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Ｇ７を読む・中平元財務官 市場安定に向けた結束を表明へ [日経マーケット]
【ＮＱＮ】７カ国（Ｇ７）は11、12の両日、ワシントンで財務相・中央銀行総
裁会議を開く。３月20日にイラク戦争が始まってから最初の会合で、世界経済や
金融市場の安定に向けた対応が議論される見通しだ。元財務官の中平幸典・国際
経済研究所副理事長にＧ７会議の注目点を聞いた。（聞き手は今 晶）
――イラク戦争に対するＧ７の対応は。
「以前にもまして不確定要因が増えており、市場安定のために７カ国が結束して対処する方針を明らかにしそうだ。国連安全保障理事会での意見対立がＧ７会議の場に持ち込まれるとの見方があるが、世界経済の安定という共通目的がある限り、各国の関係がぎくしゃくすることは考えられない」 「全体としてみれば市場は冷静に反応しており、開戦前に懸念されたド ルや米国株相場の急落も起きなかった。２月のＧ７会議などで各国が協 力姿勢を鮮明にしてきたことが、そ
の後の相場動向に少なからず寄与したのだと考えている」
――だが戦争の影響で米国をはじめ世界経済や株式市場は不安定になっている。
「昨年から米国景気の減速傾向が鮮明になっているのは確かだ。米国で も株式市場でのバブルが崩壊しており、それまでの期待が大きかっただけに米経済が立ち直るには時間がかかるだろう」「世界的に株価の連動性が高まる中、開戦でリスクを避けようとの空気 が強まっているだけに、米国の景気低迷で世界経済に『不安の連鎖』が 生じる恐れもある。過度の楽観は禁物だが、金融市場が悲観的になり過ぎて不安定な動きにならないよう、Ｇ７各国が一致団結して取り組む
という姿勢を示すことが重要だ」
――Ｇ７会議では戦後処理も議論されるのか。
「開戦を受けて『戦争がどの程度の期間で続くのか』『戦後処理はどうなるのか』という点に焦点が移った。ただ戦闘期間については、早期に終結するとの期待がある一方、イラク軍の抵抗が伝わるにつれ弱気な見通しも出始めており、まだ戦後処理などを議論できる段階にもない」＝
――通貨政策を巡る議論については。
「イラク情勢や米景気に不透明感が強く、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）ですら『不確定要素が多いため景気判断を回避する』と宣言する時代だ。声明などに盛り込めるかどうかは分からないが、相場環境の急変を想定して協調介入を含めた対策が議論されるだろう」
――米国は産業界に配慮して緩やかなドル安進行なら容認するとの意見もあり、円安を望む日本と米国との間で利害が反するのではないか。
「米国が『強いドル』の看板を降ろすことは100％あり得ない。米国は巨額な経常赤字を抱えており、穴埋めするために海外からの資金流入に 頼っているからだ」「米国のファンダメンタルズ（経済の基礎的条件）は次第に悪化しており、投資対象としての魅力がやや薄れている。このタイミングでドル安を認めたと受け取られれば、ドル資産を買う投資家は誰もいなくなってしまうだろう」
――市場介入で為替相場は動かせないとの見方が増えているが、仮にド ルが急落した場合、市場介入で本当に阻止できるのか。
「外国為替市場での取引は1日当たり１兆ドル規模とされ、ファンダメン タルズに反する場合には市場介入だけで流れを変えることは難しい。ただ現時点では米国のファンダメンタルズが日本を下回る状況にはなっていない。さらに市場参加者はさまざまな思惑で動くので、介入に意外感があれば予想以上に効果が上がる」「日本単独の市場介入であっても、ニューヨーク連邦準備銀行に委託するなど国際的な協調があると思わせればドルの買い戻しが進みやすくなろう。日本が１月から実施してきた『覆面介入』も手法としては悪くないが、あえて注文を付けるとすれば、介入事実はあまり早い段階で公表しない方がいい」
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。