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「窓」―外相の無神経 [朝日]
国連という舞台(ぶたい)で、日本政府は一体、何をしようとしているのだろうか。川口外相の国会答弁を聞いて、そんな疑問がわいてきた。
アナン事務総長が新決議なしの米英両国によるイラク攻撃(こうげき)を「正当性に疑義がある」と発言した。それを川口外相が国会答弁で「事務総長は安保理メンバーの決めたことを有権的に解釈(かいしゃく)する立場にはない」と切って捨てた。
国連憲章を額面通り解釈すればそうだろう。国連憲章で事務総長に関するめぼしい規定は「国際平和と安全を脅(おびや)かすと思われる問題が起きれば安保理に対して注意を喚起(かんき)する権限がある」くらいだ。しかし、歴代事務総長は、この規定を足がかりに並々ならぬ苦労
を重ねてきた。安保理が機能しなくなったとき、米ソなど大国の反発を買いながらも、紛争地(ふんそうち)に足を運び、当事国を相手に仲介(ちゅうかい)や調停に走り回った。そんな歴史を知ったうえでの答弁だろうか。
イラクへの武力行使が終われば、復興が問題になる。査察をめぐって決裂(けつれつ)した国連を元にもどそうと各国が動き始めている。国際社会のひび割れがこれ以上ひどくならないようにするためにも、知恵(ちえ)の出しどころである。
外相答弁には、そんなことへの配慮(はいりょ)や意欲はみじんも感じられない。国連が都合のいい事を決めてくれればそれに従うという待ちの外交ではなく、秩序(ちつじょ)形成のために積極的に動く。それこそが、日本が外交の3本柱の一つにかかげる「国連中心主義」というものではないだろうか。<薬師寺克行(やくしじ・かつゆき)>