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ニューヨーク 4月1日(ブルームバーグ):2月には、悪天候とイラク戦の予感が生産活動停滞の理由だった。戦争と天候という組み合わせは、個人消費から住宅建設まで、幅広い経済活動の低迷を説明する理由としてあちこちで引用された。
3月になり、天候は回復し、戦争は実際に始まった。しかし3月の経済指標第1号として1日発表された米供給管理協会(ISM)の製造業景気指数は、一段の景気減速を示した。ISM指数は2002年10月以来初めて景況感の分かれ目となる50を下回り、前月比4.3ポイント低下の46.2と、2001年11月以来の低水準だった。
新規受注、受注残、生産など他の指数が低下するなかで、製造業者の支払い価格だけが上昇した。投資顧問会社アライアンス・キャピタル・マネジメントのエコノミスト、カースン氏は、過去の経験では価格上昇は好景気の兆候だが、「今回は、力強さというよりも戦時下の不安の表れであるように見受けられる」と指摘した。
問題が戦時下だけで終わればよいと思う。今回の戦争には、あまりに多くの期待がかかっている。期待通りの展開にならない場合、米国の消費者と企業が深刻な心理的打撃を受けることは確実だ。
ここで言う期待とは、戦争に勝利すれば、イラク国民とともに米経済も抑圧から解放されるという信念だ。これは米国民の意識のなかにしっかりと織り込まれているため、その通りにならないと政治家もエコノミストもアナリストも、議論を白紙に戻してゼロから考え直すことを迫られる。
戦争の期間が数週間になるか数カ月になるかにかかわらず、終戦によって原油価格の低下や株価の上昇、個人消費と設備投資の急回復などが起こらなかった場合、今度は経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)以外に責任を押し付ける相手がいない。
新学派
そうなったら、グリーンスパン博士はどんな診断を下すのだろう。グリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米景気の病気の元はイラク戦争をめぐる地政学的不透明感だけだと考える学派の長だ。
他の地区連銀総裁らもこの議論に追随しているものの、全会一致は崩れつつある。ニューヨーク連銀のマクドナー総裁は、7月の退任を発表してからというもの、この学派から離脱し始めた。同総裁は3月20日、米景気回復を妨げているのは戦争だけではないとの考えを表明。「株式バブル崩壊の影響」を口にした。
サンフランシスコ連銀のパリー総裁やセントルイス連銀のプール総裁も、戦争が米景気のすべてを説明するとの学説に疑問を呈している。3月31日にはボストン連銀のミネハン総裁が新学派に転向し、「90年代後半の過剰投資からの緩慢な回復は今後も続く可能性がある」と述べた。
危ぐされるのは、人々は戦後の景気についても戦争と同様に、直ちに成果を求めるだろうという点だ。
衝撃
バグダッドへの最初の空爆から3営業日目の市場では、予想より激しいイラク軍の抵抗のニュースを受け、ダウ工業株30種平均が300ドル余り下げた。戦争が暗礁に乗り上げたとの結論は、時期尚早であり言い過ぎだが、投資家心理に与えた衝撃の大きさは否定できない。
戦争終結と同時に景気が急回復しなければ、また同じ衝撃が走るだろう。景気が回復しない、または一時的に回復して再度落ち込んだ場合、失望の大きさは計り知れない。株式市場と実体経済も、相応の反動に見舞われるだろう。
1つの事業にすべてを賭けてはいけないという格言が、心をよぎる今日このごろである。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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