現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産25 > 116.html ★阿修羅♪ |
|
イラクと地方選――これが政局を動かす。
イラク戦争前には、選挙の主な争点は不況対策と中央・地方の関係の二つだった。だが勃発後は小泉内閣のイラク戦争への姿勢が、統一地方選の新しい重要な争点として浮上した。
中央政界では、国連決議なしの米英軍のイラク攻撃を支持する小泉首相支持が多数派である。だが国民レベルでは小泉首相支持は少数派だ。統一地方選の過程で国民の中の多数派が動き出す。小泉首相支持の候補者がきびしい批判を受けることになれば、この流れは中央政界に波及し、政局を揺さぶることになるだろう。
小泉政権は「日米同盟堅持」を強く主張する。米国を批判すれば日米同盟が揺らぐとの神経質な態度である。日米同盟が揺らげば北朝鮮の核の脅威から日本を守ることができない、という論理である。小泉首相は「米国は、日本への攻撃は自国への攻撃と見なす、といっている。日本を攻撃しようとする国は米国の攻撃を覚悟しなければならない」という趣旨の発言を繰り返している。小泉首相は北朝鮮脅威論によって日本の無条件的なアメリカ支持を合理化しようとしている。だが、このような米国への全面的な依存主義は、主権の放棄に等しい無責任な行為である。政府は自らの国は自らで守るとの気概と誇りを失ってはならない。
北朝鮮の脅威を本気で心配しているのであれば、この脅威をなくすための外交努力を必死に行わねばならない。小泉首相は中国、ロシア、韓国を訪問して、緊張緩和に努めるべきである。だが、残念なことに、小泉首相はこのような外交努力をしていない。しようともしていない。
4月13日と27日の地方選挙と衆参補欠選挙では、不況対策、地方分権とともに、小泉政権の米英支持が問われることになる。
03年統一地方選挙の最重要課題は地方の再生である。小泉構造改革は中央重視・地方軽視である。いま地方自治体は「敗者・弱者」の立場に立たされている。「勝者・強者」は中央官庁だ。「中央官庁のみ栄えて地方滅ぶ」――これが小泉構造改革の現実である。地方財政は深刻な危機にある。地方自主財源への強い制約下で、中央政府の地方財政引締政策が地方自治体を直撃する。この二重の制約の中で、中央からの自立=地域主義を求める地方が増えている。
地域主権への道には多くの障害がある。その一つが既存政党である。既存政党は中央官庁の地方支配の媒介者の役割を担ってきた。今回の統一地方選において多くの首長候補が政党の支持を辞退した。いわゆる無党派候補の増大である。この潮流の拡大は有権者が既存政党に反省を強く求めていることを意味している。これは政党が真に地方の利益の代弁者に生まれ変わることによってしか解決されない。
今回の統一地方選の第一のテーマは「不況克服」である。日本は繁栄の東京圏と深刻な不況下の地方の二地域に分裂している。小泉内閣の構造改革政策は東京圏の繁栄が重点だ。地方経済に対しては必要な対策はとられていない。
統一地方選挙を通じて地方は小泉内閣に対して景気重視への政策転換を求める。この要求が強力に展開されれば、統一地方選挙直後から中央政界での政策転換の動きは強まる。
中央政界においては、6月頃景気重視派が小泉首相に政策転換を要求する。小泉首相がこれを受け入れれば、9月の自民党総裁選で小泉首相を支持するが、拒否すれば小泉首相に対して対立候補を擁立し、新内閣の樹立をめざすことになる。
当面、国民と政界の目はイラク戦争の行方に集中している。イラク戦争の結果によって世界の動きは変わる。日本の政治・経済は大きな影響を受ける。米英軍が大成功すれば小泉首相の立場は強くなる。だが逆に失敗すれば、小泉首相の責任がきびしく問われる。首相批判が高揚して、政局転換の可能性が生まれる。
地方の安定こそ国の安定の基礎である。地方が栄えて始めて国全体の繁栄が可能になる。この方向へ一歩踏み出すことができるか否か―― 統一地方選の最大の意義はここにある。
【以上は3月30日付け四国新聞に「森田実政局観測」として掲載された小論です】
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0534.HTML