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東京株式市場の株価が低迷を続ける中、株式と同様に証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)の人気が高まっている。東京証券取引所が算出するREIT指数は、4月からの1か月強で約8%も値上がりした。「株式市況が悪すぎることの裏返し」(市場関係者)の状況だが、人気が定着できるかどうか注目されている。
不動産投信は、大勢の投資家から集めた資金をオフィスビルなどの不動産に投資し、賃貸料収入の大半を配当にあてる金融商品だ。投資家の資産を不動産市場に振り向け、市場活性化を図ることで、不動産の流動化の促進も狙っている。
2000年の投資信託法改正で解禁され、現在、日本ビルファンド投資法人、ジャパンリアルエステイト投資法人など6銘柄が東証に上場している。
日本ビルファンドの価格は、上場した2001年9月直後に1口60万円前半で推移した後、値下がりに転じ、昨年1月には同50万円を切る場面もあったが、最近は同60万円台半ばまで値を上げた。
人気が再び高まってきたのは、超低金利と株価低迷で運用先に悩む機関投資家が不動産投信の配当の高さに目を付けているためだ。
新発10年物国債の利回りが0・6%割れとなるなど超低金利の環境下で、不動産投信は銘柄ごとのばらつきはあるものの、5%前後の高い配当利回りが見込まれている。不動産投信は、税制面の優遇措置を受けるために利益の90%以上を配当に回しており、それが高配当につながっている。
みずほ証券の石沢卓志・シニア不動産アナリストは、「新年度入りを機に、とくに地方銀行が不動産投信の買い入れ枠を増額している」と指摘する。背景には、地方経済の冷え込みが都市部に比べて顕著だけに、地銀が優良な融資先探しに苦慮している事情がある。
同じく運用難に苦しむ年金基金の一部も資金を振り向け始めている模様だ。こうした流れが生命保険会社など他の機関投資家にも広がれば、不動産投信の価格はさらに上昇する見通しだ。
一方、急ピッチの値上がりは、機関投資家を中心とする買い需要が強い“バブル現象”とも言える。価格が上がれば配当利回りは下がる関係にあり、価格上昇は魅力の喪失に直結し、人気が陰る恐れも出てくる。
不動産投信は本来、「個人投資家の資金を集めて、不動産の流動化を進めるために開発された商品」(不動産証券化協会)だが、不動産投信の時価総額5500億円程度のうち、約6割を国内外の機関投資家が保有していると見られる。
機関投資家の売り買いの動向に価格が左右されやすくなる構造は、今後の懸念材料と指摘する声もある。
ただ、日本の不動産投信の時価総額と比べると、90年代に急成長したアメリカでの時価総額は2002年末で1619億ドル(約19兆1000億円)に上り、日米の格差は大きい。登場から1年7か月、日本でも市場を拡大することが課題になっている。
(2003/5/11/21:59 読売新聞 無断転載禁止)