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(1) 竹中金融相はずしの画策
イラク戦争と北朝鮮クライシスで日本経済が瀕死の中、金融庁のエリートたちは何をやっていたか。実は彼らの最大の“経済危機対策”は、「ハードランディング路線の竹中平蔵大臣を黙らせておくこと」（同庁幹部）だったというから、もはや末期的だ。
だから同庁は、長官室に最新式の指紋照合セキュリティシステムを導入し、大臣が長官室に入れないようにするなど、≪竹中隔離政策≫をとった（３月２８日号既報）。
それにしても、長官室を密室化した高木祥吉長官は、かつては竹中氏との蜜月関係が有名だった。幹部たちを前に「大臣のいうことが聞けない奴は辞表を書け」と訓示し、≪高木ファッショ≫といわれたものである。“心変わり”の理由は何なのか。
「天の声が出たからだ。小泉政権の金融政策は、金融庁と財務省が連携して作っているが、わが庁では森昭治・前長官、財務省は武藤敏郎・前次官（現日銀副総裁）が院政を敷いている。その２人が、そろって竹中外しを指令してきた。小泉総理から経済政策の全権を委任されている塩川正十郎財務相も了解しているということだった」（同前）
竹中氏に対しては、３月中旬以降、自民党内から更迭論が相次いだ。堀内光雄総務会長などは、「デフレ不況は人災だ。今の状況を全くわかっていない能天気な学者に任せてはいけない」と、口を極めて批判した。党内では、これは武藤氏の入れ知恵だという説が有力視されている。
一方、竹中氏は自分を追い落とそうとする森氏がよほど憎いらしく、最近は親しいマスコミ関係者らに、“森院政が金融改革の邪魔になっている”と語ることが多い。
役人の主導権争いや、大臣のイスを巡るケンカなら勝手にやればいいが、金融庁、財務省の黒幕２人が出てきた裏には、それぞれ別の大銀行の危急事態に震え上がったという見逃せない事情があった。
(2) 日銀「株購入」の隠れた理由
<http://www.weeklypost.com/jp/030411jp/news/gdata/twp2_2.jpg> 森氏と金融庁首脳部が神経をとがらせていたのは、不良債権処理が進まず、自己資本比率が基準割れしそうな、ある大銀行の決算だった。
「その銀行は、厳密に資産査定すると、比率が基準割れに落ち込んでいることが金融庁の調べでわかっていた。公的資金を投入している銀行だから、そのままでは国有化せざるを得なくなる。同庁では、まずその情報を国有化論者の竹中大臣に報告しないことを決め、さらに先回りして国有化の道をふさぐ戦略に出た」（自民党金融族議員）
その結果、３月２６日の日本経済新聞の１面に奇妙な記事が掲載された。金融庁が銀行を国有化する基準を決めたというニュースで、内容を見ると、よほどの経営危機にならない限り国有化はできないことになっており、事実上、国有化はしないという宣言に等しいものだった。
一方で、武藤氏は別の動きを見せた。３月２０日に正式に日銀副総裁に就くと、すぐに金融危機対策として、「銀行保有株の日銀購入枠（※）を２兆円から３兆円に拡大」することを決めた。新聞やテレビは、持ち合い株が大量に売られて株価が下落するのを防ぐためだと報じたが、事実は全く違っていた。
あるメガバンク幹部の話は珍しく説得力がある。
「大手銀行のほとんどは持ち合い解消を予定より早く進めており、少なくとも今回の決算では問題にはならない。だから、日銀の購入枠は以前から２兆円あったのに、今でも１兆円しか使っていない。
それをなぜ３兆円に拡大しなければならないのか。実は今回の決定のミソは総額を１兆円増やしたことではなく、それに伴って１行当たりの購入限度額を５０００億円から７５００億円に増やしたことだ。なぜなら、日銀への株の売却は、あるメガバンクが突出しており、そこはすでに５０００億円の枠を使い切ってしまった。これ以上持ち合い解消ができないとわかれば、経営危機説が噴き出しかねない。日銀は、それが表沙汰になる前に限度額を拡大して、そのメガバンクを救済した」
日銀の発表から間髪入れず、自民党では、持ち合い解消の期限を２年間先送りする対策をまとめたが、それだけ銀行の改革が進んでいないことを裏付けている。
※銀行保有株の日銀購入枠
持ち合い解消が株価下落の原因だと批判されたことに対応し、日銀は昨年９月、銀行が保有する企業の株を直接購入することを決めた。市場に株が売られなくなるため、株価下落を止める効果が期待できる。購入枠は当初２兆円とされていた。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
