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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「個人消費見通しにアップサイド・リスク」を挙げる。
<在庫循環の消失は、景気安定化に寄与する> 日本経済の先行きを読む上では、地政学的リスクが、どの程度の期間、どのくらいの規模で顕在化してくるのかに注目しなくてはならない。仮にイラク戦争後の世界情勢が不安定化し、また、米国経済の低迷が継続すれば、「国内景気の回復を望むことには無理がある」と語る。逆に言えば、そうならない場合には、「国内景気の調整は比較的短期間に止まり、再び10−12月期には緩やかな回復が生じる」ものとみられる。こうした見方の背景として重要な点は、「今回の景気循環では、過去にみられたような「在庫循環」が生じない可能性が高いことである」と言う。昨日発表された2月の鉱工業生産統計では、生産指数の予想外の落ち込み(−1.7%)が生じたが、他方で、在庫指数も2.3%の減少となった。「企業は良い意味で生産拡大に慎重であり、在庫水準の低位安定を維持してきている」。2月について言えば、 こうした動きが輸送機械や鉄鋼業で生じた。「在庫循環の消失は景気の安定化に寄与する」ものと見ている。
<個人消費関連指標の改善が継続していることに注目> さて、そうした中で、内需については、「個人消費関連指標の改善が継続していることに注目しなくてはならない」と言う。ポイントは、企業におけるリストラ圧力が再び循環的に後退しており、雇用削減圧力が横這いで推移する下で、賃金の下落圧力が明確に低下してきている。足元での賃金下落圧力の後退は、基本給の削減がほぼ止まっている中で、時間外手当てが、製造業、運輸・通信、卸・小売業で増加を継続していることによる。企業はキャッシュフローの循環的な改善が継続する下で、雇用の拡大には慎重である。だが、基本給の削減を止めるとともに、時間外手当てをきちんと支払っている。
<労働分配率の趨勢的な低下は依然として望めない> 1−2月平均でみた場合、常用雇用者の名目所得 は前年比−1.1%と、10−12月期の−2.5%からマイナス幅を大きく縮小させた。そして、この結果、消費デフレータを用いて実質化した実質常用雇用者所得は、2001年9月期以来、6四半期ぶりに前年比プラスになった。このように、「企業と個 人の間の所得分配に大きな変化はなく、労働分配率の趨勢的な低下は依然として望めない」。秋口以降、国内景気が、再び緩やかに回復するという基本シナリオについては、「個人消費見通し(現状では、03年度実質個人消費見通しは−0.7%、 実質GDP成長率−0.4%)にアップサイド・リスクが生じていることを認めざるを得ない」と言う。