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[QUICK]世論調査にみる米国民のイラク戦争観-米国経済CQM予測(7日)
ITeconomy熊坂有三
実質GDP成長率(前期比年率) 2003Q1 2003Q2
予測日 3/28/2003→4/4/2003 3/28/2003→4/4/2003
支出サイド 2.9% → 2.5% 1.5 → 0.5%
所得サイド 1.9% → 1.8% 1.8 → 1.8%
平均 2.4% → 2.2% 1.7 → 1.1%
今回のCQM予測は4月4日に発表された3月の雇用統計までの月次経済統計を更新してあ る。3/28-4/4における支出サイドの成長率の下方修正はサービスへの個人消費支出の大 きな落ち込みによる。サービスの個人消費支出は耐久財・非耐久財のような小売販売統 計がないことから、供給サイドのサービスセクターの雇用者数が予測に使われる。サー ビスセクターの2月の雇用が-217,000から-269,000と大きく下方修正され、更に3月の雇 用も-54,000と大きく減少したことがサービスの個人消費支出に影響を与えた。
2003Q1の
成長率が現時点では2.2%と市場がダブルディップリセッションを懸念し始めたの
に対し
てかなり高くなっている。しかし、これは輸入物価が大きく伸びたためであり、
CQM予測
も景気のスローダウンを懸念している。例えば、2003Q1の総需要、国内需要、最
終需要
の伸び率は0.7%-1.5%となっている。(詳しいグラフはwww.iteconomy.comの"CQM
パフォ
―マンス"を参照。)
3月19日にブッシュ大統領がテレビ演説でイラク戦争の開始したことを国民に告げてか らまだ、約2週間程度しかたっていない。しかし、毎日24時間の戦場からのリアルタイム の情報をテレビ、インターネットで得ていると、あたかも戦争がすでに数ヶ月も続いて いるような気がしてくる。テレビ、インターネットから戦争の全貌は正確に捉えられな いもののかなりの情報を得る事ができる。そのような中で米国民がイラク戦争に対して どのように考えているかを知ることは興味深い。
(1)戦争支持に関して
3月の後半において米国民は米国兵士に死者がでたり捕虜がでたことを知っているにもか かわらず、戦争支持率は70%台を維持するという高さである。これは、一部で大きく報道 されている大きな反戦デモのイメージとはかなり異なる。
(2)戦争の進行に関して
米国兵士の捕虜問題が生じた時点において、米国がイラク戦争を"非常に上手く進めてい る"という回答はかなり低下したものの、次の段階の"かなり上手くやっている"と組み合 わせるとなんとその回答率は85%にも達する。
(3)戦争がどのくらい長く続くかに関して
戦争開始直後は米国民の40%が1ヶ月内に終わると非常に楽観的であった。3/29時点にお いても未だ過半数の米国民は6ヶ月内に戦争は終結するとみている。
(4)イラク軍の評価に関して
これに関しては調査機関によってかなりの違いがみられる。CBSの世論調査では国防省が イラク軍の抵抗を過小評価していたと55%が答えている。一方、ABC/Washington Postで は28%の人々はイラク軍が予想以上に強かったと答えている。実際に、戦場におけるある 上級指揮官は国防省の計画はイラク軍の抵抗の強さを予想することができなかったと報 道陣に述べている。
(5)戦争による死傷者に関して
米国民の60%-70%の人々が戦争の終結までに米国兵に1000人までの死者がでると予想して いる。3/27のTIME/CNN世論調査の"あなたは500人の米兵士の死者がでても戦争を支持し ますか"という質問に対して59%が"yes"と答えている。
(6)世界の指導者のイメージに関して
イラク戦争、株価の低迷、経済のスローダウンにもかかわらず、ブッシュは67%と高い支 持率をえている。更に驚くのはブレイヤー英首相が72%とブッシュ以上の高い支持率を得 ている。一方、シラク仏大統領は12%の支持率しか得られず、米国議会食堂で"フレンチ フライ"が"フリーダムフライ"、"フレンチトースト"が"フリーダムトースト"と名前が変 更されたのもうなずける。
(熊坂有三氏略歴)
日本経済新聞社入社後、ペンシルバニア大に留学、L.R.クライン名誉教授に師
事。同大経済学博士号取得。ウォートン経済予測研究所、国連国際経済社会局
エコノミスト、ニッセイ基礎研究所NY事務所主席研究員を経て、ITeconomy Advisors Inc.を設立。同社代表取締役。