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「そもそも熊谷組問題を処理する上で、それほど多くの選択肢があるわけではなかった。はっきり言って選択肢は2つ。1つは、法的整理に持ち込むというもの。もう1つは、大きな含み損を抱える不動産部門と、十分な再生が見込める土木部門を分離し、土木部門については他ゼネコンなどの受け皿会社に引き取ってもらうというものだった」
三井住友銀行経営中枢幹部がこう説明する。
「とはいえ、“法的整理”という選択肢を取った場合には、あまりにもマイナスの影響が大きい。熊谷組を法的整理に追い込んだ場合、取引先−大手商社など−、あるいは下請け企業に与えるダメージは計り知れないだろう。したがって三井住友銀行としては積極的にこの選択肢をとるわけにはいかなかった−」(前述の三井住友銀行経営中枢幹部)
熊谷組問題の処理について言えば、三井住友銀行が完全に主導する形で進められてきたことについては、もはや改めて指摘するまでもないだろう。つまり熊谷組の殺生与奪は、メーンバンクの三井住友銀行によって100%握られていたのが実情だ。
その三井住友銀行は、熊谷組を法的整理に追い込むことについては、「想定外のシナリオ」(三井住友銀行経営中枢幹部)と受けとめていたのである。
「したがって、熊谷組処理問題の最大の焦点は、その“受け皿”がどこになるのか、という一点に絞られていたのです。そうした点で言えば、金融支援−つまり第二次債権放棄の問題など、まさに取るに足らない問題だったのです」(前述の三井住友銀行経営中枢幹部)
とは言うものの、この“受け皿”探しは、難航に難航を重ねていたのが実情だった。三井住友銀行にとってみれば、熊谷組の業務提携先であり、業界最大手にしてダントツの“勝ち組”である鹿島に“受け皿”を引き受けてもらうのがベストシナリオだった。しかし、その鹿島は、三井住友銀行の要請をあっさりと断ってしまったのである。
そして“セカンド・ベスト”としての竹中工務店や奥村組も、三井住友銀行の要請を受け入れることはなかったのである。
「この熊谷組処理問題の解決に向けて、西川善文頭取自身が直接乗り出していましたし、ここ最近のフライングともいえる一連のマスコミ報道には相当、イライラをつのらせていました−」(三井住友銀行経営中枢幹部)
そしてここへきてようやく、その“受け皿”が飛島建設に決まったわけだが、
「果たして飛島建設が“受け皿”になったといえるかどうかははなはだ疑問だ。飛島建設は、そのメーンバンクのみずほグループにとって完全なお荷物企業であることは間違いない。しかも飛島建設は、かつて旧富士銀行の暗部と密接にかかわてきただけに、みずほグループにとって潰したくてもつぶせない企業と化していた。その飛島建設と熊谷組が経営統合を果たしたところで、どのような経営再建シナリオが書けるのか、はなはだ疑問だ」(大手ゼネコン役員)
三井住友銀行にとっても、この経営統合はまさに“窮余の策”という位置づけに他ならないだろう。
三井住友銀行は、今回の経営統合とワンパッケージの形で3000億円にのぼる金融支援を実施するが、これについては事前に手当て済みであるため、この金融支援によって同行の業績には変化は生じない。
「しかし将来的に三井住友銀行サイドに新たな負担が生じるのかどうか、よく見極めなくてはならないだろう」(大手証券会社役員)
2003/4/4