に信用リスクのある資産の買い切りに踏み込んでいくか、である。ここで、日銀法による縛りを考えれば、(これまでに繰り返し指摘してきたように)第2の選択肢には自ずと限界があり、日銀は、結果として、「輪番オペの漸進的な増額を目指さざるを得なくなる可能性が依然として高い」。福井総裁は、 国債PKOの弊害を重視しており、輪番オペの増額に極めて否定的であるとみられるが、「最終的には、政府・財務省の意向に沿うことになる」と見る。
<福井日銀の苦悩を生み出す「日銀法の問題点」> 福井日銀の苦悩は、「現在の日銀法が、日銀による買取り資産選択の独立性を保証していない点である」と指摘する。しかし、そうであるからと言って、日銀法改正を自ら求めるまでには至らない。法改正は、むしろ日銀の独立性をさらに低下させる方向に流れかねないからである。「 政府が、銀行の資本不足問題を正面から採り上げずに、量的緩和の継続を日銀に強く求める限り、中期的にみて、輪番オペの増額は避けられまい」。昨日も指摘したように、ABCP購入に続く、次の一手の基本シナリオは、「補正予算決定との同時での輪番オペ増額」と見ている。
<しかし、「そう悲観することはない」> しかし、「そう悲観することはない」とも言う。最近、論じているように、「オーソドックスな景気刺激策の下での漸進主義的な金融・産業構造改革は、景気の安定と信用市場の安定をもたらし、海外投資家の対日投資の安心感を高める可能性がある」からである。日銀が非伝統的な政策に踏み込んでも、その裏側で、強引な金融・産業改革が実施されていた場合には、経済混乱と悪い円安が生じている可能性があり、必ずしも望ましい結果が得られているとは限らない、と言う。